元祖・世紀末を生き抜く言葉[3] (万葉集・市原王) 「世紀末」──ならばこの世紀とはいったい何であったかと問えば、未曾有の大量殺戮の時代だったと、姿無き声が答えるだろう。進歩の観念に追いまくられて疲れた心は、ときに「かつての日本」を懐かしんだりする。しかしどうせふりかえるのならこの万葉集の松 籟の音に耳を澄ませてみる方がずっとよい。 |
98日教組平和集会(10/8〜10、岩国)に参加して 新たな兆し |
渡部秀清(浦安高校分会) |
千葉高教組「9・25周辺事態法反対学習会」講演要旨 新ガイドラインとは何か |
前田哲男(東京国際大学教授) |
「10・6周辺事態法やめろ、戦争協力を許さないつどい」 に参加して |
木村日出男 (「千葉GAMA改め千葉MABUI出資上映」実行委員会) |
消費者としての生徒[3] | 武田泰彦(教育労働者) |
編集後記 | 心優しき叛逆者 |
お知らせ |
10月8日、全体会場になった「シンフォニア岩国」の入り口にて、『日教組中央の路線転換と言論統制に抗議する!/98日教組平和集会の成功のために』と題するビラをまいた。このビラでは、1995年に路線転換した日教組中央がいかに文部省の下請け・出先機関化したかということと、この間の教研集会や集会における言論統制の実態とを暴露し、彼等がいかに組合員大衆から遊離・孤立化しつつあり、最後には見捨てられることになるであろう見通しを述べた。
参加者のほとんど全員が受け取り、約150枚がはけた。
2時から始まった全体集会では、広島高教組の安保委員長の挨拶と、岩国市議田村順玄氏の特別講演が印象的だった。安保委員長は次のように述べた。
「自分の父は中国侵略で大ケガをした。戦後、一家は苦しい生活を強いられた。それで、自分が高校時代、母に『なんで戦争に反対しなかったのか!』と詰め寄った。母は、泣きながら『何も分からなかった。気付いたら戦争になっていた』と言った。全体状況を正しく把握するのは難しい。
ところで、中教審は何を言っているのか。表向きは『地方分権』とか『学校の主体性』とか言っている。しかし、実は管理統制がその裏にある。また、『規制緩和』で『自由』と言っているが、弱者にとっては『餓死する自由』に他ならない。自由の名の下に学校の中に『競争』が持ち込まれている。今後、学校間格差は広がり、『荒れ』はさらにひどくなり、それが排外主義思想に利用されるだろう。」
この挨拶は、中教審を評価する日教組中央に対する明確な批判であった。
田村氏は次のようなことを話してくれた。
「岩国の花火大会があった8月1日の夜、女子中学生、高校生がそれぞれ2人の米兵に襲われるという事件があった。8月下旬に新聞報道にもなったので、市教委に米軍に真相調査と抗議をするよう申し入れた。また、市議会でもそのことを市当局に対し追及した。しかし、いままで何の対応もない。
ところで、岩国では、『周辺事態法』の先取り実施が進められている。この10月1日にも、岩国港に米軍の貨物船が入り、車両やコンテナを陸揚げした。さらに現在、米軍岩国基地の拡張工事が行われており、沖縄の有力な基地移転先となろうとしている。また、新しく大岸壁が作られ、作戦行動のできる日本最大級の港になる。」
翌9日は、上関原発の現地報告が祝島漁協組合長の山戸氏からなされた。
「1982年、町長が引退前に『原発誘致』を発表した。祝島では10%の有力者が金をもらい賛成していた。しかし、臨時総会で役員をリコールし、漁協は反対の姿勢を鮮明にした。それ以来16年間毎週1回島内デモを続けてきている。ストレス解消、健康にも良い。
現在、『原発をつぶしたが、島の生活もつぶれた』ということにならないよう、『島おこし』にも取り組んでおり、『さより』の加工や『ビワ茶』作りなどに力を入れている。
今後の見通しとしては、土地確保が困難、漁業補償が困難、周辺の市町村への反対運動の広がり、などから、我々に有利に推移するだろう。」
その後、フィールドワークで米軍岩国基地と上関原発「予定地」を船でまわった。岩国基地では基地を一望できる堤防の所で説明を聞く。基地内はトラックが忙しく行き来している。「基地外は不況だが、基地内は建設ラッシュ」ということだった。説明を受けている間も、ジェット戦闘機が飛び立つ。その度に、物凄い轟音であった。
上関原発「予定地」は船上から見た。祝島までは海を挟んで目と鼻の先である。祝島の人たちにとってはたまらないだろうと思った。
その夜、ホテルで立食パーティ形式の交流会が開かれた。千高教組からは私一人の参加だった。私は次のような挨拶をした。
「日教組の路線転換に反対している千高教組です。初日、全体会場の前でビラをまかせてもらいました。上関の祝島漁協組合のリコールの話は参考になりました。」(拍手)
交流集会の最後に日教組の挨拶があったが、組織共闘部長の山根氏は、準備を進めた地元教組や、現地報告で協力してくれた人々にお礼を述べ、最後に「日教組はかわっちゃいけん!」と述べた。
彼は、各地で地道に闘っている組合員や市民運動家たちの力に押され闘う姿勢を示さざるを得なかったのであろう。
私は、初日にまいたビラの結びに「情勢の変化の中で、日教組の闘う伝統は再び蘇るだろう」と書いたが、はからずも今集会はその新たな兆しをみせた集会でもあったと言えよう。
【新ガイドラインはどこから来たのか/決定までの流れ】
昨年の9月、日米安保協議が行われ、安保の新しい運用方針「日米防衛協力の為の指針」、通称「ガイドライン」が改定された。この新ガイドラインを実行するために必要なのが、2つの法律(「周辺事態安全確保法」・自衛隊法「改定」)とアメリカ軍との「日米物品役務相互提供協定」である。これら法律、協定は新ガイドラインに命を吹き込むもので、成立すれば新ガイドラインを実際に運用することができるようになる。
ガイドラインとは、日米安保を運用するための「マニュアル」である。安保条約の第5条、第6条には、日米の防衛協力と、日本及び極東平和の為に、アメリカ軍が日本の駐留基地を使用できることが定められている。しかし、条約は漠然と防衛協力を定めているだけで、具体的にいつ、どこで、どのように協力するのかを規定していない。この条約に具体性を与えるのがガイドラインの役割であり、このガイドラインによって日本がどのようにアメリカ軍に協力するかが立案される。
【新ガイドラインは何を決めたのか/問題の整理】
冷戦期には、ソビエト軍のウラジオストック艦隊が北海道へ侵攻、日米がソ連軍の侵攻を共同で阻止、という想定でガイドラインが作成された。この1978年制定のガイドライン(78年ガイドライン)は、日本が「攻撃を受ける」ことが大前提で、攻撃に対する「共同防衛」という枠内で組み立てられていた。この背景として、「安保は防衛条約」「自衛隊は日本の領域外に出ない」との岸答弁があり、よって安保は「合憲」との位置づけがされていた。
しかし、冷戦の終結によって78年ガイドラインが想定していた危険は、消滅、このため、冷戦後の世界に対応する新ガイドラインの作成が必要になったのである。日本では自民党の長期単独政権が崩壊し、アメリカではクリントン政権の誕生によって、新たな世界戦略が開始された時期にあたる。1995年、アメリカ国防省が発表した「ナイ報告」では、21世紀もアメリカは太平洋国家であり、東アジア・太平洋に10万人のアメリカ軍が前方で展開、その内4万を在日アメリカ軍が担うという戦略構想がうち立てられた。
これを基に日米交渉が開始され、アメリカ主導の形で安保の新しい位置づけ、「安保の再定義」が進められた。日米安保協力の重心が「日本防衛」からアメリカの東アジア・太平洋戦略にからむ「周辺地域の紛争」に移行し、96年に「日米安保共同宣言」、97年には「新ガイドライン」がまとめられた。そして今年98年4月より、新ガイドラインの受け皿となる国内法、規定の整備が進められようとしている。
【「周辺事態法」のもつ危険性の本質】
新ガイドラインの実効性確保のための周辺事態法であるが、ここでいう「周辺事態」の定義はきわめて曖昧である。「与党PKO・ガイドライン問題協議会用資料」(1998.4)によると、「周辺事態」とは「我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」であり、「周辺」とは「地理的概念」ではなく「事態の性質に注目した概念」であって、「我が国の平和と安全に重要な影響を与えているか否か」が問題とされる。法律に「周辺事態」の定義がなく、恣意的に運用される危険がある。
法案の第10条では、周辺事態に対処した場合、国会へは「遅滞なく報告しなければならない」とある。つまり、周辺事態に対する行動は安全保障会議と閣議決定により実行され、国会は事後報告を受けるだけで総理大臣が「戦争権限」を握ることになる。「報告」では法案が通らないとしてこれを「事後承認」に変更する動きもあるが、「事前承認」については、実際の運用に支障をきたすとしてアメリカ側が難色を示している。
法案では周辺事態への対処のため、「地方公共団体及び民間の権限並びに能力の活用」として防衛庁長官が協力要請をするとある。これは、周辺事態法が外でのこれまでになかった戦闘を想定しているため、これまでにはなかった国内基盤を整備する必要があるためである。定かならぬ理由、場所での行動を行うために、法律による裏付け、国内基盤が広く求められている。すでに小樽や函館など民間港への米艦寄港というかたちでも先取りの実態が見られており、憲法で保障された地方自治の原則を脅かすものである。
【どう取り組んでいくか】
周辺事態法は憲法第9条だけでなく、国会の軽視に見られるように、主権在民、民主主義への挑戦でもある。また、地方自治体や民間への協力要求は、地域と職場に直接振りかかってくる危機である。地域と職場が自らの問題として一体となって取り組まなければならない。
〈文責:増子晋一郎(津田沼高校分会)〉
私は、千葉GAMA改め千葉MABUI出資上映実行委員会の一員として、周辺事態法反対の立場で集会に参加しました。
政府自民党は、金融関連法や労基法改悪と同様に、野党との談合で新ガイドライン関連法案を強行しようと、策動を強めています。
10・6集会は、超党派の国会議員や弁護士、反戦地主会をはじめ、様々な市民団体や労組が実行委員会を作り、新ガイドライン関連法案廃案に向けた共同した闘いの一大結集となりました。
各組合の旗、市民団体の手作りの横断幕や手作りゼッケン等で、続々と日比谷野音に結集して来ました。その数1500名くらい、予定より全体的に結集が少なかったみたいですが、全交のエイサーや歌舞団の歌のオープニングで、集会は始まりました。
実行委員会挨拶と経過報告を事務局長の内田弁護士より始まり、島袋宗康参議院議員の挨拶、そして沖縄代表団挨拶を照屋秀傳反戦地主会会長より、沖縄県知事選必勝のアピールと周辺事態法廃案に向けて共同した闘いが必要と、熱いメッセージが届けられました。
次に諸運動の報告を、横田基地訴訟団・海員組合・婦人民主クラブなどから、周辺事態法の危険性や運動の重要性などを、身近な話を中心にわかりやすく報告があり、非常に参考になりました。
最後に、つどい宣言案採択後、国会に向けて請願デモを元気に出発しました。
この共闘の今集会を第一歩として、11月臨時国会での廃案を目ざして、共に各地域・職場・学園で、反対の世論を大きく盛りあげ、周辺事態法及びガイドライン関連法案をつぶしましょう!
【規制強化が日本を救う】
当然、今後の日本の子ども、ひいては日本の未来を救うのは「心の教育」などというものではない。企業による子ども相手のマーケティングに対する総合的な規制である。江戸時代の幕政改革のような単なる「贅沢禁止令」のようなものでは効果はない。既存の法規の運用強化(JTの幹部は逮捕・起訴、未成年に酒・煙草を売った店は営業停止・・・)、許認可制度の見直し(3ない運動の法制化・・・)、世論操作(モノを買い漁るのはダサイ!)、課税、行政指導、不買運動(子どもにまで財布やバッグを売りつけているブランドを叩いて倒産に負い込む)、何でもありだ。何でもすべきだ。同時に、子どもに対する大人(教員に限らない)の指導権の強化である。学校について言えば、子ども相手のマーケティングにひきずられない範囲におさまるなら私服登校も解禁すべきだが、奢侈な身なり・反社会的な身なりについては徹底的に規制する権利を学校側に与えるべきである。通信機器等ろくでもないオモチャの所持・持ち込みについても同様。指導に従わない生徒には、小中学生でも特別指導あり。深夜徘徊する子どもは即舗道。
一方で、子どもが金を使わず、そこそこ自由に、時には子ども相手に商売をしようとしない大人とつきあったり指導されたりしながら、遊べる空間と時間を確保する。
そのためには、企業の言いなりにならない政府をつくる必要がある。一方では資本主義を非難しながら、一方では子どもの権利を擁護したつもりで資本の権利を擁護するという誤りを犯して来た日本の左翼は、心を入れ替えて運動すべきである。資本主義経済から子どもを解放しよう!そのためにこそ、真の革新政権の樹立を!
最後に、戦争や天皇制や「日・君」に関して言えば、これも最近は消費の対象として売り込まれているように思う。学校への押しつけ強化はアレルギーを持たれないようにする程度が到達目標で、あとはゲームやマンガや小説、スポーツイベントや報道を通して、国民がそれに擦り寄って行くように仕向ける方が効率が良い、と向こうは考えているのではないか。ワールドカップサッカーを取り巻く日本の社会の動きから、そんな流れを感じませんでしたか?
(連載終了)
編集後記10月16日付の朝日新聞に、「日の丸・君が代/完全実施は全国で25県」なる記事が載った。文部省は「まだ不十分」と言ったらしいが、ぼくたちにとっては「十分過ぎる」数字だ。 (心優しき叛逆者) |
10月23日(金) | 17:30〜 | 千葉高教組市川支部教研「学校の先生には見えないこと」 〈講師:藤井誠二〉 |
市川工業高校 |
10月24日(土) | 10:00〜 | 多様化する家族と子育て/現代の結婚・離婚をめぐって 〈講師:芹沢俊介〉 |
牛込聖公会バルナバ協会 |
10月25日(土) | 13:00〜 | 開かれた学校へ/子どもたちに自由と支援を | 千葉大学けやき会館 |
10月25日(日) | 14:00〜 | 戦争犯罪とは何か[2]小林よしのり「戦争論」で遊ぶ 〈講師:上杉聡〉 |
水道橋駅・東京全水道会館大会議室 |
10月26日(月) | 12:30〜 | 高嶋教科書裁判「公判&報告集会」 〈講演:佐高信〉 (抽選) |
東京高裁第3民事部 弁護士会館 |
10月28日(水) | 13:00〜 | 千葉高教組「佐々木事件人事委員会審理」 | 県庁南庁舎人事委員会審理室 |
10月29日(木) | 10:30〜 | 中村さん分限処分裁判 | 千葉地裁501号 |
10月30日(金) | 18:00〜 | 新安保ガイドライン・周辺事態法反対千葉県総決起集会 | 千葉市文化センター5階セミナー室 |
10月31日(土) | 13:30〜 | もっと楽しく学びたい/奥地圭子さん講演会 | 船橋勤労市民センター |
10月31日(土) | 14:00〜 | 千葉高教組情報公開推進委員会 「学習会/情報公開と学校教育」〈講師:吉永満夫(弁護士)〉 |
船橋旭高校 |
10月31日(土) | 14:00〜 | 千葉高教組印旛支部教研「正しいお友だちのつくりかた」 | 佐倉高校セミナーハウス |
10月31日(土) | 15:00〜 | 李政美コンサート | 上野水上音楽堂 |
11月1日(日) | 14:00〜 | 情報公開をすすめるちば連絡会 | 千葉市民会館 |
11月2日(月) | 14:30〜 | 工藤先生「日の丸」処分人事委員会審理 〈尋問:教頭/証言:高嶋伸欣〉 |
仙台かんぽヘルスプラザ |
11月2日(月) | 18:00〜 | 「ウソつき女、英子」 (「従軍慰安婦」にされたハルモニの証言ドラマ) |
曳舟文化センター |
11月3日(火) | 12:30〜 | 新ガイドライン反対の声を! | 上野水上音楽堂 |
11月14日(土) | 13:00〜 | ポップコーン・コンサート | 船橋勤労市民センター |