ひのきみ通信 第37号

1999年10月22日

 「日本主義哲学は所謂右翼反動団体的な哲学には限らない、最もリベラルな外貌を具えたモダ―ン哲学であっても、それがモダ―ンであり自由主義的であることに基づいて、やがて典型的な日本主義哲学となることが出来る。」
(戸坂潤「日本イデオロギー論」より)

目次

日教組平和集会(10・7〜9、新潟市)に参加して 中村美彦(市原緑高校分会)
M高校の「日の丸・君が代」 K.M.(M高校分会中央委員)
松本教育裁判最終弁論を終えて 兵頭雅子(千葉に豊かな教育を実現する会)
市川で親が動き教師と結ぶ「日の丸、君が代」考える集い 山口兼男(千葉MABUI上映実行委員会)
「国旗国歌法制化」にともなう北九州市長への申入書 "hinokimi-ML"より転載
11・12天皇在位10年反対職場交流会の案内
編集後記 stylo rouge
お知らせ

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日教組平和集会(10・7〜9、新潟市)に参加して

中村美彦(市原緑高校分会)

 10月7日から9日まで、新潟市で開催された日教組平和集会に参加した。初日は講演が2本。もちろん来賓挨拶とか、集会基調報告もあったが、論評するほどのものでもない。
 1本目の講演は北九州大学前田康博教授の「朝鮮半島をめぐる情勢と新ガイドライン関連法との関連を検証する」という長いタイトルのもの。「アメリカは日本に再軍備、戦争準備をさせながら、北朝鮮とのパイプを太めており、日本はとんでもないミスを犯そうとしている」と指摘した。中国との国交正常化の際の教訓がまったく生かされていない。またも国際的に大恥をかくということだろう。
 2本目は九州大学横田耕一教授の「「日の丸」「君が代」問題とは何か」というもの。最初はまあこんなものだろうと聞いていたが、「「日の丸・君が代」反対理由の有効性」の話あたりから面白くなった。以下の内容である。

  1. 国旗・国歌ではない
  2. 内容が憲法違反
  3. 「強制」
    1. 「思想・信条の自由、信教の自由」「表現の自由」との関係
    2. バーネット判決の意義
    3. 国家による「表現」
  4. 在日の子どもたちの存在
  5. 教育上不要
  6. 過去の歴史

  目新しい内容ではないではないか、と思われるかもしれないが。実は6についての議論が非常に刺激的だった。本人自ら「挑発的に申し上げます」といったとおりのものだった。「「日の丸」・「君が代」には過去の歴史との関係からして反対だという論点は、いま大変厳しい状況にあります」で始まる。「たとえば過去の日本は侵略戦争をやった、「日の丸」はその侵略戦争の象徴だ、だから「日の丸」には反対だといった論議は、残念ながら現在の日本では大変通りにくくなっているから」だという。小林よしのりの『戦争論』が50万部以上も売れ、それを批判する本がさっぱり売れない状況がその端的な表れだとそれに続く。そして「大体この前の戦争が侵略戦争だったという主張自体がもはや常識ではありません。むしろ若い人達はその主張を疑っています」というまさに「挑発的な」指摘に至る。このことに関しては我々の側の「この前の戦争をのっぺらぼうに侵略戦争と定義する」雑な議論にも責任があるのだという。
 すべてに納得するわけではないが、今までもやもやしてきたものの正体が見えた気がした。我々は「「日の丸」はこの前の侵略戦争を思い出させるとか、アジアの人達がいやな気分を持つ」という論説を非常に重要だと感じているが「まったく日本の若い人達に説得力を欠いている」のも事実のようだ。某国会議員の「私がやったわけではない」というのと同じ文脈なのである。今までは彼らの無知や思想的な傾向の故と「雑に」考えてきたが、どうやらそれだけではないのかもしれないと考え込んでしまった。しかし、これだけ「挑発的な」講演にもかかわらず、時間不足で質疑がなかったのが残念だった。渡部さんが来ていれば違う展開があったかもしれない。横田さんに千葉に来てもらえば面白いなと思った。
 2日目はフィールドワーク。柏崎原子力発電所見学を希望していたのだが、新潟水俣病をめぐる現地見学に回されてしまった。
 最初はがっかりしたが、ふたを開けてみれば大正解だった。「世の中には偉い人がいるものだなあ」という感想を久々に抱いた。我々のバスの「案内人」がその人で、旗野秀人さんという。新潟水俣病患者の会を運営している大工さんで、主に安田町の患者さんの世話をしてきたそうだ。こう書いただけだとどこがそんなに感動的なのか伝わらないかもしれないが、患者を励まし共に歩んできた30年間のボランティア生活を淡々と話す人柄とにじみ出る知的な雰囲気が非常に魅力的だった。患者さん達との交流がまた感動的だった。水俣病にまつわる差別の話や偽患者云々のいやな話や苦労話に続いて、あるおばあさんが運動に協力しないばかりか陰口をきいてきたくせに和解金だけちゃっかりせしめた奴の話をし始めた。旗野さんは「人それぞれですよ」と優しくいさめた。これがぐっと来た。彼はこの活動の中で持ち出しはあったかもしれないが経済的な報酬は多分ほとんどなかったのではないだろうか。しかしそれを上回る違う形の報酬を受けていると満足そうなのである。自分の不満たらたらの日常を思うと恥ずかしくなってしまった。
 似たような感想を持った人がいたようで、そのあとの車中で「旗野さんの個人史を語ってくれ」というリクエストがあった。彼はこの活動を一生の仕事と20代の早い時期に定めたのだという。新潟水俣病共闘会議の専従にという話もあったが、建築という仕事も捨てがたかったそうだ。運動の中で「阿賀に生きる」という映画が作れたことは大きな収穫だったという。(この記録映画の名前は記憶にある。是非見てみたい)そして今までの運動を振り返って欠けていたところも率直に語り、最後に「私はアルチュウハイマーと呼ばれている」というギャグをかまし、次の機会には酒を呑みながら話したいと言った。そういう機会を是非持ちたいと思った。
 3日目は分科会。平和教育運動、「日の丸」「君が代」問題と環境問題をテーマとする第4分科会に出席した。連絡文書には「日の丸」「君が代」問題が抜け落ちていたが、当日の要項にはちゃんと記載されていて、私の出席も割り当てられていた。
 長崎県教組の「「こども平和の集い」11年の歩み」、大阪府教組の「水俣・おおさか展を開催して」新潟高教組の「環境問題教育への取り組みとしての環境ネット」そして「日の丸」「君が代」問題に関する交流という幅広い内容だった。新潟高教組の桑野康伸さんは5分でやってくれという司会者の無理な注文を受けて大変そうだったが、「大量生産・大量消費・大量廃棄」の現状の中で賃金問題もそれに流されていないか、という問いかけはショックだった。
 最後の1時間を使っての「日の丸」「君が代」問題も発言者が多く、「2分で」ということになった。各地の報告は法制化以降あまり変化のないという感じだったが、滋賀県では逆に注目が集まるので今まで毎日揚げていた旗を揚げないという学校も出たそうだ。私もせっかく来たので「日の丸」「君が代」対策委員会が中心となって2.11県民集会に向けて大きな運動を作り上げようとしている旨報告した。前向きな発言が出来たことを誇りに思う。
 初日の横田講演、2日目の旗野さんの生き方、そして3日目は短い話だったが桑野報告と実り多い集会に参加できて幸せでした。みなさんに感謝を込めて報告させていただきます。

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M高校の「日の丸・君が代」

K.M.(M高校分会中央委員)

 本校では卒業式・入学式に「日の丸」(式場正面に掲揚)「君が代」(国歌斉唱)
があります。ただし、式の開始前に次のような「ことわり」があります。
 「式の開始に先立ちまして、みなさんにお願い申し上げます。式の進行につきましては式次第に従っていただきます。式次第に『国歌斉唱』とありますが、みなさんの中には国籍や宗救、思想信条の異なる方もいらっしゃると思います。その方々につきましては歌うことを強制するものではありません。」
 この後、「一同起立・礼」に始まり「開式のことば」に続いて、起立したまま「国歌斉唱」に移ります。この時、何人かが着席します。
 この「ことわり」は、1992年度の卒業式から入りました。それまでの「君が代吹奏」が、校長によって「国歌斉唱」に押し切られようとした時、管理職と組合員との間で激しい論争があり、「日の丸・君が代」の違憲性を告発する膨大な資料が職場で配布されました。(現在T高校のTさんが闘いの中心になりました)結果は残念ながら押し切られましたが、ギリギリの妥協点として、強制はしない旨の「ことわり」を、式の開始前に入れることになりました。
 当時としては後退でした。しかし今年度、T高校から異動してきたHさん(組合員)は、入学式の感想を次のように語っています。(職場新聞に寄稿してくれた文章を転載します)

式の進行の先生が「君が代」にっいて、「思想信条、宗救、国籍等により……歌うことを強制するものではありません」とコメントした事にショックをうけました。歌わない者、歌わせない者を処分で強制する1999年のこの時点で は、このコメントは高く評価すべきことであり、これを合意してきた職場の皆さんを尊敬します。そして、私自身このコメントを後退させない一員になりたいと思います。

 「日の丸・君が代」が法制化されたことで、今後は起立・斉唱の強制や、拒否に対する処分も予想されますが、式の前の「ことわり」を維持するために、仲間とともに全力を尽くしたいと思います。

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松本教育裁判最終弁論を終えて

兵頭 雅子(千葉に豊かな教育を実現する会)

 1999年10月8日松本教育裁判第21回公判が開かれました。これに先だって9月14日原告側から,被告県側からは10月4日,それぞれ最終準備書面が提出されました。1996年1月18日の提訴から4年が過ぎ,後は来年1月28日の判決を待つだけになりました。
 この裁判が始まったとき,私たちは小金高で1994年から95年にかけておこったいわゆる小金事案と呼ばれる『事件』の中で生まれた「小金高生の自主自律を守るPTA有志の会」を発展解消し、市民組織「千葉に豊かな教育を実現する会」をつくって裁判を支援し,運営してきました。
 これまでかなりの量の準備書面を提出してきましたが,証人尋問に伴って提出したもの以外は弁護士さんにお任せになってしまっていましたが,今回の最終準備書面に関しては7月から何回も話し合いを持って準備しました。これまでの主張の整理とまとめ,証人尋問から明らかになったことから更に私たちの訴えが正しいことを主張する,いわばこの裁判の総まとめともいえるものです。10月8日の公判に来ていただいた方にはお渡しできましたが,是非大勢の方に読んでいただきたいと思っていますので,読んでみようと思われる方はご連絡下さい。
 原告側最終準備書面は,教員と親が考えた項目立てにそって,中心になって関わってこられた3名の弁護士さんが分担して,渾身の情熱を注いで書いてくださいました。私達保護者にとって,裁判の書面などはおよそ別世界の産物で,家永裁判で北海道学テ判決を読むのさえ,非常なエネルギ―を必要としたものですが,今回ばかりは,これまでの小金高での運動の総まとめとして,口を出させていただき,結果としては十分満足できるものが出来上がったと(弁護士さん方には申し訳なかったのですが)思っています。ここまでたどりついて,支援してくださった方をはじめ,関わってきた全ての人に,深く感謝しております。まだ裁判は終わった訳ではなく,むしろこれからが本当に大変かなという気もしていますが,取りあえず,今はそんな風に思っています。
今回の最終準備書面で主張した事をかいつまんで述べると,次のようになります。

  1. はじめに
     訴訟の目的。この異動の不当性。県の人事異動方針方策の無内容さ,異動の根拠にはなり得ない事。後1年待てなかった理由が不明な事。
  2. 本件人事異動の経過
     本人の意思を無視した異動であった事。花井校長と保護者,花井校長と県の人事担当,同じく校長と教員,それぞれのこの異動を巡る係わり合い。花井校長のもたらした混乱と,その学校運営,人事での問題点。6人問題の経過と結果。
  3. 理由にならない「配置換え理由」
  4. 裁量権の濫用
  5. 原告の損害
     異動によって原告本人が,恐らく最初で最後の学年主任を3年間やり終えることが出来なかった事。それに加えて,教科及び学年を3年間持ち上がれなかった事によって,教員として及び生徒・保護者の教育権が侵害された事。
  6. 被告らの責任
     この異動は県の人事権の濫用,裁量権の逸脱であり,過失があり,違法なものである事。
  7. むすび
     奴田原証言,望月証言,原告本人証言,生徒藪崎陳述書を引用。教育の本質を尊重し適切な判断を下すよう,希望する。

このうちの3,および4について,もう少し詳しく紹介したいと思います。

3.理由にならない「配置換え理由」
 2回にわたって行なわれた県教委嘉村証言から,現在の教員異動の根拠とされている,県の人事異動方針・方策の主な4項目について,非常に曖昧な,中身のない具体性に欠けるもので,それを根拠に行われている異動自体が違法なものであると言う事が出来ることが明らかになりました。
 [1]マンネリズムの防止…マンネリに陥っているかどうかは,到底見極める事は出来ない。県側は単に 長期間勤務=マンネリ としか言っていない。また,嘉村氏は「一人一人の個人がマンネリに陥っているかどうかという問題ではなくて,県の方針としてマンネリ化を防止するために異動させるということ」と意味不明な証言をした。これでは異動の目的にはなり得ない。県側最終準備書面では,「マンネリを防止するために異動させるのだから,マンネリに陥っているかどうかは検証する必要がない。」と,これまた意味不明な論を展開している。マンネリを防止する,というからにはそう言う事実があって,その弊害を除く必要が,放置できないほどであった,のでなければならないはず。
 [2]前任校での経験を生かす…経験は学校を代わらなければ活かす事が出来ない訳ではない。どちらかと言えば,同じ学校で年数を積んだ方がより効果的に経験を生かすことは出来るであろう。原告本人尋問でも述べられたように,転勤は非常に大きなエネルギ―を費やすものである。経験を生かすためだけなら,異動は良い手段とは言えない。
 [3]性格の異なる複数校の経験を積む…『性格の異なる学校』の意味を問われて,嘉村氏は県側がはっきりと種類分けしている訳ではなく,結局のところ,「各学校はそれぞれ種類が違う」と述べ,無意味さを証明してしまった。また,『生涯5〜6校を経験する』ことについて,「5〜6校経験したことをどの様にどこで生かすのか」と問われて,答える事が出来なかった。
 [4]年齢構成のアンバランスを解消する…原告の後任として赴任してきた教員は原告とほぼ同年齢であったので,この項目は本件異動の理由にはなり得ない。また,証人尋問の過程で,この項目を異動の根拠としてあげながら,全県下でどのような年齢構成のアンバランスがあるのか,また,毎年の異動によってそれらがどの程度解消されたかの検証は一度もなされていない,という驚くべき事実が明らかになった。
 このように,内容のない,無意味な言葉だけの方針方策に則って大勢の教員・生徒の意思や希望を無視して,毎年多くの異動がなされていた、いるのである。これは市民としてとても黙って認める訳にはいかないことです。
まして,今回の異動について,どれをとっても『後1年待てなかった理由』にはならないのです。

4.裁量権の濫用
 北海道学力テスト最高裁判を引用し,教員の転任人事に関して県教委は完全な自由裁量権が認められているわけではなく,憲法第26条、および教育基本法などにより法的に制約を受けていると述べています。
 教育が、教員と生徒の間の直接の人格的接触を通じて,その個性に応じて行われるものであることから、教員と生徒との具体的な結び付きを,教育関係者は尊重しなければならない。そして、親は子供の教育に関して一定の支配権を有することから,子どもの教育権,教員の教育権、親の教育権は県教委の人事権を制約するものである。従ってこの異動によって,それぞれの教育権が侵害されたのである。
 生徒は持ちあがりにより継続されるべき小金高の教育を受ける権利を侵害され,原告を含む教員は,生徒との有機的な結び付きを破壊され,教育権,教育の自由を侵害された。
 また原告は初めての学年主任の経験を途中で一方的に奪われ,教師としての教育権を侵害された。更に、保護者も入学時に子供と一緒の卒業を約束され,当然それを期待していたのに,異動によってその期待を砕かれ,子に望ましい教育を受けさせようとする保護者としての教育権を侵害された。そして,県教委は「後1年待てなかった」教育的理由を明らかにするべきであること。この異動によって侵害された子ども、原告を含む教員、保護者の各教育権を上回る,この異動によって保護すべき教育権の主張は存在しない。最高裁が定立した教育に関する原理、原則をより具体的に明らかにした本件での子ども、教員、保護者の教育権は保証されねばならないものであり、それらを侵害した本件転任人事は憲法および教育基本法によって制約されている裁量権を逸脱して行使したもので、人事権の濫用と言わざるを得ない。
 と、非常に明快に述べています。

 これに対して,10月4日に送られてきた県側の最終準備書面は,情けないほど稚拙で,無内容なものでした。まったく正面から受けて立つ気が無いことが明白で,大きな憤りを感じます。私たちが精根込めて展開した最終準備書面の内容には,あげあし取り程度にしか触れず、お題目のようにこれまでの論を述べただけでした。
 私たちの論理の中心ともいえる,生徒、教員、保護者のそれぞれの教育権を,否定するのならともかく,まったく理解しない,しようとしないのです。「生徒には教育内容を批判する能力はない」「教員の配置換えを,生徒・保護者の要望によってみだりに左右するとすれば,教育委員会の権限と責任において行う教員の人事が公正・適正でなくなる」「通勤時間は車で5分で,勤務内容についても変動が無く,何ら不利益を伴うものではない。」等,枚挙に暇が無いのですが、相変わらず、『子ども』不在,現場不在の論です。私は,教員,生徒,保護者から直接県教委に出された20通もの要望、要請書を県がまったく無視していることをとても重要だと思っています。それらは,教育を実行する教員達,教育を受ける主体である生徒,そして子どもの教育の主権者である保護者のそれぞれが具体的に被る不都合,不利益を述べ,この異動を止めることを県に求めたのです。にもかかわらず,意味のない事が当の人事担当の証言から明らかになった人事異動方針・方策を厚顔無恥にもくり返し,「校務上の必要から行なわれた人事であり不利益はない」と言い切っています。県は一体誰に不利益がないと言 っているのか。
 1つ1つ反論を始めればきりがないくらい腹の立つ県側の最終準備書面ですが、これが教育行政の現実なのだろうと思います。せめて,このような人事が現在の教育の荒廃を招いている原因の1つだという私たちの主張に裁判官が聞く耳を持ち,少しでも現状を変えられれば,この裁判の意味は大いにあったことになり,それこそ私達が望んでいる事です。1月の判決公判がいずれにしろ何かを明らかにします。何はともあれ,一審判決までこぎつけられた事は,ひとえに皆様のご支援の賜物と思っています。深く感謝すると共に,今後とも多くの方々と共に教育を考えていきたいと願っています。どうぞよろしくお願い致します。

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市川で親が動き教師と結ぶ「日の丸、君が代」考える集い

山口兼男(千葉MABUI上映実行委員会)

 10月9日、市川で、「戦争協力をさせない会(準備会)」の呼びかけで、自治体への戦争協力拒否要請と、日の丸君が代の学校申し入れをテーマに、集いを開催しました。呼びかけの発信は、沖縄をテーマにした映画「MABUI」(マブイ)の実行委員会参加者です。映画の上映運動で、地域から平和のネットワークを作っていきたいという思いと、ガイドライン法成立、「国家国旗」法成立で地域がより焦点になっているという認識からです。
 参加者は、昨年小学校に申し入れを行った人、市川市教組の人、高教組の有志、市川在住の親たちと多彩です。学校現場からは、「今後、一層強制が強まる恐れがある。どちらかというと、意識的な教員だけの闘いになっていて、職員会議でもまたかという雰囲気すらある。親からの動きはありがたい」と発言がありました。親からは「日の丸に礼をするかたちの卒業式にはゾっとした。学校にも子供たちの望む卒業式にならないか言っていきたい」また、「申し入れは校長不在で、教頭にしたが、ハイ伝えておきますという感じで話し合いにならない。明らかの避けている。今度は複数でいきたい」「親がこの問題に今までかかわってこなかった反省にたって、学校に要請していきたい」などなど、盛り上がった話し合いとなりました。
 自治体要請は、市内の公共施設などを米軍に使用させないなどの項目を盛り込んだ「憲法とあゆむ会」の署名を取り組むとにしました。
 当面、12月に卒業式の議論が始まるのにあわせて、賛同者を多数つのり、学校申し入れをしていくことにしました。「法制化により指導内容に変化があるのか、職員会議にはかってほしい」など、要請をしていきたい。今後、月1回くらいで集いをしていくつもりです。法制化されても、おかしいと思っている人は多数います。学校申し入れの輪を教員と連携しながら広げていきたいと思います。

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「国旗国歌法制化」にともなう北九州市長への申入書

"hinokimi-ML"より転載

北九州市において、下記の団体の連名で、10月12日市長への申し入れを行いました。在位10周年もにらんだ上での申し入れです。
秘書室へ申し入れました。10月末までに返答を求めています。
参考まで
北九州がっこうユニオン・うい  竹森真紀




1999年10月12日


北九州市長 末吉 興一 様


アジア・女・北九州
甲山事件福岡救援会(北九州)
北九州越冬実行委員会
北九州がっこうユニオン・うい
北九州・かわら版
北九州「君が代」訴訟(=ココロ裁判)をすすめる会
北九州自立連帯労働組合
北九州地区カトリック正義と平和協議会
軍国主義に反対する会
カオル裁判を支える会
(憲法9条ポロシャツを口実とした小倉北養護学校研究発表妨害暴行訴訟
小弥「君が代」処分を考える会
三栄工業の不当解雇を撤回させる労働者の会
写真の会パトローネ
脱・原発ネットワーク九州事務局
日本キリスト教団北九州地区ヤスクニ人権委員会
日本バプテスト連盟北九州連合社会委員会
反戦・反核・反原発を考える会
反戦労働者の会
平和を考える市民の会
八幡製鉄の元徴用工問題を追及する会
【連絡先】北九州市鍛冶町2-3-22  093-533-9480
(北九州がっこうユニオン・うい)



市民への「日の丸・君が代」強制をしないことを求める請願

1999年8月9日政府与党は自らが追い込んだ広島世羅高校校長の自殺を反省することもなく、そればかりか彼の死を利用して「日の丸・君が代」法制化を強行しました。この「日の丸・君が代」法制化は、5月に制定された戦時体制法そのものである「日米新ガイドライン関連法」、6月に制定された権力によるプライバシー侵害を合法化した「組織犯罪対策法」、全ての国民を番号によって管理してしまう「住民基本台帳法」の改訂と連動しています。明らかに戦争国家化に向けて、国家・社会を全面的に変えていく策動に他なりません。現在の状態は、60数年前、治安維持法のもと、特高警察が暗躍して多くの思想や叡知が弾圧を受け、無謀な侵略戦争が押し進められていった時代に重なってきます。戦前も、国家や社会を戦争国家化への道を進めるときに道具として真っ先に使われたのは、学校でした。今回も「日の丸・君が代」法制化は、それを暗に匂わせています。法制化後に、高松市の教育長が「児童・生徒には『君が代』斉唱を拒否する自由はない」と発言したことからも伺えます。
残念なことに北九州市は「日の丸・君が代」法制化以前より、全国でも異例な「四点指導」、「国歌斉唱時には起立して正しく心を込めて歌うこと」「国旗に正対すること」という無謀な命令を各学校へおろし、「日の丸・君が代」を強制してきました。また、卒業式・入学式の「君が代」斉唱時に自分の内心の自由ー思想・良心を守るため、ただ着席していただけの教師に処分という脅しでさらなる強制という人権侵害を重ねてきました。我々が再三にわたり抗議してきたにも関わらず、それを改めることはありませんでした。
そもそも、教育基本法第10条にあるように教育は不当な支配に屈することなく、国民全体に対して責任を負わなければなりません。この「不当な支配」とは、過去の国家権力が力によって軍国主義及び国家主義が学校教育に押しつけられたことを指しています。再びこのような愚行を繰り返してはなりません。そして、「思想・良心及び信教の自由」もまた、過去の反省から憲法における基本的人権の中核として保障され、今や国際人権自由権規約においても、「基本的人権の中でもとりわけ精神的自由、すなわち内心の自由は、国家の存在自体が危殆に瀕する場合でもその権利保障は停止することは許されない権利」として保障されています。
「日の丸・君が代」法制化に乗じて、各地で「日の丸・君が代」強制の動きが始まっています。それは、市民に再び不幸をもたらす行為でもあります。本市、北九州市が今まで全国で先頭を切って「日の丸・君が代」を学校現場に強制してきたことへの反省に立ち、今後、憲法並びに教育基本法遵守する行政の先駆けとなるためにも、以下申し入れます。



  1. 学校及び官公庁での「日の丸」常時掲揚を取りやめ、今後も「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱の強制をしないこと。
  2. 「天皇在位十周年」に際し、祝意の強制や奉祝のイベントを行わないこと。また、公費を使用しないこと。
  3. 市議会における議場への「日の丸」の設置等の強制を行わないこと。
  4. 「国旗・国歌」法制化に伴って、新たな「日の丸」掲揚などに係る市費を支出しないこと。

以上

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11・12天皇在位10年反対職場交流会の案内

 「日の丸・君が代」対策委員会では、11月12日、天皇在位10年記念式典に反対し、以下の要領で、拡大対策委員会を開くことにしました。
 どうぞどなたでもお集まり下さい。

日 時  11月12日 午後6時30分〜9時
場 所  千葉県教育会館 201号室
内 容  ・県内外の情勢討議
      ・職場の実態と取り組みの交流
      ・今後の学習と闘い方についての討議

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編集後記

 今号では、10月8日に結審した「松本教育裁判」について、投稿していただきました。この裁判は、1994年度の小金高校の「日の丸・君が代」強制をめぐる闘争の中で、松本先生が強制配転になったことに対し、保護者達が立ち上がり、起こしたものです。この間、当時の校長は配転され、「日の丸・君が代」強制反対闘争も勝利し、三者協議会も作られました。
 ところで、情勢は急ピッチで動いています。岐阜県知事は発言を撤回しました。しかし、それで済むような問題ではありません。10月に入り、千葉県柏市は、「南京1937」の上映会場の使用許可を取り消すということをやりました。これは、一部の脅しに屈して、市が市民の当然の権利を守らなかったものです。広島県呉市の警察は管内の公立小・中学校で開かれた運動会について、「日の丸」掲揚や「君が代」実施したかどうかを各教育委員会に問い合わせていました。これらはいずれも、明確な憲法違反であり、当事者は厳しく裁かれてしかるべきものです。前号で紹介した八王子の根津さんにも校長はその後馬鹿げた「職務命令」を出してきています。彼らは自分の言動の持つ意味さえ判断できなくなってきているようです。天は滅ぼそうと思うものの頭をまず狂わせると言いますが、まさにそのことが眼前で進行しています。いずれ再び「裁きの日」(黒沢明監督「我が青春に悔いなし」より)が来るでしょう。
(stylo rouge)

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お知らせ

10月23日(土) 14:00〜 フォーラム・シンポジウム死刑廃止2000年問題「生きることとうたうこと」 明治大学13号館南講堂
10月26日(火) 16:30〜 「日の丸・君が代」問題学習会「福岡高校の闘いから学ぶこと」 船橋旭高校視聴覚室
10月26日(火) 13:30〜 中国人元「慰安婦」裁判第一次訴訟 陳林桃さん・周喜香さん 東京地裁103
10月26日(火)
 〜29日(金)
  船橋郵便局桜沢さん残業拒否分限免職取消人事院公平審査会  
10月27日(水) 18:30〜 中国人元「慰安婦」裁判第一次訴訟 証言集会 シニアワーク東京(飯田橋7分)
10月28日(木) 13:00〜 アーシアン連続講座「フェアトレードって何?」 船橋市中央公民館(JR・京成船橋6分)
10月30日(土) 14:00〜 印旛支部教研「新学習指導要領の狙うもの」 高嶋伸欣(琉球大教授) 成田国際高校文化施設
10月30日(土) 18:00〜 社会科シンポジウム「新学習指導要領と民主主義の教育」浅井基文他 東京芸術劇場5階会議室
 (池袋西口3分)
10月31日(日) 14:00〜 異議あり!天皇即位十周年式典、許すな!「日の丸・君が代」行動 渋谷勤労福祉会館(渋谷8分)
10月31日(日) 9:00〜 チャランケ祭 中野北口広場
11月3日(水) 13:00〜 千葉大学祭シンポジウム「大学における環境管理のあり方」 千葉大学法経学部棟106教室(予定)
11月5日(金) 18:30〜 「慰安婦」問題に触れたマクドゥーガル報告書は
 国際的にどのように評価されたか・報告者:前田朗
船橋市東部公民館(JR津田沼7分)
11月5日(金) 10:00〜 居住権裁判 松戸地裁501
11月6日(土) 14:30〜 「日の丸・君が代」の強制を許さない集い 都労働スクェア
 (日比谷線・京葉線八丁堀2分)
11月7日(日) 10:30〜 「マツシロ11.11」のつどい 松代大本営を訪れる旅
 問合Fax.043-253-5640
松代大本営象山地下壕
11月10日(水)
 〜14日(日)
14:00〜
19:00〜
喜劇・めんそーれ沖縄1999沖縄の心を乗せて走るバス
 問合:03-5377-1757
東京グローブ座(新大久保12分)
11月13日(土) 18:30〜 成田空港暫定滑走路計画を考える・小泉英政さんを囲んで 千葉市民会館(千葉6分、東千葉2分)
11月13日(土) 13:00〜 知花昌一さんのお話と三線ライブ
 13:00〜映画「ゆんたんざ沖縄」 15:00〜講演&ライブ
日本基督教会館4階
 (東西線早稲田3分)
11月13日(土) 14:00〜 東京地教研11月例会「アルメニア人が日本にきて不思議に思ったこと」
 申込:Tel.03-3651-9346
都立江戸川高校(新小岩南口13分)
11月20日(土) 14:00〜 印旛教育ふれあい集会「続・印旛の小中学生は今」 成田中央公民館
11月21日(日) 18:00〜 記録映画「今も夢に見ます」上映会 杉並公会堂大ホール
11月22日(月) 18:30〜 「子どもを救え」灰谷健次郎 砧区民会館
 (小田急・成城学園北口2分)
11月23日(火) 13:00〜 「分限」問題学習会 港合同法律事務所(千代田線赤坂4分)
12月5日(日) 10:00〜 第13回日本民教連交流研究集会・すすめよう私たちの教育改革を 武蔵野美術大学
 (西武国分寺線鷹の台19分)
12月14日(火) 10:00〜 社会科教研 千葉県教育会館
12月16日(木) 16:30〜 中村さん「分限免職」裁判 干葉地裁501
12月18日(土) 14:00〜 「新しい歴史」教科書を批判検討するシンポジウム カンダ・パンセ801
12月21日(火) 18:30〜 喜納昌吉ライブ 北沢タウンホール
1月22日(土)
 〜23日(日)
14:00〜
〜12:00
第9回「日の丸・君が代」反対!学校と地域をむすぶ連絡会 日本基督教会館&早稲田奉仕園

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