本家・世紀末を生き抜く言葉[6] 心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。
(サン=テグジュペリ「星の王子さま」より)
何回かラブ・レターに使った台詞だが、なかなか上手くいかないものである。(T.T.) |
11・16県教研「民主的学校作り/『答辞集・いまとむかし』を読む」報告 冬の時代を迎え撃つために(1) |
山中喜七(大多喜女子高校分会) |
「11・7県教研全体会」に参加して | 佐藤 由香(船橋二和高校分会) |
「日の丸・君が代」指導の徹底 焦る文部省、慌てる教委 |
近 正美(佐倉高校分会) |
都教育庁「ひのきみ強要通知」に対する抗議声明草案 | 武田泰彦(「日の丸・君が代」対策委員会 ・教育労働者) |
編集後記 | 心優しき叛逆者 |
お知らせ |
T君、お手紙ありがとう。獅子座流星群については、僕も午前3時に起きて、妻と二人で近所の小学校の校庭に茣蓙を敷いて、およそ90分余、寝そべりながら華麗とまではいかなかったとしても、晩秋の夜の天空が織りなすスペクタクルを感動をもって見続けました。
さて、T君。君に今こうして改めて手紙を認めるのは、去る11月16日、組合の教育研究集会の「民主的学校作り分科会」に参加し、卒業式の際の”答辞”がどのように変遷して来たのかの議論の時に、T君、君達のことを想い出して発言したからです。
君達は高校時代のあの頃、君達の先輩が生徒会を通じて勝ち得た”長髪の自由化”から数年後、さらに生徒会活動を活発化させて”制帽の自由化”を実現させ、次は”制服の自由化”へと進むだろうと誰にも想わせるようなすばらしい生徒会活動を展開していましたね。しかし、”制服の自由化”までには行かなかった。それでも君達は、卒業式の”答辞”については何を盛り込むかみんなで意見を出し合い議論し、それを土台に”答辞”を完成させていましたね。君達が高校を卒業したのは確か、1972年(昭和47年)の3月でしたね。とすると、オイルショックの前年ということになります。そのオイルショックと現在、T君、君が心配している高校生の息子さんやその友達の状況(身体の脆弱さやアレルギー疾患、自分の感情をことばに表せない、物事を理性的、全体的に捉えられない、学ぶことの意味や価値を見出せない、等々)とは無縁ではないのです。オイルショック以降の日本の教育は、簡単にいえば、総合安保体制下の企業社会の中に組み込まれ、受験・管理体制が強化され、生徒は能力主義競争に追いやられたのでした。君が心配している息子さんの様子や、現在の子どもたちが示すシ
ラケやシニシズムも、その競争がもたらす不安や恐れを抑えるのに精一杯になっている所から生じているのにちがいありません。自律神経系の未成熟も同じ理由によるのでしょう。従って、オイルショック前に君達が体験したような高校生活を、君が息子さんの高校生活の中に求めるのは、所詮無理なのだと思います。
T君。ここで僕からのお願いです。君はそんなに大きくないとはいえ、お父さんの跡を継いで農村に製造工場を持ち、生産活動に従事して来たのですから、1980年代後半から今日までのおよそ10年間、君が見てきた工場生産と農業地域、さらに土地と金融世界の変貌がどんなものであったのか、その状況を教えてくれませんか。君達が高校を卒業する頃は卒業式に”君が代”は歌われなかった。”日の丸”もなかった。それなのに現在は・・・何かが又、大きく変えられようとしている。その背景にあるものは何か。この10年余りの間にいろいろな所にそれが出ていたのではなかったのか。僕はそれを識りたいのです。
T君。君も既にご存知のように、11月18日、幼稚園、小・中学校の新しい学習指導要領案が発表されましたが、これは、1996年の7月に出された第15期中央教育審議会の、第一次答申にそったものであることはまちがいないでしょう。そしてその答申には「経済大国の地位も、東アジアを中心とした海外諸国の競争力の向上により揺り動かされており、わが国はたんに良質のものを製造するだけでなく、より付加価値の高い製品やサービスを提供する高次な経済社会へと経済構造の変革をしていく必要がある。このような経済構造の変革の中で経済の高度成長に深くかかわった終身雇用や年功序列という日本型雇用システムも揺らいでいる」という文章が出ています。さらに、今回の学習指導要領の改訂案でも「国際社会に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成する」ことが強調されています。そう、オイルショック以後、学校が総合安保下の企業社会の一環として位置づけられたように今度は、学校がガイドラインに対応し、ひたすら大企業に奉仕しカッコづきの国際貢献に一途に協力する人間作りの場となることが求められているのだと思います。
T君。何時の間にか長い手紙になって申しわけありません。「民主的学校作り分科会」はこの後、こうした教育と学校、そして高校生達をとり囲く困難な状況の中で、民主的学校作りをどう進めるのか、小金高校からの報告を聞いて議論は進み僕も発言したのですが、それはこの次の手紙にさせて下さい。そして、この手紙の結びとして、T君、君が高校時代に気に入ってくれた、高村光太郎の”冬が来た”を今は僕が自分自身に言い聴かせるために記すのをどうか許して下さい。お元気で。
きつぱりと冬が来た 八つ手の白い花も消え 公孫樹(いてふ)の木も箒(ほうき) になった きりきりともみ込むやうな冬が来た 人にいやがられる冬 草木に背(そむ)かれ、虫類に逃げられる冬が来た 冬よ 僕に来い、僕に来い 僕は冬の力、冬は僕の餌食(ゑじき)だ しみ透れ、つきぬけ 火事を出せ、雪で埋めろ 刃物のやうな冬が来た |
3時間近く不得手な政治・経済に関わる話を聞いて理解できるかどうか不安だった上に、この教研の感想を書いてみませんかと言われ、大変緊張してしまった。しかし、渡辺治先生の熱意にあふれ、時にユーモアのにじむ語り口にひきこまれ、次第に時の経つのを忘れてしまった。
これまでの教育改革が財界の要請を受け、どのような背景で生まれてきたか、という話だったが、現場の教員は、理念を実行に移す過程で生じる様々な問題や、今を生きる生徒たちのひきおこす問題行動に直面し、日々、ストレスをつのらせているようだ。
戦後の高度成長時代、バブル時代、そして不況の時代と、その時々に社会が望む人材を送り込むのが教育の仕事の1つの側面であるなら、どのような社会にあっても生きていける力をつけるのもまた教育の仕事だと思う。いろいろなことが地球規模で進行していく今、自分たちだけが豊かであれば良い、という考えを捨て去り、他者に対する共感と友愛の気持ちを育てるのが教育であり、知識はすべてこのために役立てるべきであると思うが、90年代教育改革は果たしてこの方向に進んでいけるのか、注目したい。
既報のとおり、文部省初等中等局長・辻村哲夫発1998年10月18日付で「公立小・中・高等学校における入学式及び卒業式での国旗掲揚及び国歌斉唱に関する調査について(通知)」という文書が出されています。この文書の調査結果の概要はお伝えしたとおりですが、文書全文を公文書公開制度により11月27日に千葉県教育庁学校指導部指導課義務教育係宮崎氏より入手しました。
この調査結果(完全実施24県)を文部省は下のように評価しています。
平成9年度卒業式及び平成10年度入学式における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施状況については、前回の平成7年春の調査に比べて全体としては実施率が上昇しているものの、いまだ実施されていない学校があり、また一部の都道府県において依然として実施率が低い状況があります。 |
そして、「国旗・国歌」を卒業式・入学式で実施する理由を以下のように述べています。
これからの国際社会に生きていく国民として、我が国の国旗・国歌はもとより諸外国の国旗・国歌に対する正しい認識と、それらを尊重する態度を育てることは重要であります。このような考えに基づき、現行学習指導要領においては、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」とされております。 |
以上のことから、文部省としては、下記のように「指導の徹底をお願い」しています。
各都道府県・指定都市教育委員会におかれては、貴管下の小・中・高等学校において、学習指導要領に基づき、国旗及び国歌に対する指導が適切に行われるよう、改めて指導の徹底をお願いします。 |
さて、このような「通知」を受けた県教委はどのような対応をするのでしょうか。公文書公開の時の宮崎氏は「通知を全てそのまま現場に流すわけではない、この文書については今のところ何かをするということは考えていない」と言っていました。さて、千葉県教委は本当に何もしないですむのでしょうか。文部省の通知文からすると、「一部の都道府県において依然として実施率が低い」ことが問題のようです。それからすると、千葉県は特別の問題にはならないのかもしれません。
しかし、他の都道府県ではとんでもない通知が出されています。それは、東京都教育庁指導部長・蛭田正弘発11月20日付「入学式及び卒業式などにおける国旗掲揚及び国歌斉唱の指導の徹底について(通知)」というものです。
この文書では、「文部省による全国調査の結果が発表され、実施率の低い都道府県における指導の徹底が求められております。」ので、「各学校においては、国旗掲揚及び国歌斉唱の指導にかかわるこれらの動向を踏まえ、卒業式及び入学式の準備及び実施に当たり、学習指導要領及び別紙の「実施方針」に基づき、国旗掲揚及び国歌斉唱に関する指導が適切に行われるよう、改めて指導の徹底をお願いします。」としています。ここで驚くのが、この「別紙」なるものです。
別紙 都立高等学校における国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施方針
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ここまでやるかという内容になっていますが「笑い話」ではありません。生徒や保護者の良心の自由とか、在日外国人の生徒や親とか、「日の丸・君が代」の歴史的意味とかなどというものは、全く無視して、ただひたすらに「国旗掲揚・国歌斉唱」の「指導を徹底する」ことにどれだけの「教育」としての意味があるというのでしょうか。この東京都の「実施方針」に興味関心のある方、ご意見のある方は下記にお問い合わせください。
東京都教育庁指導部長・蛭田正弘 | TEL.03-5320-6830 FAX.03-5388-1733 |
都教育庁高校教育指導課長・佐藤徹 | TEL.03-5320-6844 FAX.03-5388-1733 |
東京都教育庁学校部長・小海博指 | TEL.03-5320-6740 FAX.03-5388-1727 |
東京都教育庁学務部副参事・阿部孝 | TEL.03-5320-6712 FAX.03-5388-1727 |
国政の場で成立した自・自連立政権合意は、戦後日本を支配して来た開発独裁政権最後のあがきである。しかし、歴史の流れは止められない。私たちは、すでに日本開発独裁政権打倒後、さらに米国による世界支配体制崩壊後のあるべき日本の姿を考えている。その時には、「平和主義・国民主権・基本的人権の尊重」という日本国憲法の根本原理はさらに具体化され、その方向で憲法自体も、従っていわゆる日本の「国体」も、変革されるであろう。戦前・戦中は軍国主義の、戦後は開発独裁政権の象徴であった「日の丸・君が代」の、そして天皇制の命運も、今まさに尽きなんとしているのである。
「愛国心は卑怯者の最後の楯」と言われる。「日の丸・君が代」の卒入学式における指導徹底を「通知」や「学習指導要領」という命令で下達し、その一方でオリンピックを筆頭とするスポーツイベントを通してそれらの国民の意識への刷り込みを図る教育委員会や文部省の動向は、「最後の楯」にすがる開発独裁政権の姿そのものである。
私たちは、遠からず「最後の楯」を乗り越え、開発独裁政権を打倒する。繰り返すが、それは歴史的必然である。開発独裁政権の教育官僚諸君。せいぜいその日を1日でも先延ばしにするために、「最後の楯」の補強に汗を流したまえ。無論、その営為自体が、開発独裁政権の崩壊をかえって早める結果を生むことも歴史的必然であるのだが、諸君にはこのことは理解できないであろうし、理解できても自ら大勢を動かす意志も意欲もないであろう。せいぜいのご健闘を祈る。
12月12日(土) | 18:00〜 | 「もうひとつの歴史」学習会 /軍事学からみたアジア・太平洋戦争 |
表参道駅・東京ウィメンズプラザ第1会議室 |
12月12日(土) | 13:30〜 | 日本軍性奴隸制を裁く ・2000年女性国際戦犯法をどう聞く |
早稲田大学国際会議場 |
12月13日(日) | 13:00〜 | 南京レイプを明らかにする東京集会 | 星陵会館 |
12月16日(水) | 16:40〜 | 中村さん分限免職取消裁判 | 千葉地裁505 |
12月16日(水) | 14:30〜 | 所沢高校「竹永先生不当処分人事委員会審理」 | 浦和駅・埼玉県庁第3庁舎 |
12月18日(金) | 14:00〜 19:00〜 |
教えられなかった戦争・沖縄編 /阿波根昌鴻、伊江島のたたかい |
シニアワーク東京 |
12月19日(土) | 14:00〜 18:00〜 |
教えられなかった戦争・沖縄編 /阿波根昌鴻、伊江島のたたかい |
豊島公会堂 |
12月20日(日) | 14:00〜 | 教えられなかった戦争・沖縄編 /阿波根昌鴻、伊江島のたたかい |
シニアワーク東京 |
12月21日(月) | 15:30〜 | 731部隊細菌戦被害者国家賠償請求訴訟 | 東京地裁103号法廷 |
12月21日(月) | 14:30〜 | 「日の丸」処分撤回・工藤先生人事委員会審理 | 仙台かんぽヘルスプラザ |
12月22日(火) | 南京・戦争裁判判決 | ||
1月18日(月) | 15:00〜 | 高嶋教科書訴訟「公判&報告集会」抽選 | 東京高裁101号&弁護士会館 |
1月20日(水) | 14:30〜 | 所沢高校「竹永先生不当処分人事委員会審理」 | 浦和駅・埼玉県庁第3庁舎 |
2月6日(土) | 14:00〜 | 千葉高教組「沖縄修学旅行学習会」 | 教育会館 |
2月15日(月) | 15:00〜 | 福岡高校処分撤回訴訟「事実上の結審」 | 浦和地裁 |
2月17日(水) | 14:30〜 | 所沢高校「竹永先生不当処分人事委員会審理」 | 浦和駅・埼玉県庁第3庁舎? |
2月27日(土) | 13:00〜 | 子どもと教科書全国ネット21 「子ども・地域の実態や活動から学ぶ」 |
小田急線参宮橋駅 国立オリンピック記念青少年総合センター |