ひのきみ通信 第177号

2013年1月19日



雪山の雲海
(2012.12.長野県焼額山)

目次

安倍右翼反動内閣の誕生と内外矛盾の激化 荒川渡
今年の目標、九度(くたび)
 昨2012年は、ついに50デモ達成!
T.T.0507(千葉高教組市川
 支部「ひょうたん島研究会」)
自民党はまったく勝ってなどいない!!
 〜編集後記に替えて〜
*ソフィーの愛人*
10・23通達から10年!
 『2・3総決起集会』
私たちは黙らない! 2.11全国集会

バックナンバー一覧へ戻る
トップページへ戻る


安倍右翼反動内閣の誕生と内外矛盾の激化

荒川渡

(1)

 昨年12月4日、衆院選が告示された。12月6日発表された新聞社などの情勢調査では、<自民党単独過半数の勢い><民主党激減><維新50前後>などと報じられた。「脱原発」「脱世襲議員」などはどこ吹く風であった。
 12月16日の衆院選(議席480)の結果は、12月6日の情勢調査を大きく上回り、自民党(294)の圧勝、民主党(57)の惨敗となった。また、第三党に維新(54)が入った。一方、「革新」といわれる共産(9⇒8)、社民(5⇒2)はそれぞれ議席を減らした。国際的にも指摘されたが、まさに日本社会は右傾化が段階を画して進行し、<貧困とファシズムと戦争>の時代に入ってきた。
 こうした結果になった背景には、[1]この間の民主党政権に対する失望、[2]尖閣問題などで火が付いたナショナリズムの高揚、[3]不況による日本社会の行きづまり、[4]自民党の「目前の景気策」(人為的な市場づくり⇒借金増大)、[5]小選挙区制による得票率に比較しての議席率の偏り(自民党は小選挙区で43.0%、比例代表で27.6%に過ぎなかったが、議席率は73.5%)などが上げられる。
 こうした中で、投票率は59.32%(前回2009年69.28%)と戦後最低になったことも大きな特徴であった。これは、小党乱立と総保守化のなかで、争点が明確にならなかったためとも思われるが、「政治不信」の広がりでもある。そして、この「政治不信」の広がりが右翼的な石原前都知事を代表とする維新を第三党にする土壌になったと思われる。この党は今後国会で、安倍自民党と競い合って日本社会をさらに右翼的な方向に向けていく役割を果たすであろう。
 さらに悪いことに、同日選挙となった都知事選では、石原都政を継承するとした猪瀬氏が圧勝した。「国民・都民は何を見、何を聞き、何を考えているのか」と思いたくもなるが、これが現実である。その後、昨年末から新年にかけて安倍内閣の露骨な攻撃が内政・外交一体となって次々と現れてきている。

(2)

 ところで、現在日本社会が置かれている歴史的・経済的な位置づけと安倍内閣の政策について少し考えてみたい。日本は発達した独占資本主義国である。資本主義は独占資本(帝国主義)段階になると、「内に抑圧、外に侵略」という性格を露わにする。
 1月11日に財務省が<2012年11月の経常収支は2224億円の赤字、1月以外で初>ということを発表したが、その大きな原因は中国や欧州向けの輸出不振による<貿易・サービス収支>の赤字だと述べている。(しかし、「中国」に関して言うなら、尖閣問題に火をつけた石原前都知事や野田前首相の責任を問う声はマスコミにはほとんど見られない。)
 ただ、今回の「中国」を抜きにしても、日本は2005年以降<所得収支>(海外直接投資や証券投資などによるもの)による黒字の方が<貿易・サービス収支>(2011年は赤字)より多くなっているということが挙げられる。つまり「商品輸出」より「資本輸出」による利益の方が多くなっているのである。それだけ日本は寄生的・消費的な社会になり、国内よりも海外での収益の方が死活問題になりつつあるといえる。「資本は国境を持たない」と言われるが、資本は、日本国内の1億2700万人の市場より、世界全体の70億人の市場(商品輸出と資本投下先)の方を重視しつつあるのである。
 当然、国内の産業は空洞化し、貧困・低賃金・失業が常態化する。その結果不可避的に国内での不満は高まり治安は悪化する(これは米欧などの先進資本主義国も同じ)。
 だから、「内に抑圧、外に侵略」ということになる。安倍内閣はまさにその路線を露骨に進める内閣であると言える。
 「内に抑圧」を徹底するために安倍内閣は教育を極めて重視している。すでに前回の第一次安倍内閣のときに『教育基本法』を改悪(2006年)し、「愛国心・道徳教育」と「競争教育」を前面に出したが、今回はその実働化をさらに露骨に進めつつある。それは、文部科学大臣に右翼的政治家として有名な下村博文氏を起用し、第一次内閣のときに立ち上げた『教育再生会議』を発展させた『教育再生実行会議』(仮)を今月末に発足させるところに典型的に現れている。しかも委員(15人)は「本気で極右的な教育政策を推進することを『宣言』した人選」(教科書ネット)とも言われている。要するに愛国的で従順な「少国民」の育成である。
 また、「外に侵略」のための教育として「エリート教育」(世界市場争奪戦に勝つための人材作り)に力を入れ、戦前の侵略戦争への反省を否定しようとしている。(「学力テスト」「週6日制」の復活、教科書の近隣諸国条項の見直しなど)。
 さらに「外に侵略」のため、「村山談話」「河野談話」の見直し、「日米同盟の強化・集団的自衛権の行使」、「防衛費増額」、「憲法改悪」、「原発再稼働」(核武装化と原発輸出のために欠かせない)などが挙げられる。そうした中で特にこの間の危険な動きとして、「尖閣」をめぐる動きがある。火をつけた石原、野田の責任は問われないままに、もっぱら中国批判が展開され、安倍内閣の進める「中国包囲網」の構築が当然というような論調が強められている。尖閣を巡る動きはアメリカの「中国包囲網」と連携してさらにきな臭くなっている。尖閣諸島の買収・国有化は、「満州事変」(1931年。15年戦争の出発点ともなった)にも匹敵すると何人かの識者が述べているが、軍事衝突にもなりかねないような事態が現在アメリカをも巻き込んで進行中である。

(3)

 しかし、展望がないとも言えない。それはこの間の、反貧困に見られた大衆的な動き、脱原発に見られた大衆的な動き、都知事選「勝手連」に見られた大衆的な動きである。そしてこれらの大衆的な動きには新しい若者たちが参加してきており、彼らは新しい通信媒体や新しい活動スタイルで運動を発展させてきている。また、東京では「日の丸・君が代」強制反対の闘いが、職場・裁判で粘り強く続けられている。さらには、アジアと全世界には、日本の右傾化を危惧し、平和・友好・民主主義を愛する人々が多数存在している。だから安倍首相も、「『この政権は問題がある』と思われるだけで大敗する危険性がある」と述べざるを得ないのである。「抑圧あるところ反発あり、侵略あるところ解放あり」である。人類の歴史はそのことを繰り返し証明している。人々を信頼して闘いを堅持して行こう。

目次へ戻る


今年の目標、九度(くたび)

昨2012年は、ついに50デモ達成!

T.T.0507(千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」)

 ほとんど1年前の12/01/09に似たような文章を書いたが、「抵抗は継続することに意味がある」のだから、今年も飽きずに書くことにする。
 ぼくは元々生活保守の人間なので、日常生活での変化は好まない。昨日と同じ今日、今日と同じ明日。昨日飲んだビールを今日も飲み、明日もきっと飲むだろうと、固く信じている。
 「今年の目標」も「50冊・50デモ・50万馬(車)券」を変えず、9年目に突入する。目標に向かって邁進するためには、過去を総括する必要がある。昨年までの推移を確認すると──。(ここまでは、昨年書いたものとほとんど同じである。)

  04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年
不明 44 30 15  5 14 20 10  5
デモ 47 30 41 33 31 23 27 43 53
万馬券 21 29 24 21 29 24 23 27 22

 この表を見れば、読書は壊滅状態、万馬(車)券は満足できるものではないが何とか20回を超えることができた。そして特筆すべきはデモ、喜ぶべきことかどうかは分からないが、9年目にして初めて、目標の50回を超えることができた。今回のこの雑文では、この53回のデモを──といってもすべては当然無理だが、いくつかを振り返ってみようと思う。
 出典は、千葉高教組の仲間を中心にほぼ毎日発信したメール『瓢箪通信』。メールは記録が残っているので、こういう時は、極めて便利である。ただし『瓢箪通信』、翌日の未明に発信することが多いので、ほとんどすべて、「昨日某月某日」で始められている。了解しておいてほしい。

 昨2012年のデモ初めは、やはり「脱原発デモ」であった。

 (昨日1/21〈土〉は)昼から新橋駅頭に行き、両側各1列の制服機動隊と、その両側各1列の公安の隊列の中、デモに出発。
 首相官邸前へのコースを申し出るも、警察は拒否したらしい。
 新橋駅から基本的には銀座デモをし、日比谷公園近隣に来てから、順番は忘れたが、環境相(省の間違い)・外務省・経産省・文科省等の前を通り、アメリカ大使館のそばも通り、最終的には、六本木・桧町公園(じゃないかも)までの2時間という大ロング・デモであった。
 寒かった。

 2回目のデモも、その翌1/22(日)の「脱原発デモ」。

 昨日1/22は錦糸町で馬券を買ってから、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館に行きました。「日本赤十字社所蔵アート展」を観るためです。ピカソの『アトリエの画家』というのが、良かったです。ぼく、ピカソ、けっこう好きです。
 絵はそれなりに良かったのだけれど、日赤って、皇室との関係、強いんですね! ぼく、反差別主義者というか、平等主義者というか──なので、皇室、キライです!
 その後、新宿でラーメンセットを食べてから、渋谷の宮下公園に行きました。脱原発のデモに参加するためです。デモを13時スタートと思ってたのだけれど、14時ということなので、新聞を読むため、近くの喫茶店に退避しました。
 なかなか感じの良い喫茶店でしたが、ブレンドコーヒー800円というのは、まあ、高級なんでしょうね!
 その後、宮下公園でのミニ集会に戻り、1歳4カ月の子どもが父親と来てたので、軽くチョッカイを出し、それから、渋谷を半周するデモに出発しました。冷たい雨を心配してたのでけれど、何とか、雨は降らずに済みました。
 前日1/21の2時間デモと違い、昨日は30分デモだったので、ラクで良かったです。デモ後にまたミニ集会をしても、15時前には終わり、それでも疲れてたので、まっすぐ船橋に帰り、「ひっくり返った事件」の寿司屋さんで、「今月は金がない!」と宣言したうえで、飲んで食って返り(帰りの間違い)ました。いつもよりは安かったけど、まあ、寿司屋でカウンターだから、それなりの値段ではありました。
 来月の給料日まで、もう寿司屋は無理なような気がしてます。

 上記の「ひっくり返った事件」というのは、2010年の末に、カウンターで酔っ払ってひっくり返って救急車で運ばれた事件のことをさします。まあ、こうして今も生きているので、笑い話のような事件です。

 3回目のデモも、「脱原発」。

 昨日1/29(日)の午後は、葛西に行き、「『原発収束』のウソと下町の放射能問題を考える1・29講演会&下町デモ」に参加しました。
 講演はたんぽぽ舎の山崎久隆で、デモは、葛西駅近隣から西葛西駅近隣までを大回りする1時間以上の長いデモでした。
 西葛西駅近くの居酒屋で交流会をやってから、自宅に戻りました。

 なんかぼく、飲んでばっかですね。

4回目も原発。

 昨日2/11(土)の昼前は、新柏で行なわれた”「日の丸・君が代」の押しつけに反対する東葛の会”主催の「横浜育鵬社教科書採択問題学習会」に参加しました。
 その後、柏の喫茶店でナポリタンを食べてから、原宿駅に向かいました。代々木公園で行なわれた「脱原発集会」に参加するためです。
 代々木公園に着いた途端「千葉高教組」の旗を見つけました。「リーチ一発!」って感じでした。旗を持っていた浅間さん(当時は中央執行委員)+高教組&OBの仲間と合流しました。
 この集会の様子については、以下のURL?を観てください。
●きょうは代々木公園で脱原発デモがあり、12000人が集まりました。編集部Y氏がレポートしています。↓
http://www.labornetjp.org/news/2012/0211hokoku

 ぼく、パソコン詳しくないので分からないけど、このURL?って、今でも見れるんでしょうか?

 5回目に初めて「原発」から離れます。

 昨日2/15(水)、学校の仕事という意味では、ぼくはヒマでした。
 一昨日と同じく(入試の)受付をし、体調不良の受検生を面接室に案内するという突如の「大役」を無事に果たし、面接の担当でなかったので、お昼を食べに出かけ、午後はひたすら数学の採点。昨日は「無謬のTT」でした。
 最後に教務の雑用をやり、放送で教頭・関口さんに「早く帰れ」と言われたので、「職務命令」に従って、学校を出ました。
 夜は市ヶ谷・外濠公園に向かい、お巡りさんはいっぱいいたのに、デモ隊はいず、ベンチに座ってみんなが集まるのを待っていました。寒かったです。
 18時からぼくは待っていて、18時30分くらいに前段集会が始まり、19時にデモは出発しました。
 デモコースは市ヶ谷駅から防衛省前を通り、たぶん四ッ谷駅を通り過ぎ、左折して(たぶん線路を渡って)、四ッ谷駅まで戻り──以下、みんなは再び防衛省を目指したのですが、ぼく、トイレに行きたくなったので、四ッ谷駅でデモ隊を離脱。ここまで1時間歩いたけど、やっぱり寒かったので・・・。
 あ、四ッ谷駅のトイレが閉鎖中だったので、赤い電車でお茶の水に行って、そこでトイレに行ったんだ。──で黄色い電車に乗って、東船橋へ。庄屋で熱燗を飲んで、家に帰って寝ました。まだ裕福というわけではないので、飲み屋で酒を飲むと、予算オーバーではなかったけど、少し苦しいです。

 思想性がないことが、またばれてしまいました。ぼく、寒いの苦手で、すぐデモから離脱しちゃう。まあ、気は心ってことで・・・と書いてきたんだけど、まだ5回目のデモまでしかきていない。でも、4頁目に突入して編集長の*ソフィーの愛人*さんに怒られそうなので、もうやめます。
 こんな感じで続けてきたデモ、今年2013年もやめるつもりは、ぼくにはありません。「安全運転」どころか「危険暴走運転」を始めた安倍政権を打倒するために(どこかのセクトの機関紙みたいになってしまった)、多くの仲間とともに、歩き続けていくつもりです!

(13/01/13夜)

目次へ戻る


自民党はまったく勝ってなどいない!!
〜編集後記に替えて〜

 「自民党の地滑り的勝利」と報道され、多くの国民が自民党に投票したという前提で分析されることの多い、12月の第46回衆議院議員選挙結果であるが、ここは冷静かつ客観的に情勢を分析する必要がある。
 小選挙区は民意を反映したものではないので、ここでは比例代表の得票率のみを対象としよう。すると、自民党の得票率は27.62%。自民党が大敗した、前回の2009年衆議院選挙における得票率26.73%に比べて、わずか0.89ポイントしか増えていない。これは、ほとんど誤差の範囲であって、つまり自民党の政策に期待して投票した有権者はまったく増えていないのである。
 「自民党が勝った」理由は、単なる小選挙区制のカラクリでしかない。このことを踏まえた行動が、今後なにより重要であろう。

*ソフィーの愛人*

目次へ戻る


10・23通達から10年!
『2・3総決起集会』

<日 時> 2013年2月3日(日) 13:30開会
<場 所> 杉並区阿佐ヶ谷 産業商工会館(JR阿佐ヶ谷駅南口下車5分)
<主 催> 都教委包囲首都圏ネットワーク
<内 容> ・今までの闘いを振り返る総括的発言
        ・分限免職をさせない闘いの発言
        ・大阪からの発言 他
<スローガン>
(メイン)   ・10・23通達撤回!
        ・「君が代」処分撤回!
(サブ)    ・校長による学校運営の独裁をやめさせ、
                教職員の協力と協同を回復しよう!
        ・教職員の団結で業績評価をとめ、賃金差別を廃止しよう!
        ・非正規雇用拡大反対、雇用差別をやめろ!
        ・貧困による差別に反対し、いじめをなくそう!
        ・競争をあおる学力テストを廃止しよう!
        ・教科書採択は現場の声に従え!
        ・排外主義をあおり、戦争につながる愛国心教育を廃止しよう!

目次へ戻る


目次へ戻る
バックナンバー一覧へ戻る
トップページへ戻る