ひのきみ通信 第184号

2014年1月18日



「安倍政権の暴走をとめよう!12.15集会」(市川市民会館)

目次

2014年、世界と日本はどうなる 荒川 渡
今年の目標、十度(じったび)
 昨2013年末、武道館で不起立を貫徹!
T.T.0520(千葉高教組市川
 支部「ひょうたん島研究会」)

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2014年、世界と日本はどうなる

荒川 渡

(1)

 2014年が明けました。2014年と言えば、第一次大戦(1914〜1918)が勃発してからちょうど100年目です。しかし、世界は再び第一次大戦前夜に近いものになってきました。それは次のように考えられるからです。
 第一次大戦ではロシア革命が起こり、社会主義が生まれました。第二次大戦(1939〜1945)後は中国やベトナム、東欧やキューバにも社会主義が生まれ、社会主義陣営が形成されました。しかし、その後、社会主義の変質と崩壊により、世界は第一次大戦前のように、再び資本主義が支配する世界になりました。その結果、現在では、第一次大戦前夜のように世界の市場と資源をめぐる争奪が激しくなってきており、されに激化すれば戦争になります。
 第一次大戦前はバルカン半島が世界の火薬庫で、アフリカ分割をめぐり激しく列強が対立しました。また、日露戦争後の中国・朝鮮をめぐる争奪も激化していました。現在は中東が世界の火薬庫で、新しい形(新植民地政策)でのアフリカ分割が起きており、日・中・韓の対立も激化しています。
 「戦争は他の手段を以ってする政治の延長」(クラウゼビッツ)という言葉がありますが、世界各国の政治を見ていると、この延長線上に戦争が起きてくる可能性は高いと言わざるを得ません。

(2)

 その中でも特に、日本の安倍政権は戦争への道を急いでいると言えるでしょう。それは、昨年「国家安全保障会議(日本版NSC)」(11月)、「特定秘密保護法」(12月)を成立させ、12月26日には安倍首相が靖国神社に参拝したところに典型的に現れています。
 その安倍首相は、今年に入り1月6日伊勢神宮を参拝し、あえてそこで記者会見を開きました。マスコミは「恒例」と言って問題にしないようですが、これは靖国参拝同様公然たる政教分離違反です。伊勢神宮は天皇の祖先神とされる天照大神を祀る神社ですから、皇国史観のシンボルともいうべきところです。しかも記者会見の内容も大きな問題を含んでいます。彼は公然と、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更や憲法「改正」の論議を加速させるべきと述べました。これを受けて政府は1月12日に、集団的自衛権行使を容認するための憲法解釈変更を、通常国会(1月24日開会)中に行う方向で検討に入りました。まさに安倍政権は坂を転げ落ちるように戦争への道を突っ走っています。

(3)

 では、世界と日本の反戦運動はどうだったでしょうか。第一次大戦前は第二インターナショナルが世界的な反戦運動を行っていました。しかし、世界大戦が起きると、多くの国の共産党などは「祖国擁護」にまわり、戦争に協力していきました。しかし、ロシアのボルシェビキはあくまで戦争に反対し、ロシア革命を起こし戦争から離脱しました。その後ドイツでも革命が起き戦争は終了しました。第二次大戦前は「国際連盟」(1919〜1946)が成立、「不戦条約」(1928年)が結ばれ、第三インターナショナル(コミンテルン、1919〜1943)が「反ファシズム統一戦線」を提唱(1935年)しました。しかし戦争(1939〜1945)を阻止することはできませんでした。それでも戦争中にソ連と米・英・仏・中などが「反ファシズム戦争」という形で手を結び、ファシズム国家であった伊、独、日を次々に破り戦争は終結しました。戦後、中国では中華人民共和国が生まれ、東欧、ベトナム、キューバなどにも社会主義国が生まれました。また、「国際連合」(1946〜)が成立しました。
 現在はどうでしょうか。確かに、世界のほとんどの国が「国際連合」に加盟し、ブロック経済を防ぐための「世界貿易機関」にも加盟しており、世界的な大戦はそう簡単には起きない可能性はあります。しかし、「世界貿易機関」は麻痺状態になっており、「国際連合」も世界の紛争をなかなか止められない状態です。また、世界的な反戦運動は見られない状況です。もしこれで、リーマンショックのような過剰生産恐慌が再び起きれば、市場・資源をめぐる争いはさらに激化し、軍需産業への依存度が高まり、行き着くところ三度目の世界大戦になりかねません。だが現在、過去に見られたような世界的な反戦運動は見られません。

(4)

 では、私たちはこうした情勢を前に無力なのでしょうか。否!これまでの歴史は「窮すれば転ず」ということを教えています。あれほどひどい犠牲を払った第一次大戦、第二次大戦も、長い目で見れば人民の勝利に終わったと言えます。なぜなら、その過程で人々は目覚め、新しい世界を作り出してきたからです。日本で言えば、前者からは「大正デモクラシー」が起き、後者からは「平和憲法」が生まれました。
 現在、戦争政策が進められつつある日本ですが、冷静に観察してみると、そこには新しい動きも生まれてきています。それは例えば、脱原発の動きであり、沖縄の人々の闘いであり、秘密保護法に対する闘いなどです。また、大阪の橋下氏の支持率が、昨年6月の慰安婦問題以来急落していることや、史上最大の得票数の猪瀬東京都知事がわずか1年で辞職(昨年12月)したことなどにも現れています。
 さらに、「日の丸・君が代」強制反対闘争の持続もその一つであると言えるでしょう。この強制が特に強められるようになったのは1980年代からでした。そして、1999年には「日の丸・君が代」が法制化され、2003年には東京で「10・23通達」が出され大量処分が起きてきました。現在まで東京では述べ450名もの教職員が処分されています。大阪でも2011年6月「日・君」条例が出され、延べ48名の被処分者が出ています。しかも、被処分者らはいずれも「再発防止研修」(実質的な思想転向研修)を強いられています。しかし戦前との大きな違いは、被処分者らは自分らの正しさを確信し、誰ひとり思想転向に応じず、多くの裁判闘争も続けられています。この闘いはすでに30年以上も続けられているのです。もし、今度大きな戦争でも起これば、「日の丸・君が代」はナチスドイツの旗や歌がなくなったようになくなるでしょう。

(5)

 では、2014年の日本はどうなるでしょうか。それを考える上では、1月の沖縄の名護市長選と2月の東京都知事選をめぐる動きが重要だと思います。
 沖縄県では1月10日の県議会で、仲井真弘多知事の辞任要求決議を賛成多数で可決しました。普天間基地の県外移設の公約に違反したとするものです。決議の中では、「基地と振興策を取引するような姿勢が全国に発信され、県民に大きな失望を与えた」としています。また、9日の本会議で「公約は変えていない」と主張した知事の態度は開き直りであり、「不誠実の極みで、県民への冒涜だ」と指摘しています。さらに、県議会はこれに先立ち、辺野古移設を進める政府に対しても移設断念と普天間の速やかな閉鎖・撤去を求める意見書を賛成多数で可決しています。その中でも、辺野古移設を今後進めれば、県民の怒りは頂点に達し、「日米安保の基盤を決定的に揺るがすことになる」と強調しています。まさにこれこそ、沖縄県民の心底からの怒りの声です。安倍政権は、まさかこういう形で沖縄から反発が出てくるとは、思いもよらなかったことでしょう。したがって、1月19日投開票の名護市長選は、今後の日本の進路にとってきわめて重要な選挙になるでしょう。
 東京都知事選は1月23日公示、2月9日投開票です。マスコミでは盛んに舛添要一氏対細川護煕氏などと騒いでいます。しかし、舛添氏に関して言えば、要するに自民党は独自に候補者を出せなかったということです。また、細川氏に関して言えば、元首相小泉氏の支援を受けてのようです。しかし、小泉氏はいわゆる新自由主義と靖国参拝の典型的な人物です。「脱原発」の言葉だけに惑わされてはなりません。日本社会は1%の金持ちと99%の貧乏人の社会に近づいていると言われます。舛添氏にしても細川氏にしても言ってみれば1%の支配階級の候補者であり、彼らの争いはその中での争いです。では、99%を占める労働者・人民(一般ピープル)の利害を代表する候補者はいないのでしょうか。それは、前回の都知事選で次点となった宇都宮健児氏(共産、社民が推薦)ということになるでしょう。厳しい選挙になると思われますが、問題は選挙戦を通じて労働者・人民の連帯の輪がどれだけ広がるかということでしょう。そしてこの連帯の輪こそが、安倍政権の戦争政策を押しとどめる確かな力になると思います。
 以上から結論づけるなら、2014年は新たな反戦運動の幕開けの年となるでしょう。

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今年の目標、十度(じったび)

昨2013年末、武道館で不起立を貫徹!

T.T.0520(千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」)

 ほとんど1年前の13/01/13に似たような文章を書いたが、「抵抗は継続することに意味がある」のだから、今年も飽きずに書くことにする。
 ぼくはもともと生活保守の人間なので、日常生活での変化は好まない。昨日と同じ今日、今日と同じ明日。昨日飲んだビールを今日も飲み、明日もきっと飲むだろうと、固く信じている。
 「今年の目標」も「50冊・50デモ・50万馬(車)券」を変えず、10年目に突入する。目標に向かって邁進するためには、過去を総括する必要がある。昨年までの推移を確認すると──。(ここまでは、昨年書いたものとほとんど同じである。)

04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年
不明 44 30 15 14 20 10
デモ 47 30 41 33 31 23 27 43 53 32
万馬券 21 29 24 21 29 24 23 27 22 29

 表を見てもらえば分かるように、昨13年には、本を2冊しか読むことができなかった。
 1冊目は、12月5日(木)に読了した大江健三郎の『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』(講談社)。この日は、午後は参議院議員会館で開催された「『国旗国歌』尊重義務化に反対する12・5院内集会」に参加し、夕方は官邸前で「特定秘密保護法案」の参院特別委強行通過に声を上げ、夜は日比谷野音で行なわれた連合等主催の「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現12・5緊急集会」に参加し、再び国会前までデモをした──という凄まじい1日であった。

 2冊目は、上林格(かみばやしさとる)『この日のビートルズ』(朝日文庫)。この本を買ったのは、11月18日(月)に東京ドームで行なわれた『ポール・マッカートニー世界ツアー公演』を観たのがきっかけであった。この公演については、翌19日(火)早朝にメール発信した『瓢箪通信』に次のように書いた。

 昨日11/18に行なわれたポールの東京ドーム公演、満足度、高いです。
 2時間50分、ぼくも半分以上立ちっぱなしで、ビートルズの曲は、一緒に歌ってました。ギターとドラムとピアノの部分も、歌って?ました。

 ギターの部分を歌った?というのは、例えば『デイ・トリッパー』なんて曲の時は、冒頭のギター「ジャ〜ンジャ、ジャジャジャジャ〜ンジャ、ジャ〜ジャジャジャ」と(けっこう正確です)口三味線をしていたということである。
 ただ、このコンサート、上述したように素晴らしいものだったのだが、1つだけ気にくわないことがあった。それはアンコール前に、ポールが大きな「日の丸」を振っていたこと。
 まあ日本の状況などポールは知らないだろうから、彼に文句を言うのはヤボというものだろう。でも、招聘した日本人、たぶん団塊の世代が中心だろうけど、彼(女)らには言いたい。いろいろな問題を抱える「日の丸」のことを、ポールに伝えてほしかったと。しかも、公演が大坂→福岡→東京とくれば、これ、「日の丸・君が代」強制のメッカ巡礼みたいじゃないか・・・。

 同じくメール発信した『瓢箪通信12/31』に次のように書いた。

 (昨日12/30)その(渋谷で映画『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』を観た)後、日本武道館に移動し、「国民の叔母・清水ミチコの『ババとロック』in 日本武道館」というライブを観た。
 ──のだが、冒頭、松崎しげるのアカペラによる「国歌斉唱」からスタート。ぼく、不起立を貫いちゃいました。他の人、みんな立ってたけど、斉唱してた人、ほとんどいませんでした。声、ほとんど聞こえなかった。少し、むかつきましたが、お金を払ったので、その後は、4時間近く、楽しんでしまいました。
 何人ものタレントが出たけど、ぼくの知らない人ばかりでした。マキタスポーツというバンド?が面白かったです。最後に、サザンの「愛しのエリー」と長渕の「乾杯」をチャンプルして歌ってました。
 最後に清水ミチコが出てきて、基本、ピアノの弾き語り──っていうか、「弾き物まね」をしてました。ラストは矢野顕子と忌野清志郎の「ひとつだけ」を、一人デュエットしてました。まあ、ぼくはこれを聴きにきたわけで・・・。
 まっすぐ東船橋に戻り、日本海庄やで熱燗を飲んで、帰りました。

 ぼく、もともと矢野顕子(本物の方です!)が好きで、清志郎は都立日野高校の先輩だし、そのマネをする清水ミチコにも関心を持っていました。だから、ライブにも行ったわけで・・・。
 まあ、武道館で「不起立貫徹」ってのも、それなりにオツだったってことで、「良し」としますか・・・。

(14/01/13朝)

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