![]() 金環日食(5.21 千葉県船橋市) |
「13歳からの道徳教科書」 南房総市内の全中学生に配布 |
みつはし ひさお (松戸国際高校分会) |
ノダではダメなノダ! | T.T.0502(千葉高教組市川 支部「ひょうたん島研究会」) |
千葉県南房総市教育委員会はこの4月、市内の全中学生に「13歳からの道徳教科書」(「道徳教育をすすめる有識者の会」編、育鵬社)なる書籍を副教材として配布した。「道徳教育をすすめる有識者の会」は、右派系の教育団体「日本教育再生機構」の関連組織であり、育鵬社は、「つくる会」系中学歴史教科書の出版元である。さらに、同市に隣接する鴨川市でも、某個人がこの書籍を市教委へ50冊寄贈したと報道されている。
南房総市教委は、4月25日の記者会見で、つぎのような文書を配布している。
「13歳からの道徳教科書」を活用した道徳教育の充実 今年度、教育委員会では、「米百俵」「稲村の火」など先人の想いを伝えるような作品や日本人の心ともいえるようなエピソードをまとめた本、「13歳からの道徳教科書」を市内のすべての中学生に配布します。各中学校では、道徳の時間や朝読書の時間にこの本を活用し、子ども達の道徳心を育みます。 教育委員会では、次のような活動を各学校に提案しています。
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この本が実際に個々の中学生の手に渡っているか、実際に市教委の例示のように使われているかはまだわからないが、学校現場からの要請ではなく、行政サイドの主導でトップダウン式に配布されたのは事実である。まさに、行政による教育内容への介入である。
さて、この本の内容だが、構成単位であるいくつかのエピソードのそれぞれに偉い人たちが登場し、感動的なお話を繰り広げるという、戦前の「修身」教科書のような体裁になっている。その狙いを、編者のひとりである上智大学名誉教授の渡部昇一は、つぎのように述べている。
「子供はいい話、感激的な話が好きです。子供にいろんな話をすると、『その人いい人? 悪い人?』とすぐに聞いてきます。子供は何が良いか、何が悪いかにとても敏感なのです。だからそのような時期に、『こういう事が良いことなんだよ』と教えることが大事です。そのためには、優れた人の話を読ませる、これが一番です。
現在の道徳教育に当たる、戦前の『修身』という科目の教科書には、江戸時代の旗本で幕府の政治改革を行った新井白石の勉強ぶりや、日本の陽明学の祖で、『近江聖人』と尊敬された中江藤樹の親孝行の話が載っていました。そのような話を読めば、まったく同じにはできなくても、学問に対する向上心が呼び起こされたり、親孝行は美しいもので自分もそうすべきだ、というぐらいの気になるものです。」
つまり、子どもたちが善悪を判断できる能力を身につける以前に、大人が善悪の基準を恣意的に子どもたちの頭に注入するのが教育の役割なのだというわけだ。「教育は2万パーセント強制だ」などとうそぶいているどこかの市長と、瓜二つの主張ではないか。
戦前は、たしかにそのような「教育」が行なわれていた。そして、そのことが人々から主体的に考える力を奪い、戦争への道をだれも阻止することができない状況を形成していった。そのことへの反省に立って、戦後教育がスタートしたのではなかったのか。
そう考えると、かれら「有識者の会」が「修身」の復活を目論む意図が明らかになる。このことが如実にあらわれている例を、ひとつ取り上げよう。
この本の34番目のエピソードに登場する、フランスの作家ドーデの「最後の授業」である。昔の国語の教科書で習ったかたも多いのではないだろうか。普仏戦争後フランスからドイツに編入されたアルザスで、フランス語教師のアメル先生がフランス語の最後の授業をするという「感動的な」お話である。
育鵬社のウェブサイト http://www.ikuhosha.co.jp/public/065522_shidou.html に掲載されている「指導案」を引用しよう。
最初に、「もし、明日からは、『日本語の勉強禁止。全て英語になる』と言われたらどうするか。」と生徒に問いかけることになっている。つぎに「実はフランスのある地方で同様の事態が発生した。」と続けて、授業を展開する。最後に、アメル先生が黒板に大きく「フランス万歳」と書いたことの意味を話し合い、「日本語を自由に使える幸せについて話し合う。日本語の美しさや魅力について話し合う。」という指導案である。
さて、アルザスの人々の母語であるアルザス語はドイツ語の方言であり、フランス語とはまったく異なった言語である。つまりアメル先生は、フランスとは異質の文化を持ったアルザスの人々をフランス化するために派遣された教師だったのである。こうしてみると、「感動的な」物語の意味はまったく違って見えてくる。
19世紀末のヨーロッパでは、フランスに限らず、ナショナリズムが隆盛であった。普仏戦争に敗れたフランスでは、反ドイツ感情が非常に高まっており、そういう時代に書かれたのがこの作品なのである。
このような政治性を抜きにして、「最後の授業」という作品を扱うことはできない。この作品は、偏狭なナショナリズムの愚かさや危険性を考えさせる資料としてこそ意味がある。逆に「13歳からの道徳教科書」における扱いは、100年前のフランスと同レベルの偏狭なナショナリズムに陥っていると言わざるを得ないだろう。
他のエピソードは省略するが、以上の例だけからでも「13歳からの道徳教科書」において「有識者の会」が目指すものが何であるのか見えてくるのではないだろうか。それは、戦前のような偏狭なナショナリズムの復活であり、そのための手段としての価値観注入主義である。
そもそも、子どもに「その人いい人? 悪い人?」と聞かれて、自分の価値観で善悪を教え込むような教師がいたら、教師として落第であろう。まっとうな教師なら、善悪に関わるさまざまな条件を提示したうえで、それらを自分で整理して主体的に判断を下すことができる能力をいかに育成すべきか考えるべきではないだろうか。
徳目注入式洗脳教育は、馬の調教にこそふさわしい。人間の教育は、人間の尊厳を前提にしたものでなくてはならない。人間は馬ではない。子どもの主体性を育てることなしに、民主社会の構成員たる主権者を育てることはできないであろう。
いま、6/24(日)の早朝7時。ぼくのパソコンで、困ったことが生じている。
もちろん「困った」といっても、こうやって字が書けているわけだから、友だちの「一太郎」は、普通にぼくと付き合ってくれている。
ついでにいうと、もう一人の友である「エクセル」君、ぼくにはどう付き合っていいのかよく分からない点もあるが、まあ、ケンカをしない程度には、仲よくしている。
ところで「困っている」のは、女(おんな)友だちの「Becky!」ちゃんと、外国人の「Internet」君だ。理由は分からないが(だから困っているノダ!)、昨夜6/23(土)にぼくが自宅に戻ってから、一言も口をきいてくれない。これではよくないノダ!
・・・と2回「ノダ!」と入力したら、一つのことに気が付いた。もっとダメな奴がいたノダ! そう、野田佳彦、我が「愛する」ニッポンの現職の首相なノダ!
・・・ということで、実は今日6/24の午後、西船橋から「24日(日)はそうだ、船橋行こう。電車でGO!野田退治デモ!!!再稼働はダメなノダ!」という長ったらしい名前のデモが行なわれるのだが、それに参加するつもりである。「黄色い電車で西船(千葉では「にしふな」と呼びます)に来て、黄色い服着て歩こう!」みたいなコンセプトらしいので、ぼくも黄色っぽい服を着て、参加するつもりだ。
・・・とここまで書いて気づいたのだが、この雑文、いま、この『ひのきみ通信』で読んでもらってるのは、6/30(土)の千葉高教組「定期大会」以降。競馬のように予想を書いておくと、参加人員1500人、大成功裏にデモは終わるはずである(最近馬券は当たってないが・・・)。
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先日6/14(木)、千葉高教組を通じて、日教組から、次の要請が届いた──ということは、「Becky!」ちゃんが教えてくれた。彼女は、過去のことはよく話してくれるノダ! ところが、これからのことを話そうとすると、無言になってしまう・・・。変な娘である。
日教組の要請に話を戻すと──。
日教組は原水禁国民会議と連携し、大飯原発の再稼働を許さないとりくみをすすめます。つきましては、各単位組合におかれましては、下記の通り緊急の打電行動にとりくまれるよう要請いたします。 |
・・・ということを要請されたので、千葉高教組市川支部の書記長でもあるので、次のメールを野田事務所に送った。この時はまだ、「Becky!」ちゃんは絶好調だったノダ!。
千葉高教組市川支部書記長・高木です。総理大臣・野田佳彦さんへ。大飯原発の再稼働(野田さん的には再起動?)に反対します。 理由は簡単。福島第一原発についてのあなたの「収束宣言」など、誰も信じていません。福一の現状について、あなた(野田さんです)は説明できますか? 何がどうなっているのか? できるものなら、説明してみてください。 ぼく、あなたの今回の記者会見の発言、ほとんどナマで聞きました。「あなたの責任でどうしたこうした・・・」みたいなことを、言ってましたよね。これも、ぼく、まったく信じていません。 福一の事故に対して、誰か、責任を取りました? 誰か責任を取った人がいたら、教えてください。ぼく、誰も責任を取ってないと思いますよ。今まで誰も責任を取っていないのに、野田さんが「責任を取る」と言っても、そんなの、信じられないの、当然でしょう? ・・・ということで、説明もできず、責任も取れない大飯原発の再稼働など、絶対にすべきではありません。そのことを、強く要請します。 * 追伸。先日、別の団体でですが、薬円台駅からあなたの事務所前を通って、「再稼働反対!TPP反対!消費増税反対!」を訴えるデモ(パレード?)をしました。 あなたが再稼働を強行すれば、また、あなたの事務所に向けてデモをする予定です。その時は、「野田は総理をやめろ!」というコールをしたいと思ってます。 そんなことをしないで済むよう、真っ当な判断を(無理か?)することを願っています。 以上、2012年6月14日夜。 |
ここで予告したとおり、野田たちが大飯再稼働を決定した6/16(土)、昼前は首相官邸前にいたぼくは(動画〈YouTube ユニオンチューブチャンネル〉森園さんの訴え 4分 http://youtu.be/nvaG-WJwxJg に、ちょっとだけだけど出演している)、「再稼働撤回!」を求める15時からの新津田沼駅頭宣伝で発言し、その後、薬円台駅から野田事務所に向かう抗議「デモもどき」にも参加した。当然、そこでは、「野田は総理をやめろ!」というコールも上げたわけだ。
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・・・というこの『ひのきみ通信』用の原稿を書き上げたところで、大事なことに気が付いた。
この原稿、編集長のMさんに送らなければならない。でも、ぼくの「Becky!」ちゃん、ご機嫌斜めである。どうしよう──?。
ところがこの編集長のMさん、ぼくのパソコンについての知恵袋である。さっそく電話をし、助言を仰ぐ。Mさん曰く、「一太郎とエクセルが動くのだから、パソコン本体に異常はないハズ。接続が悪いんじゃない? 例えば電源が抜けてるとか・・・」。
「ゲゲッ」と思い電源を見たら抜けていた──というほど単純ではないのだが、五十歩百歩の似たような状況であった。
まあ、取り敢えずこの原稿をメールで送ることはできたので、何とかこの『ひのきみ通信』に載せることができた──らいいなと、ぼくはいま思っている。
(本当は12/06/25夜だけど、ストーリー展開上は、12/06/24早朝)