ひのきみ通信 第135号

2007年10月27日



教科書検定意見撤回集会(10.15東京TT)

目次

9.29
 「教科書検定意見撤回を求める沖縄県民大会」
                       に参加して
佐久間美弥子
 (千葉高教組中央執行委員長)
高校「日本史」教科書への検定意見撤回を求める
 意見書をめぐって
 ―船橋市議会文教委員会・本会議報告―
沢田洋二
 (船橋革新懇事務局)
アフガン戦争と新テロ法案について 戸田 玄
岡部伊都子の文章 (T_T)0401(千葉高教組東葛支部
 「ひょうたん島研究会」)
≪立たなければクビッ!?≫
 改悪教育基本法の実働化をとめよう12.22全国集会
 への賛同のお願い
2007年10月
 12・22集会実行委員会
お知らせ

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9.29「教科書検定意見撤回を求める沖縄県民大会」に参加して

佐久間美弥子(千葉高教組中央執行委員長)

 9月29日、沖縄県民の11万人が集まり宜野湾市で開催された「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に参加しました。集会は、11万人が集まっているとは思えない程、静かな深い怒りに満ちたものでした。
 那覇空港到着後、会場に向かうバスに乗ると、大会参加者のバス代は無料になるとのこと。費用はバス会社から出されているそうです。県民大会は、まさに島ぐるみの闘いです。大会前に、近隣の会場で開催された日教組主催の集会に参加し、大浜沖縄県教組委員長と、松田沖縄高教組委員長から、この間の運動の展開について講演を受けました。沖縄の闘いを切り開いてきたのは、明らかに県内各地で数限りない学習会を開催した等の両教組の地道な取り組みでした。
 諸兄里宏美・沖縄県PTA連合会会長の開会挨拶の後、沖縄戦終焉の地糸満市摩文仁からリレーされた「平和の火」が点火され、大会実行委員長の仲里利信・沖縄県議会議長、仲井眞弘多・沖縄県知事、中山勲・教育委員会委員長の挨拶が続きました。仲里実行委員長は挨拶の中で、「文部科学省がシナリオを書き、審議会は公平・中立を装いつつ、シナリオ通りに修正を求めたもので、審議会を隠れ蓑にした文部科学省による自作自演であったとしか思えない」と文部科学省を厳しく糾弾しました。
 その後、様々な立場、年代による発言が続きました。翁長雄志・那覇市長は、「政権が変わることによって、教科書記述が変わることはあってはならない。歴史の真実は変わらない」と、高校生の津嘉山拡大さんと照屋奈津美さんは、「将来高校の歴史教師になりたいと思っているが、歴史の真実を子どもたちに教えられない時代になっていくことを心配しています。たとえ醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えない」と訴えました。今回の検定問題以降、おじい、おばあたちが次々に新たな証言を始めています。戦争体験者の吉川嘉勝・渡嘉敷村教育委員会委員長は、「私は渡嘉敷島の『集団自決』の生き残りです」と今まで語ってこなかった苦しい記憶を証言し始めました。そして最後に「日本兵がいなければ『集団自決』は起こらなかった。日本兵がいない島では起こっていない」と訴えました。座間味村の宮平春子さんの証言を宮里芳和さんが代読しました。当時村の助役であった宮平さんの兄は「集団自決」の軍命を村民に伝えたのです。手塩にかけて育てた我が子に対して、「こんなに大きくなるまで育てたのに、ごめんね」と、自ら手にかけた兄の苦悩を訴えました。女性代表の小渡ハル子・婦人連合会会長は、高齢ながら、はつらつとした声で、「住民を『集団自決』に追い込み、自らは捕虜になって生き残っている。これが軍隊というものだ」と。そして今の政治状況に触れて、「再び戦争への道にすすみそうな危うさを感じるのは、私だけではないと思います」と発言されていました。そして子ども会代表の玉寄哲永さん、青年代表の照屋仁人・青年団協議会会長の発言が続きました。まさしく本土防衛、国体護持のための「捨石」とされた沖縄戦の、その歴史の真実を歪曲しようとする勢力に対する、立場を超えた怒りの声そのものでした。

 西銘生弘・県高等学校PTA連合会会長がアピールを読み上げ、大きな拍手で採択された後、参加者全員が立ち上がり、仲村信正・連合沖縄会長による「頑張ろう」の三唱。会場は大きな感動に包まれました。

 集会後、千葉高教組の旗を持って歩いていると、千葉県からわざわざ来たのですか、と、さまざまな人々から声をかけられました。一緒に写真撮影を求められたり。さらには、那覇西高校の放送部の生徒から取材を受けました。「この集会の開催を何で知りましたか」「高校生が教科書検定に関心を持っていることにどう思いますか」「この集会を千葉県に帰ってどう伝えますか」「今後この教科書検定はどうなると思いますか」等々。千葉県に帰って、あらゆる場面で、今回の集会の様子を伝えます、と回答しました。そして、今後については、今回の集会の成功によって、必ず検定意見を撤回させる情勢になると回答しました。高校生に約束したことの重さを感じています。
 その後、この集会の成功を受けて、文部科学大臣は「沖縄の気持ちに配慮したい」などと言っていることが報道されています。私はこの発言に、いいようのない怒りと憤りと、ヤマトンチューとしての恥ずかしさを感じないではいられません。問われていることは、「沖縄の気持ちへの配慮」ではなく、沖縄戦で「軍官民共生共死」の命令の下、最後の一人まで命をかけて戦うことを強制し、戦後になってからは、こうした歴史の真実を隠蔽して憚らない政府の姿勢なのです。今回の誤った検定意見「沖縄戦の実相について誤解させる表現である」の原案を書いた調査官は明らかになっています。文部科学省は、この調査官の責任を明らかにさせた上で、検定意見を撤回させなければなりません。
 帰りの飛行機の中で、大江健三郎氏の「沖縄ノート」のページを開きました。「沖縄ノート」の中で、「集団自決」の命令を出したことが記述されている元隊長が、自分は命令を出していないとして、大江氏と岩波書店を名誉毀損で訴えています。この裁判が、今回の検定意見の根拠の一つとされています。「沖縄ノート」の中で、「このような日本人ではないところの日本人へと自分をかえることはできないか」と何回も自問自答を繰りかえす著者を、名誉毀損と訴えてしまえる元隊長とは。
 沖縄戦は、日本による植民地支配下で東南アジア諸国の住民虐殺と「従軍慰安婦」と共に、アジア太平洋戦争の本質を現すものです。自由主義史観グループが「皇軍の誇りを取り戻す」ためとして、「集団自決」「南京大虐殺」「従軍慰安婦」の3点を教科書から消そうとしています。まさしくアジア太平洋戦争を歴史から消し去ることの何者でもありません。
 沖縄県民大会で問われたことを、私たち自身の問題として捉え、千葉県から自ら運動を起こすことこそが、高校生と約束した「県民大会を伝える」ことなのだと思い始めています。

アピール

砲弾の豪雨の中へ放り出され
自決せよと強いられ
死んでいったウチンチューの魂は
怒りをもって再びこの島の上を
さまよっている

いまだ砲弾が埋まる沖縄の野山に
拾われない死者の骨が散らばる
泥にまみれて死んだ魂を
正義の戦争のために殉じたと
偽りをいうなかれ

歴史の真実をそのまま
次の世代へ伝えることが
日本を正しく歩ませる
歪められた教科書は
再び戦争と破壊へと向かう

沖縄戦の死者の怒りの声が
聞こえないか
大和の政治家・文科省には届かないか
届かなければ聞こえなければ
生きている私たちが声を一つにして
押し上げ訴えよう

9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員会

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高校「日本史」教科書への検定意見撤回を求める意見書をめぐって
―船橋市議会文教委員会・本会議報告―

沢田洋二(船橋革新懇事務局)

 9月20日、「市民ネットワーク・ふなばし」が船橋市議会に提出した陳情が、文教委員会にて5:4で採択されました。
 採択に賛成は、橋本和子・角田秀穂(公明)、金沢和子(共産)、朝倉幹晴(市民社会ネット)、島田泰三(民主)。反対は大矢敏子・早川文雄(市政会)、渡辺賢次(耀)石渡憲治(新風)の各市議。
 陳情の主旨は、【高校「日本史」の教科書検定で文科省は、沖縄戦での「集団自決」について、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正するように指示した。「集団自決」が「住民が自らの意志で死んだ」とも読める記述になっている。これは事実に反するので、検定意見撤回を求める】というものです。

採択賛成の立場で
・橋本市議―沖縄県民の証言からも、軍の関与がなくしては集団自決は起こりえなかった。歴史の事実は後世にきちんと伝えるべきである。
・金沢市議―沖縄戦で住民は日本軍から手榴弾を渡され自決を強制されたのが事実。日本が起こした侵略戦争を正当化することは再び若者を戦場へ送ることになる。
・朝倉市議―教科書検定制度は事実の間違えや誤字の訂正のみで、内容については筆者を尊重する。事実でないことを高校生に教えることは許せない。
・島田市議―沖縄県議会と全ての市町村議会で検定意見の撤回の意見書が採択されている。沖縄県民の意志を尊重すべき。

不採択の立場で
・石渡市議―「集団自決」が軍の命令なら年金がもらえるのでウソの訴えをした。また、今裁判中なので、採択に反対。(裁判中の一方の意見を根拠にして文科省が検定意見をつけたことを、この市議は知らないのでしょうか!)

********

 文教委員会の採択を受けた後27日の本会議では、意見書は「否決」されました。採択賛成は公明9、共産8、市民社会ネット4、民主3で計24。反対は、保守4会派で25。1票差でした。

千葉県議会に提出された同趣旨の意見書は、継続審査扱いになっています。(編集部)

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アフガン戦争と新テロ法案について

戸田 玄

 「ひのきみ通信」第69号(2001.9.28)で、私は『米での同時多発テロと戦争の危機』と題して次のような事を書いた。(引用が少し長くなるがご容赦を)

 9月11日、アメリカで同時多発テロが起きた。・・・・「テロを根絶するため」アメリカは大規模な戦争に訴えるというのだが、これは、日中戦争やベトナム戦争の時に、ゲリラをかくまったとして、住民を虐殺したり、村全体を焼き払ったりしたことと同じ事ではないだろうか。…
 そもそも、「テロ」を「戦争」でなくすことは決してできない。テロをなくすには、その温床である社会問題を解決しなければならない。…社会問題を解決しない限りは、いくらテロ組織をたたいても、憎しみを掻き立て、さらなるテロを呼び起こす結果となるだけであろう。…
 …アメリカはこれを機会に「中東に親米政権の樹立」を考えているのだろう。だから、タリバーン政権の後はイラクのフセイン政権への攻撃も考えているようだ。アメリカの「長期戦」の中味は、そういうことだろう。しかし、防御する側が「長期戦」を覚悟するのは分かるが、攻撃する方が「長期戦」を言うことは、それは「戦争が泥沼化する」と言っているのに等しい。アフガニスタンの人々に多くの犠牲が出るだけではなく、アメリカ国民も当然大きな犠牲を払わされることになろう。…
 日本政府は、これを機会に、19日、[1]米軍等の報復戦争に自衛隊が後方支援する、[2]在日米軍施設警備を強化する、[3]情報収集のため自衛艦艇を派遣する、などの7項目の対応策を発表、21日には、米空母キティホーク護衛のために海上自衛艦を出航させた。これは明らかな戦争荷担であり、憲法違反の行為である。…
 …戦争は始まるかもしれない。そこで、マキャヴェリの『ローマ史論』には次のような言葉があることも紹介しておこう。
「大勢のものが唯ひとりを相手に戦さを仕掛ける場合には、いつでも極ってひとりのものの方が勝利者となるのは疑いもなく確かなことで、それにはその軍勢が相当に強く最初の一撃に堪えられ、都合のいい潮時を待っていることができればいい。」

 また、「ひのきみ通信」第70号(2001.10.22)には、『米英のアフガン空爆と泥沼化しつつある戦争』と題して次のように書いた。

 アフガン時間10月7日午後9時(日本時間8日午前1時半)ごろ、米英両軍は、アフガン国内のタリバーン政権の軍事拠点などに空爆を開始した。…この空爆についてブッシュ大統領は、「軍事目標に限定している」と言っているが、これまで、NGO施設が爆撃され4人の職員が死亡したのをはじめ、少なくとも300人以上の民間人が犠牲になっているようだ。…
 ブッシュ大統領は、テロ事件発生から一ヶ月後の11日、記者会見をして次のようなことを述べた。「この状態がどのくらい続くのか。アルカイダに処罰を与えるまで続く。それは明日かもしれない。今から一ヶ月後かもしれない。一年、二年後かもしれない。」…しかも、イラクのフセイン大統領についても、「邪悪な人間であることは疑いがない。我々は非常に注視している」と述べ、イラクへの戦線の拡大もありうることを示唆している。…テロと戦争の悪循環、戦争の泥沼化は避けられそうにない。…
 …このようなアメリカの報復戦争に対し、小泉首相はそれを強く支持、今国会で「テロ対策特別措置法案」と「自衛隊改正法案」を通そうとしている。…小泉政権は法案を強行採決し、「後方支援」の名の下に自衛隊を海外に派遣しようとしている。…平和憲法は踏みにじられ、日本国民も戦争の犠牲になろうとしている。
 ところで、ブッシュは攻撃を開始した演説の中で次のようなことも述べている。「この作戦には、我々の信頼できる友邦・英国も参加している。カナダやオーストリア、ドイツ、フランスを始めとする友好国も、これから展開する作戦への派兵を約束してくれている。」…ブッシュは、仲間が多いから安心だと思っているのかもしれないが、目先のことしか考えない彼は、おそらく、次のような歴史の教訓を知らないのだろう。
「ありとあらゆる種類の軍勢のなかで、何よりも一ばん悪いのは助勢の軍兵である」(マキャベリ著『ローマ史論』より)

 あれから、6年が経った。その後アフガニスタンはどうなったであろうか。
 この10月15日、国連のケーニヒス事務総長特別代表(アフガニスタン担当)は安保理公式会合で、自爆テロといった「暴力事件」の発生件数は昨年(2006年)比で約3割増え、今年に入り仕掛け爆弾による攻撃は606件、自爆テロは133件発生し、少なくとも市民1200人が死傷したと指摘した。しかし、NATO軍の空爆などによる市民の死傷者数については触れていない。
 また、10月21日の「毎日新聞」に、2001年にアフガン派兵を決めたドイツ軍についてのルポ(小谷守)が載っている。そこには次のような記述がある。
「アフガニスタンで治安維持にあたる国際治安支援部隊(ISAF)のドイツ軍に同行し、政情不安なアフガン北部に入った。17日にパトロール中の独軍部隊が砲撃を受け、基地には2週間前に撃ち込まれたロケット弾の貫通跡が残る。5月に武装勢力の自爆攻撃で兵士3人を失った記憶は薄れていない。『気がめいる。これが日常だ』。張りつめた空気の中、兵士の一人が力無く語った。」
 アフガン戦争は、まさに「出口の見えない泥沼状態」に陥ったのである。テロは減るどころかますます増えている。そして「泥沼状態」の中で、アフガニスタンでは毎日多くの人々がテロにさらされ米軍やNATO軍の犠牲になっている。大量の難民も発生している。また、そこに派遣されている兵士たちも多数犠牲になっている。
 にもかかわらず、安倍政権に代わった福田政権は、10月17日、アメリカの強い意向を受けて「新テロ対策特別措置法案」を閣議決定し衆議院に提出した。現行のテロ特措法にある国会への事後承認と報告の規定を削除する一方、法案を通しやすくするため活動を給油・給水に限定した。また、当初2年としていた期限を1年とした。しかしいずれにしても、引き続きアフガン戦争に協力するということには変わりはない。自民党執行部は今後の日程について、[1]遅くとも23日に衆院本会議で審議入り、[2]11月初旬をメドに衆院通過、[3]11月10日までの会期を1ヶ月程度延長し、参院で成立を図ると、考えているようだ。
 ところでここに至り、「新テロ法案は憲法違反」として反対していた小沢民主党は「国際治安支援部隊(ISAF)」(2001年12月の国連安保理決議で設置が承認された国際部隊で、その実態は先程見たとおり)への参加という方針を打ち出した。それに対し、石波防衛相は9日の衆院予算委員会で「武力行使を伴うISAF参加は憲法上できない」と批判した。しかし17日夜には、政府高官が「民主党がISAF参加を新テロ対策特措法案に書けというならいつでも書く」と妥協をも示唆しているとのことである。給油にしろISAF参加にしろ、戦争協力という本質は同じだからである。
 そして、どちらも日本社会をアフガン戦争の「出口の見えない泥沼状態」にさらに引きずり込むものに他ならない。税金・諸負担は上がる一方、教育や福祉はどんどん切り捨てられて行くだろう。「そもそも、『テロ』を『戦争』でなくすことは決してできない」のである。
 したがって、私たちは福田政権が出してきた「新テロ法案」にも、小沢民主党が打ち出した「ISAF参加」にも反対しなければならない。日本政府をして、きっぱりとアフガン戦争から手を引かせなければならない。
 そのためには、「背水の陣」と自称する福田政権を大衆的に包囲し、彼らの基本政策に強く反対し、彼らを水の中に追い落とさなければならない。

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岡部伊都子の文章

(T_T)0401(千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」)

 10月3日(水)、『朝日夕刊』の「窓・論説委員室から」で、川名紀美が岡部伊都子について書いている。
 ぼくが岡部の文章を初めて読んだのは、たぶん1980年代の始め、四街道高校で働いていた頃だ。1〜2年ほど『読売』を読んでいたことがあって(『朝日』と併読)、「花のすがた」という随筆が、週1回で掲載されていた。その文には、前田藤四郎の美しい花の版画が付いていて、文章も美しいものだった。
 四街道高校を転出する直前、職場新聞『風花』というのを作っていて、その時も実は一太郎で、ただし縦書きB4判1枚裏表のものだったが、現在『ぶらんこ』(柏南分会の職場新聞)の右上に載せているカットの所で、前田の花のカットを使ったのが、現在まで続くぼくの職場新聞の原型となった。
 ついでにいえば、それはこの『ひのきみ通信』−題字の横に写真が付いている−の原型でもある。
 川名の文の中で、沖縄で戦死した岡部の婚約者の言葉「この戦争はまちがっている。ぼくは天皇陛下のためになんか死にたくない」が紹介されている。この言葉に反発したことを、後悔していることも。
 ぼくは、随筆家ではなく雑文屋なのだけれど、岡部のような美しい文章を書きたいと、これも「ないものねだり」だろうが、希望をもっている。
 以下、川名の本文を紹介する。(07/10/04丑三つ時)

朝日夕刊「窓・論説委員室から/亡き人からの贈り物」(07/10/03)
川名紀美

 「清ら(ちゅら)に生きる」。題名に吸い寄せられて、随筆家、岡部伊都子(いつこ)さんの新刊を買った。130冊を超す著書のそれぞれから芯になる言葉を抜き出し、集めたものだ。
 初めて手にした岡部さんの本は、母の本棚にあった「おむすびの味」。中学生のころだった。日常を見る繊細な感覚に魅せられて、私の本棚にも著作が少しずつ増えていった。だから、のちに取材でお会いしたときは、ほんとうにうれしかった。
 岡部さんの生き方の原点は、婚約者を戦争で失ったことにあるように思う。出征を前に、彼は言った。「この戦争はまちがっている。ぼくは天皇陛下のためになんか死にたくない」。軍国の乙女だった岡部さんは、そんな青年に驚き、反発した。
 愛する人は激戦の沖縄で死んだ。
 結婚、離婚、実家の破産。戦後の暮らしのなかでも、婚約者の言葉は薄れなかった。68年、導かれるように沖縄へ。その旅で、慕いつづけた人の内面を何一つ理解していなかったと思い知らされた。
 沖縄と本土を往復しながら深めた思索は平易な言葉となってあふれ出た。私にとっては指針のような存在だった。
 新刊は病床で紡ぎ出されたという。「せめてわが心に近い伊都子語を書こう」「『安楽死』というやさしい言葉ででも殺されるのはいやだ」(「清らに生きる」)。
 50余年の活動を貫くのは、時流にはなびかないという不服従の精神だ。
 それは亡き婚約者が岡部さんに残した最高の贈り物でもある。

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≪立たなければクビッ!?≫
改悪教育基本法の実働化をとめよう12・22全国集会
への賛同のお願い

2007年10月      
12・22集会実行委員会

 小泉内閣を引き継ぎ「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍政権は、国家主義教育を進めるための「改悪教育基本法案」、「教育三法案」を強行成立させました。また、行財政改革を「規制緩和」「市場原理」に基づいて強行してきました。
 しかし、安倍政権は7月の参院選挙では歴史的な惨敗を喫することになり、それでも居座った安倍首相は、9月初旬、所信表明演説をした2日後政権をほうり出さざるを得ませんでした。
 9月末には、教科書検定(安倍政権下で)に対し、抗議の沖縄県民大会(11万人参加)が開かれ、政府は検定の再検討を迫られるまでになりました。
 しかもこの間、格差問題は大きな社会問題となり、「市場原理」による諸改悪は見直しをせざるを得なくなりつつあります。
 国民に「不信任」を突きつけられ、責任を放棄した首相が成立させた諸法案は、廃案にしてしかるべきです。
 にもかかわらず、「教員免許制」、「学力テスト」、「業績評価」などに見られる改悪教基法の実働化は強引に進められようとしています。
 また、昨年9月、東京地裁で「日の丸・君が代」強制と処分が違憲・違法とされたにも関わらず、東京では依然として「10・23通達」(2003年)は撤回されず強制と処分がまかり通っています。
 このままでは、こどもたちは「愛国心」を強制され、いっそうの差別選別にさらされていくことになります。
 こうした動きを阻止するために、私たちは、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」(2004〜2006)の呼びかけ人であった大内裕和さん(松山大学)、小森陽一さん(東京大学)、高橋哲哉さん(東京大学)、三宅晶子さん(千葉大学)の「呼びかけ」(別紙)に応えて、『立たないとクビッ!?改悪教育基本法の実働化をとめよう!12・22全国集会』を開くことにしました。集会の柱は、

  1. 「愛国心」強制のシンボルである「日の丸・君が代」の強制と処分に反対する
  2. 格差をさらに拡大する改悪教育基本法の実働化(学力テストなど)に反対する

というものです。
 「愛国心」強制や「改悪基本法」の実働化は、教育現場だけにとどまらず日本社会全体を戦争と貧困に導くものです。しかもその動きは現在進行中です。
 是非、多くの教組、労組、市民団体、個人のみなさんに賛同・参加をして頂きたいと思います。

<集会名> 『立たないとクビッ!?改悪教育基本法の実働化をとめよう!12・22全国集会』
<日 時> 2007年12月22日(土)13時〜16時 (12時開場、12時40分〜プレイベント「寿」)
<場 所> 「北とぴあ」(JR王子駅前)・さくらホール
<会場費> 500円
<呼びかけ人> 大内裕和(松山大学)、小森陽一(東京大学)、高橋哲哉(東京大学)、三宅晶子(千葉大学)
<主 催> 「12・22集会実行委員会」
(連絡先)〒160−0008
      東京都新宿区三栄町6小椋ビル401号
      「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会 気付け
                             「12・22集会実行委員会」
      電話 090-6533-0542  FAX 03-3554-0099 
      メール ganba1222syukai@yahoo.co.jp
<賛同金について> 個人1口500円 団体1口2000円(詳しくはチラシをご覧下さい)

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お知らせ

10月1日(月)
 〜31日(水)
7:00
〜23:00
迫川尚子写真展「ETWAS」 BEAR CAFE BERG
 (JR新宿駅東口改札脇)
10月27日(土)
 〜28日(日)
  たんぽぽ舎「地震と核ゴミツアー」 問合・申込Fax:03-3238-9035  
10月27日(土) 13:00〜 日韓の女性と歴史を考える会 尹貞玉 早稲田大学国際会議場3F第3会議室
10月27日(土) 13:30〜 揺れる日本列島 柏崎刈羽から六ヶ所へ 千駄ヶ谷公民館(JR原宿10分)
10月27日(土) 14:00〜 どこまで強まる?外国人管理
 スタインハードさん(米自由人権協会)を招いてのシンポジウム
在日本韓国YMCA9Fホール
 (JR水道橋東口6分)
10月27日(土) 17:30〜 辺野古&高江基地建設を許さない緊急デモ 水谷橋公園集合(地下鉄京橋5分)
10月27日(土) 18:00〜 勤労者自主講座「討論 年金・教育」 豊島勤労福祉会館(池袋メトロポリタン口6分)
10月28日(日) 9:00〜 テロ特措法もPAC3もいらない!!自衛隊観閲式朝霞行動 東武東上線朝霞駅南口広場
10月29日(月) 19:00〜 反貧困ネット講座2「生活保護制度の現在」 早稲田大学法学部8号館309
10月30日(火) 10:00〜 「君が代」強制解雇裁判 9:30抽選 東京高裁101
10月30日(火) 10:30〜 「障がい」があっても普通学級へ 就園・就学相談会 ほっとねっと(京成佐倉3分)
10月31日(水) 10:00〜 もの言える自由裁判 証人尋問 東京地裁710
11月2日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
11月2日(金) 16:30〜 夏淑琴名誉毀損訴訟地裁判決 東京地裁709
11月2日(金) 19:00〜 「慰安婦」問題と国際社会の動き 渡辺美奈 女たちの戦争と平和資料館
11月3日(土) 13:30〜 9条ピースフェスタinヒロシマ 広島国際会議場(平和公園内)
11月3日(土) 14:00〜 「戦争をしない国 日本」上映会 浦安市民プラザ(京葉線新浦安)
11月3日(土) 15:00〜 武力で平和はつくれない!市民集会 集会後銀座パレード 日比谷野外音楽堂
11月4日(日) 12:00〜 全国労働者総決起集会 日比谷野外音楽堂
11月4日(日) 14:00〜 テロ特措法廃止!新法つくるな!! 防衛省抗議行動 市ヶ谷外濠公園(市ヶ谷2分)
11月4日(日) 14:00〜 軍事力によらない安全保障とは! 立川中央公民館
11月5日(月) 18:30〜 「対テロ戦争」・テロ特措法を検証する 池田五律 文京区民センター(地下鉄春日)
11月8日(木) 10:00〜 新任教員免職裁判 大阪高裁83
11月8日(木) 15:30〜 河原井さん08年停職処分裁判 東京地裁710
11月8日(木) 16:00〜 河原井さん&根津さん07年停職処分裁判 東京地裁710
11月8日(木) 16:30〜 都障労組04年処分裁判 東京地裁710
11月9日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
11月10日(土) 13:30〜 「グッバイ・レーニン」上映会 明治大学(御茶ノ水駿河台校舎)
11月10日(土) 14:30〜 私たちは「テロリスト」じゃない
 「反テロ」戦争と新疆ウィグルの人権 ラビア・カーディル
立教大学池袋キャンパス5号館5221
 (池袋10分)
11月10日(土) 18:30〜 逆転無罪を勝ち取るぞ!板橋高校藤田裁判支援集会 グリーンホール701(東武東上線大山)
11月11日(日)
9:30〜



13:30〜
ロシア革命から90年 シンポジウム「明日の世界を求めて」
 1.ロシア革命とグラムシ
 2.レーニンの相対化
 3.ロシア革命から世界社会主義フォーラムへ
 4.ベネズエラ革命の可能性
〈革命と法〉への省察(仮) 報告者:大江泰一郎 コメント:上島武
明治大学(御茶ノ水駿河台校舎)
11月11日(日) 18:00〜 劣化ウラン兵器禁止を求める国際行動デー 文京区民センター(地下鉄春日)
11月15日(木) 18:30〜 本番を迎えた改憲攻防-憲法審査会設置で何が始まる? 日本キリスト教会館(東西線早稲田)
11月15日(木) 19:00〜 「東京大噴火」−阿曽山大噴火さんが語る日本の裁判所 中野ZEROホール(中野南口6分)
11月15日(木) 19:00〜 「慰安婦」教科書記述と記憶を巡る攻防 俵義文 女たちの戦争と平和資料館
11月16日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
11月16日(金) 13:15〜 枚方スミヌリ裁判(教員編)控訴審判決 大阪高裁73
11月16日(金)
 〜25日(日)
  劇団青年座公演「あおげばとうとし」 本多劇場(下北沢南口5分)
11月17日(土) 13:00〜 千葉高教組女性部学習会「学ぼう!改正均等法」 古田典子 千葉県教育会館304
11月17日(土) 13:00〜 市民と国境―脱走米兵『イントレピッドの4人』から40年 日中友好会館大ホール
11月17日(土) 13:00〜 地理教育研究会50周年記念シンポジウム
 地理教育がきりひらく明日
法政大学外濠校舎(飯田橋西口6分)
11月17日(土) 13:30〜 大泉ブラウス裁判終結報告集会 東京芸術劇場大会議室(池袋西口3分)
11月17日(土) 14:00〜 第87回水俣セミナー「私が問い続けた10年」 緒方正実 環境パートナーシップオフィス
 (地下鉄表参道10分)
11月18日(日) 12:00〜 NO NUKES ストップ再処理パーティ パレード14:30〜 日比谷野外音楽堂
11月20日(火) 11:30〜 「白保・サンゴもコウモリも守れ!」訴訟第6回口頭弁論 東京地裁606
11月20日(火) 13:30〜 板橋高校卒業式事件控訴審第2回公判 東京高裁102
11月21日(水) 10:00〜 根津さん多摩中裁判 証人:校長&本人尋問 東京地裁710
11月22日(木) 18:00〜 トークセッション「憲法」を熱く語ろう
 改めて自由と平和を考える 井上ひさし
日本プレスセンターホール
 (地下鉄霞ヶ関5分)
11月23日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
11月23日(金) 13:00〜 政治討論集会「市民自治の可能性」 富野揮一郎 文京区民センター(地下鉄春日)
11月23日(金) 13:30〜 アレクサンドル・リトビエンコ追悼集会 文京シビックセンター4F(地下鉄後楽園5分)
11月23日(金) 14:30〜 天皇制を問い続けることの意味 纐纈厚(山口大学) 広島主城教会
11月23日(金)
 〜27日(火)
  南京事件70周年シンポジウム 問合Fax:03‐5379‐2608 南京大学
11月24日(土)   「オレの心は負けてない」上映会 14:00&18:00 横浜かなっくホール
11月24日(土) 14:30〜 アイヌ文化に触れ、体験する集い 西新井文化センター(東武線西新井5分)
11月28日(水) 19:00〜 沖縄の基地機能強化をとめよう!集会
 発言:山内徳信・安次富浩・山城博冶
全水道会館(水道橋)
11月30日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
11月30日(金) 13:00〜 憲法改悪阻止学習会 小森陽一・坂牛哲郎・小島昌夫 ラポール日教済(地下鉄神楽坂)
11月30日(金) 18:30〜 「JR採用差別」全面解決を迫る 全国大集会 日比谷野外音楽堂
12月1日(土) 13:30〜 「終焉に向かう原子力」5 広瀬隆・田中彦三郎・小出裕章 全水道会館(水道橋)
12月1日(土) 14:00〜 「オレの心は負けてない」上映会 在日韓人歴史資料館セミナー室
12月1日(土) 18:00〜 「六ヶ所ラプソディ」上映会+対談(鎌仲ひとみ監督×広瀬立成) 海老名市市民会館
12月6日(木) 13:30〜 板橋高校卒業式事件控訴審第3回公判 東京高裁102
12月7日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
12月8日(土) 14:00〜 東京地教研例会「鯨と魚を大いに語る」 小松正之 法政大学外濠校舎S205
12月8日(土)
 〜9日(日)
  たんぽぽ舎「もんじゅツアー」 問合・申込Fax:03-3238-9035  
12月22日(土) 13:00〜 立たないとクビッ!!改悪教育基本法の実働化をとめよう全国集会 北トピアさくらホール(JR王子駅前)
12月23日(日)
 〜26日(水)
  東京演劇アンサンブル公演「銀河鉄道の夜」 ブレヒトの芝居小屋(武蔵関北口7分)

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