ひのきみ通信 第171号

2012年2月25日



都教委包囲・首都圏ネット
2/5 総決起集会 (東京・赤羽会館)

目次

今年1月以降の動きから
 〜ファシズムの動きに抗して〜
渡部秀清(松戸国際高校)
12/3(土)県教研「平和・人権・民族」分科会報告
 闘いの焦点!大阪に学ぶ
石井 泉(市原高校分会)
「2/19脱原発杉並デモ」雑感 T.T.0497(千葉高教組市川
 支部「ひょうたん島研究会」)

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今年1月以降の動きから

〜ファシズムの動きに抗して〜

渡部秀清(松戸国際高校)

<1月16日、最高裁不当判決>
 基本的には、昨年5月末から7月にかけて連続して出された判決を踏襲したものであったが、戒告以上の処分に対しては「一定の歯止め」となる判決であった。それは判決文要旨の以下の部分によく現れている。「職務命令は憲法19条に違反するものではなく、学校の規律や秩序保持の見地から重きに失しない範囲で懲戒処分をすることは裁量の範囲内と解される。他方、戒告を超えてより重い減給以上の処分をするには慎重な考慮が必要だ。」
 そして、減給1月の渡辺厚子さんと、停職1月の河原井純子さんの処分は取り消された。しかし他方、停職3月の根津公子さんの処分は取り消されなかった。これについて判決文要旨では次のように述べられている。「停職1ヶ月となった原告の過去の処分の対象には積極的に式の進行を妨害する内容の違反は含まれていない。過去3回の卒業式などにとどまり、前後の態度に特に処分を加重する根拠もうかがわれないことから、都教委の判断は裁量の範囲を超える。停職3ヶ月となった原告は、過去に不起立以外で3回、不起立で2回の懲戒処分を受けた。前者のうち2回は卒業式で国旗掲揚を妨害し、再発防止研修でゼッケンを着用して抗議したもので、さらに国旗・国歌への対応について校長を批判する文書を生徒に配って2回の訓告を受けており、停職にすることの相当性を基礎づける具体的事情があった。都教委の判断は裁量権の乱用とは言えない。」
 要するに、「(「君が代」を強制する)学校の規律や秩序保持」を乱さなければ戒告以上の処分は出さないが、そうでなくそうした「規律や秩序」に抗議するような言動には、戒告以上の処分も出すということである。
 つまり、一定の歯止めはあったが、基本的には先の最高裁判決を踏襲しており、「学校の規律や秩序保持」に反するような言動には厳罰で臨むという最高裁の姿勢を明らかにした判決だったわけである。しかし、国民主権の世の中で天皇主権の歌を強制しそれに従わない者を厳しく処分するなどということがあっていいのだろうか。否!断じて否!!である。

<1月17日(最高裁判決翌日)、大阪で>
 最高裁判決を受けて、松井大阪府知事と橋下大阪市長は、『教育基本条例案』の中の職務命令に2度違反した教員を自動的に停職にできる条項を見直し、停職の前に指導研修の機会を設ける考えを示した。しかし、橋下は次のように述べた。「違反状態が改善されるまで現場復帰は認めない。これは当たり前の話」。これは実質的には「転向強要研修」のようなもので、「転向」しなければ、むしろ即「分限免職」につながる可能性さえもある。
 そして同日、大阪府教育委員会・中西正人教育長は全教職員約1万3千人を対象に、卒・入学式での「君が代」起立斉唱を求める『職務命令』を出した。6月に強行成立した「大阪府君が代条例」を踏まえたものだという。東京の「10・23通達」の大阪版が出てきたわけである。しかも、現場教員に対し教育長自ら「職務命令」を発した点では、さらに一歩踏み込んだ。また、これと並行する形で、大阪府の松井知事は「教育・職員基本条例案」の職務命令違反に関する規定について、1回目の違反者の減給処分をやめ、2回目の処分も停職から減給にする修正方針を明らかにした。これは最高裁判決を踏まえたものだという。しかし、橋下の発言を踏まえ、違反の度に職員を指導研修し「職務命令に従う」と誓約させ、誓約しない場合は「現場に戻せない」ともした。これも東京の「再発防止研修」より段階を画したものとなった。露骨な思想転向強要研修であり、転向しないものは教育現場から排除(分限免職で?)することを狙ったものである。しかもこの動きが、「一定の歯止め」をかけたと思われた最高裁判決の翌日である。

<1月24日、東京で>
 最高裁判決を受けて動揺した都教委は、卒・入学式での「日の丸」掲揚「君が代」斉唱について「適正に実施することは、児童・生徒の模範となるべき教員の責務である」とする(通知)を都内の全62市区町村教委と252都立学校にあてて出した。1月16日の最高裁判決を受け、臨時の教育委員の会議を開いて通知の内容を決めたという。しかしこれは石原都知事が20日に、「裁判の結果は何だろうと、もう一回教育委員会にその(起立斉唱の)問題を確認してくれ」と求めたため出されたものである。
 大阪でも東京でも最高裁判決も無視して事態は進行したのである。まさに無法状態である。彼らは口を開けば「秩序」とか「規律」とか「法」とかいうが、それは彼らに都合のよい「秩序」「規律」「法」であり、彼らに都合の悪いものはいくらでも無視し、簡単に踏みにじるのである。まさにデマゴギーであり、ファシズムの手法である。

<1月30日、土肥三鷹高校元校長の東京地裁不当判決>
 全面敗訴。裁判所から出てきた土肥さんは「裁判官は自分の顔を見ることもなく、判決文を読むなり逃げるように法廷から出て行った。嘘をついたもの(都教委)が勝って正直者がバカをみるような社会は許せない、即、控訴して闘う」と述べた。報告集会で彼は「裁判をして良かった。しなければ闇の中に葬られた。嘘ばっかりついた都教委、これが分ったことは素晴らしい。自分は790名の非常勤希望者のうち790番だった。オールCは土肥一人だった。怒りがエネルギーに変わる。嘘つきの都教委をさらし者にする。自分は言論の自由を守りたかった。大阪の橋下さんに規制をかけたかった」と述べ、教育学者・浪本さんは「最低・最悪の判決。裁判所は行政の行き過ぎに歯止めをかけるべき所なのに、行政追随の判決だ。裁判所の役割を全く果たしていない」と述べた。

<東京での『2・5総決起集会』(主催:都教委包囲首都圏ネットワーク)>
 最初に主催者からこの1年間の経過報告(1月の最高裁判決に対しては「一定の歯止め」と評価し、大阪・東京はその最高裁判決をも無視して「君が代」強制をさらに進めつつあるとした)がなされた後、以下のような報告等があった。

[がくろう神奈川への弾圧について]
 「組合交渉」をしていたことで公安3課から不当逮捕された。逮捕の理由に<「日の丸・君が代」問題で過激集団を構成員とする>などのことが書かれていた。組合交渉は<人事評価>を巡るもので、一般にはありえない五項目にCをつけたものだった。苦情申し立て制度でその評価は覆った。しかし、2年後に逮捕された。校長が交渉の時に「ボイスレコーダー」で録音していたのを証拠とした。しかし釈放され不起訴処分になった。逮捕された当時70人もの人が支援に来てくれ、報告集会にも100名が来てくれた。こうした支援があったからこそ不起訴になった。現在「業績評価」で裁判闘争をやっている。

[朝鮮学校の授業料無償化問題]
 昨年の3年生は無償化を受けずに卒業した。今年の3年生もまた受けずに卒業しようとしている。補助金を出さない風潮が東京、大阪、千葉、埼玉、宮城などに広がっている。この後、2月から3月にかけて国会議員会館内集会、都庁前ビラまき、文部科学省前スタンディング、人間の壁もやる。全国署名も再開する。皆さんには是非朝鮮学校に足を運んでもらいたい。

[原発要らない福島の女たち]
 3・11以後大変な状況だ。「子どもを放射能から守る福島ネットワーク」は昨年立ち上げられたが、その後お互い連絡がとれず、昨日ようやく総会にこぎつけた。「今、福島にいてよいのかどうか」厳しい状況だ。来週は「命を守る全国サミット」が開かれる。3月11日には、「福島県民大集会」が開かれるがどのような名称にするか問題だった。女たちの粘りで『原発いらない福島県民大集会』という名称を勝ち取った。除染をしても無駄なところがある。ある幼稚園は移転した。子ども達を疎開させなければならない。医者が「問題ない」というが信じられない。お金が大事という考え方はダメだ。命が大事だ。それは百姓や漁民が一番よく知っている。昔からあった農村風景を取り戻すことだ。

[最高裁判決原告から3人]
 <根津さん>今回の判決の「秩序」という言葉は、「フクシマ」や「貧困」の問題を抜きにしては出てこなかった言葉だ。自分は「一定の歯止め」にはなっていないと考えている。不起立に対する処分は教育内容への弾圧だ。不起立は正当な教育活動だ。国家が隠そうと思っていることに対し子どもたちに示すことは教員の職務だ。この3月の卒業式では「不起立」をしていく事が重要だ。
 <Kさん>最高裁判決については、多数、意見が飛び交っている。裁量権逸脱の判決もあったが、「規律秩序維持」のための戒告は有効としている。減給についても「慎重な考慮が必要」と言っているだけだ。被処分者3次の原告50人中25人は減給以上だ。だから都教委に対して、理由が分る資料を出せと言っている。闘うために改めて論理を組み立てる必要がある。
 <独立労組アイムのUさん>去年3月10日の大橋高裁判決(処分取消)は画期的だった。今回の判決は、戒告と減給・停職の間に一定の線を引いたものになった。それは大橋判決が導き出したと考えている。しかし、そもそも「処分の妥当性」に恐ろしさを感じる。ただ、宮川裁判官は「戒告でもダメ」と書いている。自分たちの組合では、『100回すわっても戒告止まり』というビラを作った。若い先生たちの時代はどうなるのか。問題意識がなく、職務命令さえもいらなくなるのでは。身近なところから諦めずに働きかけて行きたい。

[大阪教育基本条例反対の取組み、大阪のTさん]
 最高裁判決に対する橋下の反応としては、職務命令違反については、1回目から指導・研修を義務付け、誓約書を提出しない限り現場に戻さない方向へ条例案をさらに改悪しようとしている。誓約書の提出を拒み続けると、それを理由にした分限免職の可能性も。現在もビラ配布・署名活動など精力的に宣伝活動を取り組んでおり、2月12日には、集会・デモ・ヒューマンチェーンを行う。

[大嶽業績裁判、大嶽さん]
 勝訴が確定した後、人事委員会から「給与是正」の書類が来たが彼らは反省していない。都教委も区教委も反省していない。7年間も人に苦痛を与えていて、謝罪もない。傲慢な態度だ。これから判決を武器に訴えていく。学校現場は大変な状況になってきている。小学校1年からスポーツテストが入り、データの分析は業者だ。子どもたちは遊ぶ間もないほどだ。1年生でも火〜金は五時間だ。業績評価は教員への統制、上意下達の手段だ。ある人に「ブレないでやってきたから勝てた」と言われたが、職場の支援体制があったから勝てたとも言える。

[非正規教員のことについて、事務職員の方]
 1970年代半ばまでは学校における非正規は妊娠補助員、警備員くらいだった。1985年以降「行革」で事務員や調理員に非正規が広がった。2000年以降は、新自由主義政策で、学校は学びの場ではなくサービスの場になってきた。そして、期限付き任用、時間講師、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、再任用、嘱託などなど、ある学校は職員51名中、非正規が21名もいる。正規と非正規との間の賃金格差も激しい。こういう問題を正規職員はネグってきた。

[学校現場での闘いについて]
 最高裁判決には様々な評価があるようだが、「秩序維持」ということでやってきているのだから、組織的抵抗しかない。不起立も有効。しかし、中には不起立ができない事情の人もいる。それ以外の人々とも団結して闘っていく。非正規職員の闘いとも団結していく。ストライキもして闘う。

[決意表明2人]
 <東京の仲間>今回の判決は分断判決だ。自分もかつて不起立していたのに処分されなかった。もう一人の人は処分された。この境界線を様々な足跡で、踏み消し、踏み越えて行くことが大事だと思う。
 <大阪の仲間>所属する教組執行部は「国旗国歌法」成立後、「立つこともやむなし」と言い始めた。それで、不起立の人の数は減り、数年前から自分一人となった。それでも不起立をしてきたのは、解放教育にとりくむなかで、「身分差別の元凶は天皇制にある」「かつての天皇制による侵略戦争は最大の人権侵害」であることを強く意識したからだ。橋下は「面従腹背でも大歓迎だ」と述べた。これは奴隷精神を強要するものであり、本心と建前の使い分け、つまりウソ偽りを子どもたちに奨励するものであり、教育労働者として絶対に認めることはできない。

 最後に、「この判決(最高裁判決)を『一歩前進』とさせるか否かは、私たちの闘い如何にかかっています」という<集会決議>が採択され、<行動提起>([1]卒業式前にある様々な裁判傍聴、集会、行動への参加。[2]都教委への抗議・申し入れ行動・2月27日。[3]卒業式ビラまき・3月1日〜。)がなされた。

<2月9日最高裁予防訴訟判決>
 判決主文は、「・本件上告を棄却する ・上告費用は上告人らの負担とする」、という予想されたものだったが、判決文の内容では[1]予防訴訟という裁判は適法である(つまり争える)ことを確認、[2]5人の裁判官中、<櫻井裁判官><金築裁判官><横田裁判官>は都教委の加重処分に対する批判的な「補足意見」を、<裁判長・宮川裁判官>は棄却判決に対する「反対意見」を書いた。以下、[2]のうち<裁判長・宮川裁判官>の「反対意見」からその一部を紹介する。
「教育公務員は、一般行政とは異なり、教育の目標(教育基本法2条)を達成するために、教育の専門性を懸けた責任があるとともに、教育の自由が保障されており、教育の目標を考慮すると、教員における精神の自由は、取り分けて尊重されなければならない。」「国旗及び国歌に関する法律と学習指導要領は教職員に起立斉唱行為等を職務命令として強制することの根拠となるものではない。そもそも、本件職務命令が基づいている本件通達は、式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図で発せられたものではなく、その意図は、前記歴史観等を有する教職員を念頭に置き、その歴史観等に対する強い否定的評価を背景に、不利益処分をもってその歴史観等に反する行為を強制することにあるとみることができる。以上のとおりであり、上告人らが本件職務命令に服することなく起立せず斉唱しないという行為は上告人らの精神的自由に関わるものとして、憲法上保障されなければならない。」「全国的には不起立行為等に対する懲戒処分が行われているのは東京都のほかごく少数の地域にすぎないことがうかがわれる。この事実に、私は、教育の場において教育者の精神の自由を尊重するという、自由な民主主義社会にとっては至極当然のことが維持されているものとして、希望の灯りを見る。そのことは、子供の自由な精神、博愛の心、多様な想像力を育むことにも繋がるであろう。しかし、一部の地域であっても、本件のような紛争が繰り返されるということは、誠に不幸なことである。こうでなければならない、こうあるべきだという思い込みが、悲惨な事態をもたらすということを、歴史は教えている。国歌を斉唱することは、国を愛することや他国を尊重することには単純には繋がらない。国歌は、一般にそれぞれの国の過去の歴史と深い関わりを有しており、他の国からみるとその評価は様々である。また、世界的にみて、入学式や卒業式等の式典において、国歌を斉唱するということが広く行われているとは考え難い。思想の多様性を尊重する精神こそ、民主主義国会存立の基盤であり、良き国際社会の形成にも貢献するものと考えられる。」
 今回の判決の「補足意見」や「反対意見」は、都教委だけではなく大阪の「教育基本条例」に対しても、痛烈な批判になっている。

<大阪での『2・12教育基本条例反対集会』とヒューマンチェーン>
 以下に大阪からのメールでの報告を紹介する。

 本日、「教育基本条例」案反対、職務命令による「君が代」起立強制反対をかかげて、2.12集会・デモ。ヒューマンチェーン行動をおこないました。エルおおさか南館ホールで開かれた集会には、開会時刻の13時30分にはすでに座りきれないほどの参加者であふれ、300部用意した資料も早々となくなって、最終的には参加者は500人に達しました。「建国記念の日」と教育基本条例案の関連についての黒田さんの主張、井前さんからの基調報告に続いて、連帯のあいさつとして、WTC住民訴訟の会の福山さん、大阪全労協事務局長の高橋さんが発言。さらに、全国からの参加者が壇上に上がり、Nさん、Mさん、Aさん、Tさん、大嶽さん、河原井さん、小野さんが発言しました。また、名古屋市立高校教組の委員長もかけつけて下さいました。大阪各地からの報告は、枚方・「教育基本条例を考える市民のつどい」実行委員会、堺からのアピール、「教育基本条例」反対都島区旭区の会、「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク 、「教育基本条例」制定に反対する八尾市民の会からありました。最後に行動提起が行われ、デモに出発しました。
 一方、大阪市役所前にある中之島公園女性像前広場では、若者たちを中心に、橋下さんひどない!?☆橋下さんにひとこと言いたい!プロジェクトが開かれ、14時30分頃から、リレートークが行われました。こちらの参加者は一番多いときで、150人近くになりました。
 15時30分には、デモ隊がこのプロジェクトに合流し、しばらくリレートークが続けられた後、16時頃から大阪市役所包囲の人間の輪(ヒューマンチェーン)に出発しました。大阪市役所周辺には、3グループの右翼団体が入れ替わり立ち替わり登場して、街宣をおこなっていましたが、ヒューマンチェーンの時にはほとんどいなくなり、参加者全員でしっかりと市役所を包囲するヒューマンチェーンを完成させることができました。
 この企画に当たっては、右翼に対して、防衛隊の仕事をお願いした方たちのご協力をいただき、行動の成功に大きく寄与したと感謝しています。
 本日の行動は成功裏に終了しましたが、これからが闘いの本番です。さらに運動を拡げるために、できることは何でもやっていきましょう。

<2月9日、大阪市、職員全員に対しアンケート>
 橋下徹市長が調査を指示、「労使関係に関する職員のアンケート調査」(氏名記入)を出し、明日(2月16日)を回答期限とした。回答要請文には「市長の業務命令として、全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めます。正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます」と明記された。アンケート項目には、例えば「あなたは、この2年間、特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含む。)に参加したことがありますか」との質問があり、・「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」、・「誘った人は誰か」、・「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q7)。
 また、「あなたは、これまで大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動に参加したことがありますか。」として、・「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」、・「誘った人は誰か」、・「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q6)。
 常識では考えられない超憲法違反のアンケートである。さすがに批判が相次いだため、2月17日、調査を担当した市特別顧問の野村修也弁護士が、回収したアンケートの開封や集計作業を「一時凍結」すると発表した。ただ、調査を指示した橋下は「何ら問題ないと思っている」と述べており、再開の可能性は残っている。

<2月15日大阪市教委校長宛に「君が代」「職務命令」を出すよう(通知)>
 その中には次のようなことが述べられていた。

  1. 条例第4条第1項は、府内の市町村立学校の行事において行われる国歌の斉唱について教職員に起立により斉唱を行うことを規定したものであり、本市立学校の教職員も対象となること。
  2. 行事において行われる国歌斉唱の際に起立しないことは、条例に反する行為となること。
  3. 児童生徒に国族・国歌を尊重する態度を育てる立場にある教員が、学習指導要領に基づき国歌を歌えるよう指導するとともに、自らも起立して国歌を斉唱することが、教育の効果を高める大切な事項であることから、まずは自ら起立するよう粘り強く指導を行うこと。
  4. なお、前項の指導に従わない場合においては、条例に反する状態とならないように、職務命令を行うこと。

 つまり、憲法も最高裁判決をも無視し、昨年6月に強行採決した<条例が第一>になっているのである。もはやここには憲法は存在しない。しかも現在、やはり憲法無視の『大阪教育基本条例案』『職員基本条例案』が策定・審議されつつある。

<2月「大阪維新の会」が衆議院選挙に向け『船中八策』の骨格を策定>
 この詳しい内容は省略するが、一口で言えば「新自由主義政策」、いわゆる<小さな政府>論であり、民営化・規制緩和を柱とする<自己責任>論=<露骨な資本主義政策>、に他ならない。だから独占資本の論客が彼を取り巻き始めた。ファシズムとは「危機にひんした独占資本の暴力独裁に他ならない」。まさにそのことがこの『船中八策』に現れている。この行き着く先は、貧富の差のさらなる拡大⇒相対的過剰生産恐慌(世界恐慌)⇒ファシズムと世界戦争である。このファシズムの嵐と闘うために、現在私たちには『小異を残し、大同(反米日独占、反暴力独裁)に付く』反ファッショ統一戦線を構築することが求められているのではないだろうか。

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12/3(土)県教研「平和・人権・民族」分科会報告

闘いの焦点!大阪に学ぶ

石井 泉(市原高校分会)

 千葉高教組県教研「平和・人権・民族」分科会が、12月3日(土)9:30から千葉県教育会館202号室で行われた。参加者は9名。今回は、大阪高教組の井前弘幸先生に、橋下知事による教育破壊の状況や直前の大阪ダブル選挙の総括を講演して頂いた。
 最初に、渡部秀清先生(松戸国際高校分会)から11月28日の根津公子さん・河原井純子さんの「君が代」不起立停職処分取消請求上告事件の最高裁「弁論」の報告があった。[1]最高裁が「思想良心の自由・教育の自由」の問題ではなく「裁量権の濫用」に限る理由での「弁論」と予め通知を出していた点、また[2]原告側は「職務命令」が「日の丸・君が代」への敬意表明の強制で、教師の教育上の信念に反する意見表明の強制であること、また子どもへの一方的価値観の押しつけで教育の営みを破壊するものであると主張した点、さらに最高裁に[3]「大阪府教育基本条例案」など反動的な動きに歯止めをかける毅然とした司法判断を求めた点が、指摘された。(最高裁判決は今年1月16日に出され、内容は「加重処分には慎重な配慮が必要」と河原井さんの停職処分は取り消しながらも、基本的には「職務命令」を認め、根津さんの処分を取り消さないヒドイ不当判決でした。)
 次に井前先生から以下のような報告があった。大阪での「日の丸・君が代」に関する処分攻撃は、07年門真三中卒業式の不起立者を産経新聞が騒ぎ立てたことが始まりである。これを機に橋下府政となった翌年、府議会が不起立者のいる学校を課題校と騒ぎ、09年に府教委が議会圧力を先回りして「職務命令」を発し従わないと処分という東京同様の攻撃となった。なぜ昨年6月に「君が代」条例かについては、その頃橋下知事は府庁舎移転問題で失敗(買収した土地が耐震基準を満たさず無駄に)し大赤字が表面化して府政批判が出始め、このままでは翌年1月の任期満了選挙は闘えないと判断した。批判をかわす新たな争点作りとして、「日の丸・君が代」問題や教育組織の問題を取り上げ、短期間での強引な条例化を図った。また、大阪では07年から給与反映の「新勤評=教職員評価・育成システム」反対運動が継続されている(予防訴訟は現在最高裁上告中)。しかし、最近は、人事評価を通しての間接管理よりも、直接「法」や「条例」で従わせる(従わなければクビ)方法へと変化し、まさに東京同様に、教職員が従う人間かどうかあぶり出す最も分かり易い方法として、「日の丸・君が代」問題を持ち出している。そして、今回のダブル選挙では、橋下は終始「争点」をぼかし、結局、閉塞感を煽って「現状か、変化か」の構図に持ち込んだ。結果については、当初橋下陣営の圧勝との下馬評の中、批判票を50万票以上獲得しての敗北で、この数字は橋下も無視できない。しかし、従来から「選挙で勝てば民意である。政治が教育を行う」と主張し、2月議会への「教育基本条例案」提案、3月には卒業式の季節とまさに闘いの正念場が続く。ちなみに、橋下当選時のテレビ中継で森田千葉県知事のインタビュー映像も大阪で流れた。また、これまでの橋下に対する闘いは、「100人委員会」や「ホットライン大阪」が中心となって広がってきたが、「日教組」と名前が入ったビラは一枚もないことなども指摘した。
 討論では、今後大阪の攻撃は全国に広がる危険があり全国からの支援と学習が必要との意見、「君が代の起立斉唱は社会儀礼」という考え方にまず反論していかなければならないという指摘、三学期の授業で「日の丸・君が代」問題を取り上げていきたいという意見があった。
 現在、大阪の闘いは全国的な焦点である。今月には明白な憲法違反である、橋下による職員の思想調査(「政治活動調査」)の問題も明るみに出た。広島・東京・神奈川・北海道・大阪・・・と教育現場は激しい反動攻撃を受け続けている。千葉でも高校統廃合問題(夷隅地域)が山場を迎えているが、生徒・学校を守るための闘いという意味では同じである。井前先生の話からは、厳しく長い闘いを覚悟しながらも絶対に負けないという信念が伝わってきた。大阪の教職員の粘り強い闘いを是非千葉高教組も全国の仲間と共に支えたいと確信し、私自身も励まされた教研だった。

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「2/19脱原発杉並デモ」雑感

T.T.0497(千葉高教組市川支部「ひょうたん島研究会」)

 今日2/19(日)の午後、東高円寺・蚕糸の森公園で開催された「脱原発杉並集会&デモ」に参加してきた。
 このデモの「呼びかけ文」には、次のように書いてあった(デモから帰った後で読んだ)。

 原子力にたよらない世界をめざして、杉並を中心とした市民が立ちあがりました。原子力発電所はもういらない! わたしたちは、その一点において、広くゆるくつながった「有象無象」です。

 若い衆も大先輩も、商店主もサラリーマンも母ちゃんも父ちゃんも、素人の乱やTwitterデモや西荻ゆるデモの参加者も、いろんな政党もいっしょくた。われら杉並の「有象無象」、原発のない社会をめざし、しぶとく、しつこく、むやみやたらと手を結んで、訴えつづけていきます!

 2月19日(日)、わたしたちの初めてのデモが高円寺「蚕糸の森公園」から出発します。サウンドカーあり、阿波踊りやエイサーあり、太鼓隊あり。
お散歩カーの赤ちゃん隊も。まさになんでもありのにぎやかなデモになりそうです。

 「呼びかけ文」に書いてあろうがなかろうが、「有象無象」の──ぼくの言葉を使えば「枯れ木の山」の一人としてでしか、デモに参加するつもりはない。
 その「枯れ木の山」の一人として今日もデモに参加したのだが、主催者によると、今日のデモ、いくつかの隊列に分かれて出発したらしい。
 先頭が「フォークダンス隊」で、解散地に着いたら、ダンスを踊って待っているとか・・・。ダンスは嫌いではないが、オジサン的には、チト恥ずかしい。
 2番目は「キッズ隊」ということで、ハナからオジサンには資格がない。
 4番目は「カラオケ隊」ということだが、ぼくは「口三味線派」なので路線が合わない──ということで、よく分からんが、3番目の隊列のシッポにくっついて、出発した。
 ぼくのこの隊列、最初は黙々と行進していた。「何もやらないんじゃ、ツマランなあ──と思いつつ少しずつ前に進むと、何やら楽器の演奏をバックに、女性のコール「原発いらない!」が聞こえてくる。
 「そうそう、デモはこうでなくっちゃ」と考えながら、「原発いらない!」と小声で応じていたのだが、何か変な感じ。演奏がコールに合っていて、どうも、生演奏に聞こえる。
 少しずつ音楽に近づいていったら、ドラマーが後ろ向きでタイコを叩いている。「この人、後ろに歩きながら、ドラムを叩いてるの?」。でも、足でもタイコを叩いてるみたいだし・・・。
 もっと近づいたら、そのドラマー、大八車みたいなのに乗ってる。その前を見たら、若者が自転車を漕いでる。なるほど、人力で頑張ってたんだ。
 でも、この自転車大八、坂道が苦手らしくって、坂道になると、後ろの女性たちが手で押していた。ウ〜ン、何かこう、胸にこみ上げてくるものがあるなあ〜。
 ・・・ということで、2時間くらい、この生バンドデモ隊と一緒に、高円寺から阿佐ヶ谷まで歩いた。途中の歩道では、手を振ってくれる親子連れや、食べ物屋の大将らしき人もいて、なかなか楽しいデモであった。
 杉並、さすが原水禁運動発祥の地らしく、侮れないぞ──と感じてしまった、日曜日の午後であった。

(12/02/19夜)

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