ひのきみ通信 第6号

1997年11月7日


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抗議声明 「日の丸・君が代」対策委員会
答弁もできない意見書を採決 …これが県議会か? 小金高校分会・前田徳弘
『今・子どもたちが危ない! 教育も平和も危ない!!』[2]
 〜「健全な子供を育てる歴史教科書を求める県民のタべ」に参加して〜
旭農業高校分会・中山文夫
歴史教育に思うこと 映像製作集団Side‐C代表・米良 厚
「自由主義史観」という名の亡霊 国府台高校分会・萩倉 良
「意見書」採択を考える千葉集会開催
へリポート建設反対 千葉県集会開かれる 一宮商業分会・二瓶朝夫
お知らせ
編集後記 素直な天邪鬼

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「従軍慰安婦」削除を求める意見書
自民・新進など強行採決!

特集 千葉県議会の暴挙!歴史を「数の力」で歪める!


抗議声明

 去る10月15日、干葉県議会は、自民党提出の『適正な教科書検定を求める意見書(案)』を十分な審議を経ないままに採択した。
 審議の中では、県民連合の久保村・栗山議員、共産党の丸山・加藤議員らが多くの史実や政府見解(1993年8月4日)などを提示し、提案者の三浦議員に、その史実の有無、政府見解などをどう考えるかを繰り返し問い質した。
 しかし、三浦議員は、それらの質問には何一つ答えられなかった。
 さらに、政府見解当時の千葉県の自民党の態度を問い質されたことに対しても何も答えず、逆に居直って、「河野官房長官は不本意ながら」言ったものだ。われわれは『容認できない』という立場だ」とまで述べるに至った。にもかかわらず、議長は採決を強行し、このまったくデタラメかつ無責任な『意見書』を、怒号の中、自民党、新進・改革連合、県友会、新時代クラブの賛成多数で可決した。
 しかし、全国的にみるならば、こうした『意見書』が採択された県議会はわずかである。また、この8月18日、国連の「差別防止少数保護小委員会」において日本政府・美根公使は次のような発言をしている。
 「日本政府は『戦時慰安婦』として知られる問題に関して、日本人の啓蒙に大きな意義を認めています。政府は特に学校教育の分野における努力を強化しており、それによって今日の若い人々が現代日本史の事実を正確に理解するでありましょう。最近、ほとんどの高等教科書がこの問題に言及していますし、1997年4月現在、すべての中学校教科書が同様の言及を含んでいます。」
 結局、この『意見書』採択は千葉県民の恥さらしにしかならないであろう。したがって、われわれは、生徒の教育に直接責任を持つ立場から、このようにデタラメで無責任、かつ恥さらしの『意見書』採択に対して、議長と賛成した党派に怒りをこめて抗議し、撤回を強く要求するものである。

  1997年10月30日

干葉県高等学校教職員組合・「日の丸・君が代」対策委員会

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答弁もできない意見書を採決
…これが県議会か?

(小金高校分会・前田徳弘)

 10月15日の千葉県議会に「適正な教科書検定を求める意見書」が提案されるというので傍聴に出かけた。県議会の傍聴は初めてである。議員として選ばれている人たちの集まりだ。物事を決めるときにはそれなりに議論もするのだろうと思っていた。とんでもない思い違いだったことがわかった。
 まず傍聴券をもらうために並ぶ。紹介議員があるか聞かれたり、住所氏名を3枚綴りの書類に書かされたり物々しい。賛成派の人が深刻そうに話している。「日本の歴史を全く教えないようになってしまう」とか、「従軍慰安婦のような話ばかりになってしまう」とか。いったいこの人たちは、教科書を見たことがあるんだろうか。うんざりしながら金属探知器のゲートをくぐり、2回も書類のチェックを受けて議場へ入る。なんと95人のうち67人が自民党議員だ。傍聴がこんなに来るのは珍しいのか、時々後ろを向く議員がいる。
 他のすべての議案が終わり、一番最後にこの議案がでた。一番後ろの席にいる三浦隆議員が提案した。国会と同じで後ろヘ行くほど会派のべテラン議員だ。自民党県連の政務調査会会長である。
 最初に県民連合の久保村礼子議員が質問にたった。質問は[1]提案される前に自民党内でどの程度話し合いがあったのか。[2]「『従軍慰安婦』という言葉も実体もなく」というのはどういう意味か。[3]「ゆがんだ歴史認識」とは何か。[4]事実究明の要求をしているが、政府が資料や聞き取りをもとに1993.8.4に発表した経過をふまえているのか。[5]この政府見解についての意見は。[6]この見解がでたときあなたはどんな対応をとったのか。[7]今度の検定に何か問題があったのか。[8]北京女性会議での従軍慰安婦問題についての議論を承知しているか。[9]この提案に賛成と反対の意見がどれだけ届いているのか。[10]採決について党議拘束をかけているか、など11項目であった。
 質問に対して、三涌議員はほとんどまともに答えなかった。[9]について、いろんなところからたくさんの激励を受け、若干の反発があったと強弁したり、突然「教育基本法」を読み上げて「真実をまげることは絶対に許されない」と言ってみたり、国益を無視した編纂はだめだと言ったり、へドモドな答弁だった。これについて北角虎男議員から「質問に対する答弁になっていない」という抗議がでると「通告がなかったから答えられない」とか、「について顧問あわせて・・・満場一致で決めた」とか、[5]について「宮沢総理は立場上不本意ながらやった」とか口から出任せに答弁したあと、「時間の関係があるので割愛」と切り上げてしまった。7日の文教常任委員会では、谷田川・館野・本清ら自民党の常任委員が、勉強不足ながら反論を展開していた。この提案者には主張すべきなにもないかのようだ。
 次に質問にたったのは共産党の丸山慎一議貞。論点を絞り込んで事実を示しなから、[1]従軍慰安婦は言葉も実体もない、[2]国や軍は関与していない、[3]強制連行されていない、という事実認識の矛盾をつき、[4]教育的配慮についての文部大臣との違いや、[5]この意見書が国際的に適用するものかどうかなど、意見書の内容の欠陥をつく質問だった。会場は一時シーンと静まり返る。三浦議員は今度はまったく答えられなかった。「ひとつふたつ感じたことなど」というまえおきで、「自分たちが調べた文献には別のことが書いてあった」とか、提案しているのは適正な検定なのだとごまかした。真実を曲げることは許されないと言ったばかりなのに、真実を究明することなく、一方的な主張を織り込んで「適正な教科書検定」を要求するというめちゃくちゃな議論だ。傍聴席から怒りのヤジが飛ぶ。議場の係員が申し訳なさそうに制止する。あまりのずさんな答弁に、自民党議員の方からも失笑がわく。提案者がこんな状態では、どんな会議だって…職員会議でも、生徒総会でも…持ち帰って検討しきちんと回答するのがふつうだ。次の検定までは時間もあるし、なにも今すぐに通さなくてもいいの だから。

 各会派別の人数
自民党 67名
新進・改革連合  8名
公明  6名
県民連合  6名
共産党  6名
県友会  1名
新時代クラプ  1名
 平成9年8月25日現在

 しかし、どうしても圧倒的多数という議場の力で「ごり押し」するということだけは決まっていたらしい。このあと、県民連合の栗山栄子議員・共産党の加藤英雄議員が意見をのべたが、自民党サイドはじっと我慢の子であった。いや、早く帰りたくてウズウズしているような気配の人さえ見える。先行する提出案件では、賛成の弁論もあったのに、ここでは自民党からの賛成演説はなかった。文教常任委員会のなかでは、怪しげな賛成論を主張していた人たちも、みっともない役は三浦議員一人に任せて、知らん顔を決め込む。
 時間がきて、意見が終わり採決にはいると、ダーッと立ち上がって意見書を決議してしまった。翌目の新聞を見ると自民党の中でも村上睦郎議員は採決に加わらず外へ出たそうだ。議論としては全く説得力を失っている意見書を、数の力だけで通してしまったのだ。まるでファシズムである。権力をもたない者の抗議の声が多数だからといってファッショだなどと言い募る人もいる。しかし、本来ファシズムは権力を握っている者が、力を頼りに少数を弾圧することをいう。このようなファシズムまがいのことを、議論もしないでみんなでやってしまう自民党千葉県県連には、公党としての民主主義はあるのだろうか。
 この成り行きには、傍聴にきていた賛成派の応援団も不満であるようだった。この人たらは、おそらく「健全な子供を育てる歴史教科書を求める県民のタべ」実行委員会の呼びかけに応じて傍聴にきた人たちだと思われる。9月に集会をして、この意見書のもとになる「中学校の社会科の教科書に記載されている従軍慰安婦の記述の削除を求める意見書」を提出した人たちだ。藤岡信勝氏らが書いているようなことを口にしては、自民党が全く反論できなかったことを悔しがっていた。「実をとったんだからいい」とか「自民党よりもっと右派の政党をつくらにゃいかん」とかこわいことも口走つていた。こちらの人たちこそ恐ろしいのかもしれないが、この日の自民党よりはよほどまともに見えた。

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『今・子どもたちが危ない! 教育も平和も危ない!!』[2]

〜「健全な子供を育てる歴史教科書を求める県民のタべ」に参加して〜

(旭農業高校分会・中山文夫)
前回に続いて9月6日に開かれた、集会の報告である。しかし、事態は皆さんもご存じの通り、県議会で自民党より提出された「従軍慰安婦」の中学校歴史教科書からの記述削除を求める「適正な教科書検定を求める意見書」が自民党・新進党などの「数の力」で採択された。この「県民の夕べ」の主催者によると、この「集会の数日後に千葉県自民党県連に「中学校の社会科の教科書に記載されている『従軍慰安婦』の記述削除を求める意見書(案)」を持参したところ、飯島重雄幹事長、三浦隆政務調査会長、鈴木良紀同副会長の3県議は日頃から歴史教科書問題には強い懸念を抱いており、良識ある県民の代表として本意見書を自民党として九月議会に提出することを決定し」たとされている。(編集部)

 アピール1・県内中学校教師(船橋の斎藤たかゆき先生)の発言の要旨は次の通りである。
 1年生を受け持っているが、現在使っている教科書は恐ろしいことに韓国で使っても受け入れられるもの(それだけ日本を敵視する韓国で使えるほど「反日的」と言いたいのだろう・筆者注)。教科書通り教えれば、大和朝廷に始まる日本政府はおかしくて、アジアの国々に謝罪するのは日本人として当然ということになる。謝らない日本人はおかしいと思う日本人を大量生産されることになる。古代では坂上田村麻呂でなく、反乱者のアテルイを英雄視し、朝鮮出兵の豊臣秀吉は侵略者で、抵抗者のイ・スンマンを英雄視する。大東亜共栄圏はまぼろしとされ、泰面鉄道やバタン行進でも占領された人々は日本をどんな感情で受け入れたか書かれていない。こんな教科書は使いたくない。ぜひ直してほしい。議員の力が必要になる。頑張ってください。

 アビール2・中学生の母親(習志野の松本キミコさん)は親からの要望として次のように語った。
 昨年暮に従軍慰安婦削除を要望するハガキを50通出した。しかし、新しい教科書が4月より導入された。中学生はむずかしい年頃。今年6月60人の中高生を集め、映画「自由アジアの栄光 インド・ミャンマー独立史』?(翌日9/7の新聞によれば、この映画は日中国交正常化25周年を踏まえた国際文化経済交流会協会(ジャイス)主催の「あなたが択(ひら)く明日のアジアのつどい」で上映され、上映途中で中国人大使館らアジア人参加者のほとんどが「ばかにされた感じだ。」「日本の戦争責任について触れられず、良いことだけではおかしい」と不満を語り、退席した映画である・筆者注)を見た。戦争と言っても暗い部分はなく、日本もよいことをやってきたという内容で、見た中高生は感動で言葉もなかった。中学3年生の感想は「日本はインドネシアをオランダから独立させるために大和魂で連合軍と戦った。今の日本人は大和魂がない。誇りをもって生きていきたい。」ぜひ、こうした内容のものを教えてほしい。
 藤井(日本の心をはぐくむ会)の話は本日の要望採択を議会にもっていく。今年8月2日の河野談話シンボでは若手議員の会の中川昭一氏の決意は「教育は国民全員がプロ。近隣条項や宮沢長官談話などの問題も、マスコミの誤報・虚報が原因である。」藤岡信勝先生も「この問題は外交問題でなく、国内問題だ。検定基準違反だ。第1に強制連行は誤り。第2に断定的書き方。第3に特定のことを記述している。第4に児童生徒の心身発達に適応していない」などと言っている。
 川上すすむ(歴史教科書を考える千葉県民の会)は東京書籍をはじめ、6社の中学校教科書が今年から従軍慰安婦が記述された。今年から4年間学習することになる。岡山・香川・鹿児島・茨城の県議会などの20自治体で意見書が採択された。いろいろ言いたいことはあるが、一点集中ということで、従軍慰安婦の強制連行部分をねらう。今年1月〜3月に国会でも片山虎之助・小山タカオ・坂垣タダシの質問の答弁は「強制連行を示す事実はない」であった。4/9の森代議士の質問の答弁でも元官房長官の石原信夫氏は「16人の女性の聞き取り調査をしたが、裏付けはとれなかった」という。水俣病でもそうだが、本人の言い分だけで認定はしない、第3者の証言が必要だ。昭和19年10/27の新聞広告には「軍慰安婦求」というものがある。

感想:これは超右翼の集団である。言っていることが感情的で、自己矛盾だらけだ。史実を教えるというなら、日本の侵略をきちんと教えるべきだし、戦争に反対し、抵抗した人々のことを教えることで、こどもたちは大いに胸をはって世界平和に貢献できる方法や行動を学ぶことができる。逆に国粋主義的なことだけを教えることで新国家主義(ナショナリズム)が台頭し、国際社会で生きる地球人として資質を養うことはできない。今や日本の一部の支配的な政治家・大企業経営者・官僚たちには何の倫理観も愛国心も能力もないことが明らかになってきた。ただ、金とみせかけの名誉を貪欲に追い求める見苦しい集団なのである。自分たちだけが得をし、借金や負担はすべて国民に押し付ける。
 教育では現実的問題を生徒ともに調べ、表現し、話し合い、考え、行動して行くことが民主的人格を育てることになるのではないだろうか!

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歴史教育に思うこと

(映像製作集団Side‐C代表・米良 厚)

「ほんとうの考えとうその考えとを分けてしまえば、その実験の方法さえきまれば、もう信仰も化学と同じようになる」

(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」)

 化学の元素記号表が、かつて記した<空白>の価値を僕は絶大なものだと思う。化学者は自分の<知らないもの>を理論的に明らかにすることができたのだ。仮に歴史が現在ヘと至る必然性や合理性から、過去を規定していく方法を採るとすれば、その現在が移りゆくものである以上、どうしても歴史もそうであることを免れない。誰もが同じ歴史を学んできたのでないことは、その<歴史>から明らかなことである。

「さあいいか。だからおまえの実験は、このきれぎれの考えのはじめからおわりすべてにわたるようでなければいけない。それがむずかしいことなのだ。(略)おまえはあのプレシオスの鎖を解かなければいけない」

(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」)

 時代が移り変わり、それが様々な形で<歴史>として記されるという二重の<錯誤>。
 もしも「従軍慰安婦」として生きたことが本当にあったのだとして彼女は、<歴史>の中でそれをどうしても再現することができない。問題は現在にとってそれが合理的かという<政治>にすりかわってしまっている。
 先日、千葉県議会で採択された自民党提出の例の「意見書」を読んで感じるのは、歴史が《教育》されなければならないことに対するジレンマである。「公正、厳格な」歴史教科書検定が必ずしも教育にとって「適正な」ものにはならないかもしれない。
 歴史教育の《歴史》ですら、我々は<政治>をもって<つくりあげてゆく>ほかないのだろうか。

米良さんには、10月15日の県議会を傍聴した「若い世代」の代表として原稿をお願いしました。
(編集部)

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「自由主義史観」という名の亡霊

(国府台高校分会・萩倉 良)

(掲載準備中)

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「意見書」採択を考える千葉集会開催

11月15日(土)午後6時〜8時・千葉県教育会館

 「干葉県議会での、『慰安婦』削除の意見書採択を考える千葉集会―これからどうなる?歴史の真実は、女性の人権は、教育の自由は、教科書は!―」が開催されます。
 千葉県議会は、10月15日、自民党県議団によって提出された、中学校教科書から「従軍慰安婦」記述削除を求める意見書を強行採決しました。これは戦争中人権を侵害され「慰安婦」とされた女性たちヘのさらなる権利侵害であり、歴史の事実を歪めようとするものです。また、学問の自由、教育の独立を、議会の数でねじ伏せようとする、まさに暴力的行為と言えます。提案した自民党議員は、反対討論に立った4人の議員の質問に対して、「事前に通告がありませんでしたので、答えられません」と、全く回答せず、強行採決しました。
 今回の議会の模様を報告し、互いのとりくみの交流をはかりたいと思います。当日は、県議会で質問・討論にたった議員の方々にもきていただくことになっています。ぜひ多くの皆さんのご参加をお願いします。

呼掛人(11月4日現在) 愛沢伸雄(高校教員)・秋山敏子(ちぱ女性会議)・浅尾弘子(高校教員)・石島孝(働く青年全国交歓会)・今井之洋(養護学校教員)・梅靖三(東葛市民の会)・小幡勉(高校教員)・大島孝一(千葉8月の会)・加藤公明(高校教員)・川鍋光弘(元高校教員)・川村博(小学校教員)・金城邦雄(ちば沖縄倶楽部)・小林えみ子(八千代市議)・小林教泰(高校教員)・近正美(高校教員)・佐久間美弥子(高校教員)・佐々木欣也(高校教員)・佐藤勉(小学校教員)・澤田洋二(中学校教員)・塩川希代子(高校教員)・角谷信一(高校教員)・高浦政則(高校教員)・高木正(ひょうたん島研究会)・宅間真澄(婦人民主クラブ全国協)・竹内悦子(千葉市議)・津留佐和子(浦安市議)・手代木公助(日中友好協会手葉支部)・鳥塚和義(高校教員)・仲井間格(ちば沖縄倶楽部)・中谷恭三(元高校教員)・中山文夫(高校教員)・二瓶朝夫(高校教員)・野ロ宏(高校教員)・萩倉良(高校教員)・服部かをる(佐倉市議)・浜田孝(高校教員)・林廣治(ちぱ市民ひろば)・本間義人(高校教員)・前田嘉代子(高校教員)・前田徳弘(高校教員)・三橋広 夫(千葉歴教協)・宮原武夫(大学教員)・村山智明(小学校教員)・矢野忠昭(高校教員)・若月雅英(小学校教員)・和田秀子(小学校教員)・渡部秀清(高校教員)

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へリポート建設反対 千葉県集会開かれる

(一宮商業分会・二瓶朝夫)

 10月25日(土)の夜に県教育会館で開かれた「名護ヘリポ−トいらない!千葉県民の集会」には100名を越える参加者を得て盛会のうちに終了することができました。当初のビデオ「沖縄から安保が見える」千葉上映会の計画段階から協力頂き、実行委員会や賛同人には沢山の組合員が参加してくださいました(もちろん当日も)。組合員の皆様の協力に感謝いたします。
 名護市民と首都圏住民の沖縄交流キャンぺーン(8か所の集会)の一つとして開かれた本集会は冒頭にビデオの一部を抜粋上映することからはじまりました。
 名護市からは「へリポ−トいらない名護市民の会」の宮城次夫さんが参加されました。現地からの報告の中で宮城さんは、「ヘリポート建設が沖縄の基地固定化を画すものであり、沖縄県民の願いにいかに反するか」を述べる一方、「基地に依存する(せざるを得ない)推進派が権力と金力にものをいわせて建設反対運動を推し潰そうとしている」と強調していました。
 推進派(名護市活性促進市民の会)は防衛施設局とゼネコンが一体となり25名の専従職員を雇って市民投票で建設賛成の投票を獲得すべく宣伝活動に取り組んでいます。それに対して市民投票条例の制定を求める運動から市民投票の実施に対応する運動への移行に手間どった反対派市民はようやく10月17日「海上ヘリ基地反対・平和と名護市民主化を求める協議会」(へリ基地反対協)へと組織を整備したところです。来年、1月18日までに実施することになっている市民投票は推進派の有利な年内にも実施されそうです。
 短期決戦となるが「反対協」は市議会解散・市長リコールまで視野に入れ、市民投票で圧倒的な勝利を日指してがんばるとの力強い決意と、我々への連帯と協力の要請が行われました。
 質疑・交流の部では、老若男女を問わない参加者から活発に発言が行われました。ビデオ制作者の新田さんからは最新の沖縄の明るいニュースとして、名護の契約地主の方がヘリポート反対を表明し、反対協に参加したことが紹介されました。
 争議団や映画上映運動などの様々な立場からの発言がありましたが、沖縄基地の拡充強化やガイドラインの改定が強行される背景に「朝鮮有事」を強調されると弱い日本国民の意識があることを問題にし「朝鮮問題」の学習会を続けているとの紹介とそれに続けて行われた朝鮮人を夫に持つ女性の「朝鮮問題がマスコミの注目を集める度に自分の子供やその友人の身の危険を心配し続けてきた、沖縄の問題にも深い関心があり参加した」との発言は印象的でした。
 会場カンパと集会決議で名護市民と連帯して、ヘリポート建設阻止と新ガイドライン、有事立法に反対する運動を千葉の地で進めることを確認して集会は終わりました。
 この週には千葉市で、20日に五単産共闘主催の反戦平和集会が、21日には共産党系の10・21国際反戦デー集会が開かれている。これらが統一されてこそガイドラインや安保に反対する運動も実効性を持つものとなるし、名護へリポ−ト建設を阻止する力となると思うのだが残念である。どこから手をつけて良いのか、大きな課題を意識させられる結果となってしまいました。
 今後についても皆さんと意見を闘わせながら取り組みを続けたいと思います。よろしくお願いします。

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お知らせ

11月8日(土) 16:00〜 近現代史を問う「自由主義史観」 河合塾COSMO 201
11月8日(土) 17:45〜 名護ヘリポート基地に反対する会 文京区民センター2-A
11月11日(日) 11:00〜 マツシロのつどい 長野県・松代・象山地下壕
11月12日(水) 19:00〜 沖縄から語ろう(申込 043-461-4553) 生活クラブ生協佐倉センター
11月13日(木) 18:30〜 「日米友好条約」と「白船計画」を実現させるために!
 (喜納昌吉・中山千夏・矢崎泰久・ダグラス・スミス)
シニアワーク東京(飯田橋歩7分)
11月14日(金) 13:10〜 平頂山事件訴訟第3回口頭弁論 東京地裁709号
11月15日(土) 18:00〜 千葉県議会での「慰安婦」削除の意見書を考える千葉市民集会 県教育会館
11月15日(土) 13:30〜 千葉8月の会・あの戦争は何だったのか 船橋市中央公民館第4会議室
11月15日(土) 17:30〜 「差別とは何か、共生するとは」今、私たちが問われていること 早稲田奉仕園ホール
11月15日(土) 18:30〜 第1回歴史講座(日本の国の物語を学ぶ会)『東郷平八郎』
 (主催・「日本ビジョンの会」
 例の「意見書」を県議会に提出させたグループの学習会・要申込)
千葉市民会館第5会議室
11月19日(水) 13:30〜 「日の丸」処分・工藤先生人事委員会公開口頭審理 かんぽへルスプラザ仙台
11月19日(水) 10:00〜 玉置先生高裁判決(校長による「いじめ」裁判) 東京高裁825
11月20日(木) 18:30〜 千葉県議会『慰安婦問題もみ消し意見書』考える松戸市民集会 ゆうまつど4F
11月22日(土) 13:30〜 船橋の教育を語る会「いじめと社会」保坂展人 船橋市東部公民館
 (JR津田沼駅5分)
11月24日(月) 14:00〜 命どぅ宝・平和世コンサートVI 上野水上音楽堂
11月28日(金)   千高教組問題別教研「平和・民族・人権」 県教育会館
11月28日(金) 11:00〜 東京即位の礼・大嘗祭違憲住民訴訟 東京地裁606号
11月29日(土) 13:30〜 戦争ヘの協力はゴメン・なんでも話し合う会 船橋市中央公民館5F第7会議室
12月4日(木) 13:30〜 情報公開裁判第1回公判 東京高裁812号
12月6日(土) 15:00〜 日本軍華人虐殺・マレーシアからの証言 かながわ県民センターホール
 (横浜駅西口5分)
12月12日(金) 10:00〜 松本教育裁判 千葉地裁松戸支部
12月13日(土) 16:00〜 「日米教育現場の比較」(ビデオとお話) 河合塾C0SM0 201
 (千駄ヶ谷歩5分)
12月24日(水) 13:00〜 横浜教科書裁判・結審 横浜地裁(建替えの為・
 横浜家裁横のプレハブ法廷)

  日米海兵隊共同演習・新潟・関山演習場  11月3日(月)〜11月15日(土)
  日米陸軍共同演習・滋賀・あいば野演習場 11月4日(火)〜11月17日(月)
  米軍実弾演習・宮城・王城寺原演習場    11月10日(月)〜11月20日(木)

 「これからどうなる!歴史の真実は、女性の人権は、教科書は、市議会は!?千葉県議会『慰安婦問題もみ消し意見書』考える松戸市民集会」が、11月20日(木)午後6時30分から、松戸市女性センター「ゆうまつど」4Fホールで開かれる。
 この意見書の狙いは昨今の右傾化の風潮に便乗した公教育の場からの歴史の抹殺であり、また人権を根底から踏みにじられながらようやく声を上げた女性たちヘのなりふりかまわぬ加害者側からの反撃です。地元松戸の皆さんに意見書可決のもようを報告し、今後の行動を考えてもらおうと企画しました。当日は、参加者の皆さんに県議会あての陳情書をその場で書いて頂く企画も考えています。是非印鑑をお持ちください。
呼びかけ人:表弥生・岡本桂子・神敦子・全国フェミニスト連盟・武田泰彦・地守恵美子・広川久晴・皆川眞一郎

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編集後記

10/15、県議会を傍聴した。本通信でも特集を組んだが、このようなでたらめな文書が「公の場」で、でたらめに通されていく様子を目の当りにして、今という状況が、ここまできてしまったことに慄然とする。時代は、「いつの間にか、ものも言えない」ということになってしまうのではないか。また、こんなでたらめが通用するのなら「大東亜戦争は敗戦でなく、戦略的に終戦を行っただけで、負けていないのだ、ポツダム宣言受諾は今の日本の繁栄を手に入れる為の方使であった」と、本気で言い出す人たちが出てくるのではないかと思う。背筋に「虫酸」と「つめたいもの」が「はしる」まわる。

(素直な天邪鬼)

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