ひのきみ通信 第155号

2010年1月16日



12.5 千葉高教組教研で講演する
稲葉剛さん(もやい代表理事)

目次

政権交代と日米同盟、安全保障の行方
 -県教研「平和・人権・民族」分科会の報告
渡部秀清(分科会推進委員・松戸南高校分会)
今年の目標、ろくたび T.T.0467(千葉高教組東葛支部
 「ひょうたん島研究会」)
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政権交代と日米同盟、安全保障の行方
〜県教研「平和・人権・民族」分科会の報告〜

渡部秀清(分科会推進委員・松戸南高校分会)

 昨年12月5日に行われた県教研「平和・人権・民族」分科会では、「パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会」の代表・吉沢弘志さん(埼玉大学講師)に上記テーマで講演をしていただいた。(参加者9名)
 講演は極めて具体的かつ生き生きしたものだった。ここにその全部を再現できないのが残念である。しかし、その講演の柱だけでも皆さんに分かっていただきたいと思い、以下に紹介する。

……………………………………………………………………………………………

(1)「日米安全保障条約」体制50年を迎えて
 ポスト冷戦後、アメリカの戦略は「新しい戦争」として、対称型戦争から非対称型戦争に変化した。それはそれまでの社会主義国家以外の「敵」の想定によるものであり、その恰好の理由づけとなったのが「9・11同時多発テロ」であり、そこから「テロとの戦争」というものが出てきた。そして、米軍は「いつでも」「どこでも」出て行く軍隊へと変容し、軍事のハイテク化が進行した。それにともない「米軍再編」も起きてきた。しかし、ブッシュ政権の「単独主義」はイラク攻撃などで失態を現し、オバマ政権ではともに「責任」を共有できる国同士の「国際協調」と「同盟」強化をうたうようになった。だがリーダーはアメリカである。
 日米同盟はこの間、「安保条約」が再定義され、強化されてきた。1996年には「日米安全保障共同宣言」(橋本・クリントン宣言)が出され、ここから自衛隊の再編も始まった。そして翌1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が出され、この中では、<周辺事態>概念が導入され、「周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである」とした。事実上の<極東条項>の撤廃である。それ以来、自衛隊はアフガン戦争にもイラク戦争にも出て行くようになった。さらに1999年には「周辺事態法」が成立、これ以後、「武力攻撃事態法」(03年)、「国民保護法」(04年)が整備され、04年には新「防衛大綱」も閣議決定、05年には「自衛隊法」を改正しミサイル防衛・3軍統合を規定、「日米同盟:未来のための変革と再編」を出し、事実上の新「安保条約」となっていった。それに伴い、06年には「防衛庁」が「防衛省」へと格上げされ、自衛隊の<海外活動>が「本来任務」化されることになった。07年には「米陸軍第一軍団前方司令部」がキャンプ座間に発足し、08年には陸上自衛隊の「中央即応集団」が本格発足することになった。これは防衛大臣が「海外派兵」と「国内有事」のために自由かつ独自に動かせる「集団」であり、習志野基地にある部隊が一番大きい。次いで宇都宮にある部隊だがこれは700名からなり、「海外派兵」の先遣部隊である。最新鋭の装甲車(時速100キロで走れる)を100台持ち、アメリカのストライカー旅団と一緒に動ける。また、陸上自衛隊の全部隊を統合管理する「陸上総隊」(空自、海自はすでに設置)を創設、従来の基本単位である「方面隊」は廃止される。「中央即応集団」も「陸上総隊」傘下になる。宇都宮の部隊は「中央即応連隊」となり、「海外派兵の先遣部隊」として特化され、ジブチへ38名が派兵された。そして「中央即応集団司令部」が、2012年には「キャンプ座間」(「米陸軍第一軍団前方司令部」がおかれている)に移転する予定である。
(筆者:いろいろややこしいが、要するに冷戦後の「米軍再編」と「自衛隊再編」がきわめて密接に結びつき進行しているのである。)

(2)新政権の安全保障の行方
 1991年に小沢一郎は『日本改造計画』を出し、「普通の国」を目指すとした。鳩山政権の路線もそれに酷似している。
 日米関係については、「対等の日米関係」から「日米同盟=米追従」というものだ。しかし、普天間基地移設で混乱が起きている。沖縄の人たちの声を無視することはできなくなってきている。1月24日には辺野古(移設予定地)がある名護市長選がある。また参院選(7月)後には沖縄知事選も予定されている。
 来年度の防衛予算の概算要求では、「ミサイル防衛予算」の強化(追加配備944億円)と「ヘリ空母三艦め」(より大型1181億円)などが見られる。

(3)千葉県をめぐる状況
1.習志野基地のPAC−3(米軍再編と関連)
 07年11月に配備開始。08年に2回異動展開訓練。09年3月には「破壊措置命令」で首都圏展開し、PAC-3 を防衛省に運び込んだ。
2.習志野基地の「中央即応集団」(2200名)
 「第一空挺団」(1900名)、「特殊作戦軍」(300名)からなり、後者は秘密部隊であり、誰がその隊員になっているかは分からない。習志野基地からは、06年にイラク派兵、08年に洞爺湖サミットに「護衛」として参加している。これらの部隊は基本的に「ヘリコプター」や「ジェット機」で異動展開している。習志野基地の部隊は海外派兵よりも国内の首都防衛に特化しているのかもしれない。

 2010年は「安保50周年」になる。戦後最大の転換点になるかもしれない。有権者がキチンと物を言っていくことが重要だろう。

……………………………………………………………………………………………

 吉沢さんの講演を聞き、この間いかに「日米軍事同盟」が「自衛隊再編」を含めて進行しつつあるかということを知った。日本社会はいつでも戦争ができる状態になりつつあるということがよく分かった。同時に、現在そうした情勢が普天間基地問題などを機に日々動きつつあることもよく分かった。
 こうした状況下で私たちは何をなすべきか?それが今私たちに鋭く問われている。
 以下の集会へ多くの皆さんの参加を呼びかけます。

『普天間基地はいらない、新基地建設を許さない 1・30全国集会』
 <日 時>  1月30日(土)午後2時〜3時30分(集会後デモ行進あり)
 <場 所>  東京・日比谷野外音楽堂

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今年の目標、ろくたび

T.T.0467(千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」)

 年始めの原稿は楽である。毎年、「今年の目標」を書くのだが、目標を変えるつもりがない。今年6年目も、「50冊・50デモ・50万馬(車)券」でいく──と書いたうえでナンだが、一つだけ新しい目標を付け足す。それは「健康であること」。
 ちょうど1年前の年末年始。「ガザ攻撃」と「派遣村」で明け暮れていた時、イスラエル大使館前の抗議集会にも、何度か参加した──といっても、ぼくの場合、「枯れ木も山の賑わい」的な参加の仕方だが・・・。
 その時、両足に違和感を覚え、痛風で通っているお医者さんに「足が痛いんだけど・・・。痛風とは違う感じなんだけど」と相談し、ある整形外科を紹介してもらって、両足のレントゲンを撮ってもらった。
 整形外科のお医者さん曰(いわ)く、「かかとの骨が少し出っ張ってるみたいだけど、しばらく様子を見ましょう」。
 様子を見ている間に痛みが収ってきたので、整形外科への通院はやめ、「知らんぷり」して迎えた11月末。足の痛みが、突然、やってきた。時はあたかも2年の担任として沖縄へ修学旅行に行く直前。
 何とか沖縄には行くも、ほとんど歩かず、できるだけバスで待機──情けない状況であった。
 修学旅行から帰ってからのおよそ1ヵ月はほとんど歩けず、家からの駅や病院への移動はすべてタクシー、学校と最寄り駅の間は同僚の組合員の送り迎え付きという、どっかの大会社の社長のような生活であった。
 その後「椎間板ヘルニア」と診断され、投薬とストレッチをしながら、取り敢えず歩けるようにはなって、現在1月中旬に至っている。
 ・・・ということで、ぼくにとっては異例なことだが、「健康であること」を今年の目標の一つに加える。
 後は例年通りなので、過去6年の確認をし、今年のさらなる飛躍を心に誓うことにする。

  04年 05年 06年 07年 08年 09年
不明 44 30 15 14
デモ 47 30 41 33 31 23
万馬券 21 29 24 21 29 24

 年間を通じての目標は以上の通りだが、「短期的」な目標も、これだけは書いておきたい。「名護への新基地建設をやめさせること」。もういい加減、アメリカの属国状態からの脱却をはかりましょう!

(10/01/11・何回目かの誕生日の未明に)

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お知らせ

1月18日(月) 13:20〜 08年処分取消訴訟(Yさん) 東京地裁631
1月22日(金) 18:30〜 まきこまれる側の責任として9条を使う 上原公子 豊島区生活産業プラザ(池袋東口)
1月28日(木) 10:00〜 東京都嘱託採用拒否撤回裁判判決 9:30傍聴抽選 東京地裁817
1月28日(木) 15:00〜 東京都「採用拒否」裁判判決 東京高裁103
1月30日(土) 14:00〜 普天間基地はいらない、新基地建設を許さない 1.30全国集会 日比谷野外音楽堂
1月31日(日) 13:00〜 平和創造塾3「朝日訴訟と生存権の意義」 朝日健二 文京区民センター(地下鉄春日)
2月1日(月) 15:00〜 神奈川こころの自由裁判 東京高裁
2月1日(月) 16:00〜 04年処分取消訴訟(都教組八王子支部「支える会」) 東京高裁825
2月6日(土) 13:00〜 とりもどそう憲法が生きる教育を
 子どもたちに平和とゆたかな未来を 東京集会 小森陽一
女子学院講堂(有楽町線麹町3分)
2月6日(土) 18:30〜 都教委包囲ネット総決起集会 斉藤貴男 なかのZERO小ホール(中野南口5分)
2月7日(日) 10:00〜 千葉県自治体学校 千葉市蘇我勤労市民プラザ
2月11日(木) 13:30〜 「建国記念の日」反対2.11集会 日本橋公会堂ホール(半蔵門線水天宮2分)
2月15日(月) 13:10〜 採用拒否撤回裁判・南葛定時制裁判(Kさん)判決 東京地裁606
2月20日(土) 13:30〜 教科書はどう採択されたか
 教科書を教師と子どもたちの手に取りもどそう 俵義文他
豊島区生活産業プラザ7F(池袋東口)
2月22日(月) 13:15〜 東京・小学校「君が代」裁判結審 東京地裁606
2月22日(月) 16:30〜 05年処分取消訴訟(Nさん) 東京地裁631
3月2日(火) 15:00〜 東京「君が代」裁判第1次訴訟 東京高裁101

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