ひのきみ通信 第7号

1997年12月5日


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県議会を糺す市民が結集
 歴史歪曲の「意見書」採択に抗議
佐倉高分会 近正美
「千葉県議会『慰安婦問題もみ消し意見書』
 可決を考える松戸市民集会」報告
武田泰彦(教育労働者)
木更津東高校の卒業式
 卒業生みんなで作った答辞
東京・中島裁判に学ぶ
 〜「日の丸・君が代」反対・強制異動反対闘争勝利〜
渡部秀清(浦安高校分会)
(資料)千葉市議会に提出された意見書(案)
お知らせ
編集後記 琉美

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千葉市議会でも
「慰安婦」削除の意見書提出される
不採択を求めて抗議の声を結集しよう!


県議会を糺す市民が結集
歴史歪曲の「意見書」採択に抗議

(佐倉高分会 近正美)

 11月15日(土)午後6時より、千葉県教育会館で73名が参加して「千葉県議会での『慰安婦』削除の意見書採択を考える千葉集会」が開かれた。
 最初に千高教組の佐久間さんから経過説明。その後、「意見書」反対の立場から、小松実議員(日本共産党)と久保村礼子議員(県民連合)から(県議会の全会派に参加要請をしたが、自民党、新進党などの参加はなかった)発言があり、質疑のやり取りの後、全体の意見交換が活発に行われた。
 佐々木裕二さん(木更津東高校)、俵義文さん(出版労遵・教科書対策部)、木田文代さん(千葉市議会議員・日本共産党)、武田泰彦さん(流山南高校)、竹内悦子さん(千葉市議会議員・市民ネットワーク千葉)、小幡勉さん(京葉工業高校)、梅靖二さん(東葛市民の会)、吉田典裕さん(出版労連・教科書レポ−ト編集長)、木幡充さん(千葉県平和委員会)、中山文夫さん(旭農業高校)、宍倉英男さん(千葉県革新懇)、穂鷹守さん(かつしか人権ネット)の11名の方から発言があり、全国の現状、県内各地の状況や取り組み、今後の活動への展望と行動提起などが活発に行われた。
 最後に、渡部秀清さん(浦安高校)が閉会の挨拶とまとめを行い、熱気ある集会を閉じた。(集会の詳細については、「ひのきみ通信」11月21日速報版か、集会報告記を参照してください。)

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「千葉県議会『慰安婦問題もみ消し意見書』
可決を考える松戸市民集会」報告

武田泰彦(教育労働者)

 11月20日、標記集会が松戸市民女性会館で開催された。高教組の関係では、皆川副委員長、馬橋高分会広川、流山東高分会神、流山南高分会武田が呼ぴかけ人になり、当日も10人が参加した。全体の参加者は39人と千葉での集会に比べて寂しかったものの、県議会から、県民連合・共産党に加えて、やはり「意見書」に反対にまわった公明からも議員が参加、市議会や市民団体・労組からの参加者も多彩で、集会呼びかけ文章のフレ―ズ「この意見書のような発想・動きに反対の一点に結集」に忠実な内容の集会にすることができた。
 時間の制約もあって、やや報告・発言しっぱなしで終わった観もあったが、ほとんどの参加者が受付の際に「今後の連絡可」と書いてくれたので、松戸市での連帯・運動の出発点としては非常に有意義だったと思う。集会後の反省会も、千葉での集会に引き続いて参加してくれた出版労連の俵さんを中心に大いに盛り上がった。
 聞けぱ、さっそく千葉市議会では県議会同様の動きが出ているという。私たちも、より浸透力のあるわかりやすい表現で、それぞれの自治体の住民への訴えを強めてゆく必要を感じる。「悪いことをしてしまったら素直にごめんなさいと謝ろう」「自分たちの悪かった点は潔く認めよう」「理屈をこねて自分たちの責任をごまかすのはやめよう」「政治家や大きな会社の経営者たちの汚い・ずるい・あくどい・みっともない・いんちきな・ひきょうな行動が見本になって、子どもたちが非行に走っている」・・・。そして、ぜひ高教組の皆さんには、県議会に「意見書」を撒回するように求める陳情書(書き方は、12月7日の柏市での集会のビラの裏を見るか、武田もしくは県議会事務局へ問い合わせを)送ってほしい。奴らは、憲法を改悪し、再ぴ日本を戦争に参加させるという目標めざしてつき進んでいる。そろそろ立ち上がらないと、皆さん手遅れになりますぞ・・・。

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木更津東高校の卒業式

卒業生みんなで作った答辞

掲載準備中

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東京・中島裁判に学ぶ

〜「日の丸・君が代」反対・強制異動反対闘争勝利〜

渡部秀清(浦安高校分会)

 10月12日、東京の亀戸中央公園で、『国労団結まつり』があった。
 会場の―角で「教育の民主的変革を勝ち取る会」(前・中島強制異動撒回を勝ち取る会)主催の「「日の丸・君が代」反対交流会」が開かれる、という知らせを受けたので、船橋法典の高木さんと一緒に参加してきた。
 交流会には、主に首都圏で闘っている人達が20人位集まっていた。
 この交流会で、主催者団体が発行した『中島裁判勝利報告集』を購入し、読んでみたら、ここには、われわれが学ぶべきものが幾つかあると思った。
 以下、この『報告集』を参考に、中島裁判について簡単に紹介したい。
 中島裁判とは、東京の小学校に勤務していた中島暁氏が、「日の丸・君が代」反対闘争をしたというので、大田区から世田谷区の小学校に強制異動させれられた(1994年4月)事に対し、撒回を求めて闘った裁判である。
 中島氏は、連合系の大田教組の中にあって、「連合路線を許さず職場の願いを大切に大田の統一した教組運動を強める会」を結成し、結成当時から代表を務めてきた教員である。また、氏は、大田教組の中にあって、「日の丸・君が代」反対闘争の最前線で闘っていた。
 強制異動は、形の上では、一応、都の「異動要綱」(1981年に設定。それまでの「希望と納得の原則」を廃し、10年経過すれぱ有無をいわさず他区に異動させるというもの)にもとづき行われた。
 しかし、実際にはおびただしい「例外的人事」がなされており、中島氏が強制異動させられた年にも、大田教組の組合三役5名は、全員、「例外的人事」の運用を受けている。一方、「強める会」のメンバーは、それまで、目黒区に1人、品川区へ1人、強制異動させられており、「強める会」への組織的破壊攻撃が加えられていた。
 したがって、都教委の狙いは明らかに、[1]「強める会」活動の拡大をつぶす、[2]「日の丸・君が代」反対の取り組みの拡大をつぶす、というものであったと言ってよい。
 中島氏は、1994年5月、人事委員会に提訴したが、求釈明に答えることもなく、門前払いの却下判決を受けた。
 そこで、氏は、1995年2月、東京地裁に提訴した。
 準備書面(17本提出)では、一方で「日の丸・君が代」反対教育の必要性を唱え、もう一方で実態資料にもとづき「異動要綱」の不合理・不当性を明らかにした。
 公判は約2年間に12回行われた。毎回30名前後の傍聴があった。終了後には、参加者の学習と決意を高めるための報告集会を開いた。そのつど講師を招き、講演してもらった。講師には、星野安三郎氏、上原成信氏、宣保幸男氏ら10名余りが来てくれた。
 「公正判決要求署名」にも取り組み、計8500余りを集め、提出した。
 さらに、「都教委要請行動」にも取り組んだ。延べ20数回、都教委人事部職員課に行き、異動撒回とそのための交渉をせまった。
 そして、これからいよいよ実質審理に入るという時(1997年4月)、都教委は中島氏は中島氏を大田区に戻さざるを得なくなった。強制異動されて3年目、中島氏が、異動希望をだせる年だった。
 これに対して、弁護土の長谷川直彦氏は、『中島事件の意義と到達点』という論文の中で、次のように述べている。
 「異動の理由は明らかではないが、暴露に暴露を重ねた異動要綱の破綻、連合系組合幹部とのあからさまな癒着という事実を前に、これ以上訴訟を維持することができなくなったものと思われる。また、異動先でも、新たに『日の丸・君が代』反対闘争の火の手が上がり、かかる事態に都教委が狼狽したこともありうるだろう。」
 中島氏は、大田区に戻せという主張が通ったと判断し、訴訟を取り下げた。
 『報告集』には、勝利の要因として、次の3点が述べられている。

  1. 「日の丸・君が代」反対という民主教育の根幹を明確に柱とし、且つ強制異動の不当性を現場の実態を以て資料化して訴えた、的確な準備書面。
  2. 東京総行動に連帯した都教委要請行動の継続、署名の積み上げ、多数の傍聴の継続など、大衆運動の力。
  3. 公判集会の積み上げなど、情勢に応えた学習を運動を自らのものとして高める努力を進めた「中島強制異動撒回を勝ち取る会」活動の前進。

 そして、「『日の丸・君が代』反対・強制人事異動反対を軸に、教育の民主的変革に向けた、大衆闘争の端緒についた」と結んでいる。
 これは、われわれが学ぶべき闘いであると思った。

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(資料)千葉市議会に提出された意見書(案)

(提出会派)市民自由クラブ
適正な教科書検定を求める意見書(案)
 時代を担う子供たちが、国民としての自信と誇りを持ち、国を愛する心を養うとともに、真に国際社会の中で生きる日本人として育つことは、私たちの願いであり、そのための教育は国の根幹に関わる極めて重要な施策である。
 しかしながら、最近中学校で使用されている社会科の歴史教科書に従軍慰安婦問題等、戦争当時の我が国をころさら非道化するような記述のあるなかで、これらの問題については、国民の意見が賛否両論に分かれている現状である。
 子供たちの影響を考えたとき、まだ発達段階にある中学生の社会科の授業で、ゆがんだ歴史認識を取り上げることは、教科書として大きな問題がある。
 教科書検定基準にも規定している「心身の健康や安全及び情操の育成について必要な配慮」や「未確定な時事的事象について断定的に記述していることがないこと」からも、適正でかつ真実にもとづいた教育的配慮が不可欠である。 
 よって、本市議会は政府の責任において、教科書における不適切な記述を是正するため、公正・厳格な教科書検定が実施されるよう強く要望する。 
以上、地方自治法第99条第2項の規定により、意見書を提出する。

 市民自由クラブには、この意見書への抗議文を、他の会派には、不採択を求める意見書を送りましょう。
●千葉市議会議長・各会派 〒260-91 千葉市中央区千葉港1-1千葉市議会各会派あて
                  fax 043-245-5565 議会事務局庶務係

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お知らせ

12月 6日(土) 14:00〜 いまなぜ「慰安婦」問題か教科書削除攻撃が狙うもの
 問題提起 西野瑠美子さん
青雲閣
12月 6日(土) 15:00〜 証言集会・日本マレーシア華人虐殺 神奈川県民センターホール
12月 6日(土) 14:00〜 「日米平和友好条約のために」
 デイヴ・デリンジャー氏、小田実氏講演
神田パンセ
12月 6日(土) 13:00〜 フォーラム90『自由主義史観』と天皇制の現在 文京区民会館
12月 7日(日) 13:30〜 高教組東葛支部97年度第2回社会科教研
 &「日の丸・君が代」の押しつけに反対する東葛の会・冬の集会
 打倒「自由主義史観=反動史観」!歴史教育を考える集会
柏中央公民館
12月 7日(日) 13:00〜 検証「国のために死ぬ」ということ
 14:00〜靖国神社「遊就館」見学
九段・社会教育会館
12月 7日(日) 18:00
〜20:30
石川真生写真展・ヘリポートに揺れる街・講演会 目黒福祉センター第2集会室
 (都立大学・歩8分)
12月11日(木) 14:00〜 高教組社会科教研
 「高校生をめぐる今日的状況」 藤井良樹氏
県教育会館
12月11日(木) 18:00〜 千葉市議会での「慰安婦」削除意見書を考える千葉集会
 高教組千葉南・北支部
県教育会館
12月12日(金) 10:00〜 松本教育裁判 (花井保校長の尋問) 千葉地裁松戸支部
12月13日(土) 16:00〜 「日米教育現場の比較」 阿木幸男 河合塾 COSMO 201
12月13日(土) 10:00
〜18:00
「南京大虐殺60年国際シンポジウム」
 (基調報告・証言の集い・パネルディスカッション)
R'sアートコート・労音会館
12月14日(日) 10:00
〜18:00
「南京大虐殺60年国際シンポジウム」
 (南京大虐殺の実相・戦争犯罪・扱われ方)
星陵会館
12月21日(日)   名護ヘリポート市民投票・投票日  
12月23日(火) 17:00〜 「天皇誕生日=ナショナル・デー」を問い直す12・23集会 日本キリスト教会館4F会議室
12月24日(水) 13:00〜 横浜教科書裁判・結審 横浜地裁仮庁舎(横浜家裁脇)
1月21日(水) 13:00〜 中村先生分限免職裁判第1回公判 千葉地裁

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編集後記

 私が勤めるK高校の文化祭での生徒たちは素晴らしい。文化の部では、多くのクラスが(3年10クラス中8クラスまでが)各々の教室を小劇場に仕立てて、演劇を行う。役者も観客も汗だくだくである。体育祭では、5色対抗で応援合戦に盛り上がる。閉会式後、全校生徒がグラウンド中央に集まると、自然に校歌の大合唱になる。「けみこう、愛してる!」今時こんな素敵な高校生たちがいる。
 しかし、最近、徐々に行事は減らされつつあり、学校生き残りの為と称して、「学校改革」が教員だけで、生徒不在のまま議論されている。成績主義賃金が導入されたら、教育がますます生徒主体に問われずに誰かの名声の為に利用されていくのだろうか。そして、また、彼らが知らないうちに、あの議会という閉ざされた空間の中で、彼らが学ぶ内容も決められようとしている。今のこの教育界への攻撃は、誰よりも生徒たちを蝕もうとしている。

(琉美)

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