ひのきみ通信 第134号

2007年9月21日



松代大本営 2007年・夏

目次

安倍泥舟内閣の沈没と政局の流動化 渡部秀清(船橋東高校分会)
戦後62年目の夏、戦争について考えた (T_T)0399(千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」)
編集後記 *ソフィーの愛人*
お知らせ

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安倍泥舟内閣の沈没と政局の流動化

渡部秀清(船橋東高校分会)

 7月29日の参議院選挙で歴史的な惨敗をした安倍政権について、筆者は前号(8月24日付け)で次のように書きました。

「私たちは、これまで国会前での闘い、職場での教職員の意識などを通して、一貫して、国会は民意を反映していない、民意から遊離していると考えてきました。
 今回の惨敗は明らかに、強引な政治手法で暴走する安倍政権に対する民意による強烈な『不信任』以外の何物でもありません。・・・
 しかし、『今回の選挙は民主党の小沢さんと私とどちらが首相としてふさわしいかを選ぶ選挙だ』とまで言っていた安倍首相は、結果が出たにもかかわらず、すぐに続投を表明しました。しかも、中川幹事長や青木参議院会長が辞任するにもかかわらずです。『最高責任者』と称する自分だけは残ろうというのです。見苦しい、恥知らずとしか言いようがありません。
 これによって、安倍政権に対する風当たりは、今後さらに強まるでしょう。・・民意の流れは、・・<安倍政権打倒!>の方向に大きく流れ出したことには変わりはありません。
 その流れに押されて、すでに安倍首相の足元からも地方からも、安倍首相の辞任を求める声が公然と上がっています。そしてこの流れは、安倍首相が首相でいる限り、ますます強まるでしょう。」

 すでに発足当時から、安倍内閣は沈むことが約束された泥舟のようなものでした。
 8月27日、あれだけ政治と金の問題に神経質になり、「身体検査」と言われた調査までして「改造内閣」が船出したにも関わらず、すぐに政治と金の問題が噴出しました。
 組閣一週間後の9月3日には早くも遠藤農水大臣が辞任し、その後も他の閣僚たちの政治資金に対する不祥事が次々と明らかになりました。
 9月9日には、「テロ特措法」延長問題にからみ、安倍首相は「職を賭す」「職責にしがみつくということはない」と述べ、10日の「所信表明演説」では、来年の「洞爺湖サミット」で自分がリーダーシップを果たす、という下りを読み飛ばしてしまいました。
 そして12日、安倍首相の突然の辞任劇により、安倍泥舟内閣はあっけなく沈没してしまいました。
 しかし、これは全く無責任極まることです。「自分に最高の責任がある」「自分は最高責任者」と何度も繰り返し、「職を賭す」とまで言った当の本人が、「所信表明演説」をしたわずか2日後に、全ての責任を自ら放り出してしまったのです。このようなことは決して許されることではありません。
 しかし、このように無責任な人間が、約一年間首相の地位にとどまり、「愛国心」を盛り込んだ「教育基本法改悪法案」を強行採決し、教員免許更新制などを入れた「教育三法」を強行採決し、防衛庁を防衛省に格上げし、改憲手続き法案ともいわれる「国民投票法案」をも強行採決したのです。また、私的な諮問機関である「教育再生会議」なるものを作り、全国「学力テスト」を導入し、集団的自衛権を認めるための私的諮問機関も作ったのです。しかも彼は、驕り高ぶって「ダメ教師はやめて頂く」とまで述べていたのです。しかし驕りは身を滅ぼします。「ダメ首相」となった本人自らが政治生命を絶つような結果になってしまいました。ここまでくればお笑いです。
 喜劇的な安倍泥舟内閣の沈没によって、新内閣ができることになるでしょう。この過程で与党内で多少軋轢が生じるかもしれません。しかし、どんな内閣ができても、総選挙が無い限り、所詮同じアナの狢による内閣です。したがって彼らが乗るのは泥舟以外には考えられません。そうなると、衆議院の解散・総選挙になる可能性が強まります。するとその過程で与野党を巻き込んでの政界再編の動きが生まれるかも知れません。いずれにしろ、政局の流動化は不可避でしょう。
 ところで、こうした事態の背景には、小泉元首相の「構造改革」「規制緩和」「民営化」路線により、少数者には富が多数者には貧困が、共に蓄積するような日本社会になってきたことがあると思います。そのことがこれまでの中間層を基盤とする政治勢力の動揺・衰退を促し、政界再編を不可避なものにしていると考えられます。
 では、私たちは今後どうすればよいでしょうか。筆者は次のように考えます。
 第一には、安倍首相が強引に推し進めた「改悪教育基本法」「教育三法」などの実働化に強く反対していくことです。極めて無責任な辞任をした安倍首相が強行したこれらの法案は、廃案にしても当然です。特に、「愛国心」強要の「日の丸・君が代」強制や「奉仕活動」強制に強く反対していくこと、教育の国家統制につながる「目標申告」や「業績評価」、「免許更新制」に強く反対していくこと、は重要だと思います。
 第二には、貧困に追いやられる多数の人々の立ち場に立ち、貧困と格差拡大反対、戦争反対の教育実践・教育条件闘争を強めることだと思います。すでに、昨年度の県教研で発表されましたが、高校生のアルバイトを調査し、劣悪な労働条件改善などの展望を指し示すような実践をしている仲間もいます。また、いわゆる「教育困難校」とよばれるような学校で、貧困と格差の中で切り捨てられてきた子どもたちと向き合い、彼らの成長を支えるために日々教育実践や教育条件闘争を行っている仲間も沢山います。戦争反対闘争に参加している仲間も沢山います。こうした実践や運動をさらに強化していくことだと思います。
 つまり、私たちがこれまで切り開いてきた原則的な反対闘争や教育実践を、さらに力強く発展させていくことだと思います。

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戦後62年目の夏、戦争について考えた

(T_T)0399(千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」)

 戦後62年目のこの夏、映画やTV・本を通じて、けっこう真面目に、あの戦争について考えた。
 本当はこの雑文、「この夏、一番共感した投書」のようなタイトルで書こうと思ったのだが、残念ながらその投書が見つからない。今、9月12日の午前4時20分。あと30分でこの文章を仕上げて、仕事に出ねばならない。労働者の辛いところである。以下、資料に当たっている時間がないので、固有名詞等、正確でないかもしれないが、勘弁して。
 その「一番共感した投書」の中身は、記憶によれば、「敗戦後、近所を歩いていたら、兵隊さんが車座になって酒を飲んでいた」というものである。他愛ない話だって? ぼくはそうは思わない。ほんの少し前まで、いつ死ぬか分からない状況で生きてきた人たちが、「もう死ななくてもいい」状態になったのだ。酒でも飲みたくなるのは当然だと思う。ぼくは、自分自身も含め、こういう人間が大好きである。
 ぼくは普段TVは見ない。毎日こうやって人差し指1本でキーボードを叩いている人間には、特にドラマについていえば、それを見ているまとまった時間がとれない。
 そのぼくが、この夏、2本のTVドラマを見た。
 一つは、漫画家・水木しげるを描いた「鬼太郎のみた戦争」。戦争中って、下っ端の兵隊さん、やたらと殴られていたんだよね。よく、「今の若者、徴兵がないからだらしなくっていかん。昔の軍隊のようにビシビシ鍛えるべきだ」みたいなことを言う、軍隊経験もない安倍晋三世代のオッチャン(ぼくも同世代)がいるけど、ぼく、痛いの嫌だ。殴られない「戦後レジーム」の方がいい。
 あと、水木たちが戦闘で生き残ったとき、もう「玉砕」って報告しちゃったから、その通り死んでくれないと困る・・・みたいな上官が出てくる。そのくせ自分は「指揮命令しないといけないから」みたいな口実を言って、後ろの方に引っ込んでる。究極的には「天皇制」にまでつながる話だが、こんな連中のために命を捨てたくない。
 二つ目は−と書いて気がついたのだが、TVドラマではなく映画だった。『出口のない海』。たまたまその日、同じ監督の『夕凪の街/桜の国』を観てなかなか良かったので、『出口のない海』も真面目に観てしまった。その中に、主人公たちが大きな体育館のようなみんながいる所で、特攻艇「回天」への志願の有無を、公然と問われる場面がある。
 ああいうのを「志願」と言うのかね? ぼくには「強制」にしか見えない。ああやって「死」を強制するような戦争は、やっぱりぼくは嫌いだ。

(07/09/12)

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編集後記

 安倍ファッショ政権は、参議院選挙で国民の厳しい批判を浴びたうえで、なんとか延命を模索していたものの、ついに崩壊に至った。風向きは変わりつつある。しかし、敵もまた反撃の準備を始めている。ここでどう追撃するのかが、当面の最重要課題となろう。

*ソフィーの愛人*

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お知らせ

9月22日(土) 13:30〜 アンナ・ポリトコフスカヤ追悼集会
 「ロシアの闇とチェチェンの平和を考える」
文京区民センター2A(地下鉄春日)
9月22日(土) 14:00〜 アムネスティ連続セミナー「最貧国といわれた国から」 日本基督教会館4F
9月22日(土)
 〜23日(日)
  たんぽぽ舎「浜岡原発ツアー」 問合・申込Fax:03-3238-9035  
9月23日(日) 13:00〜 政治討論集会「参議院選挙後の政局はどうなる?」 文京区民センター(地下鉄春日)
9月23日(日) 18:30〜 どうなる?どうする?これからの教育 広田照幸 三茶しゃれなあど5Fオリオン
9月24日(月) 13:30〜 今こそ共謀罪を廃案に!「9・24共謀広場」 文京区民センター(地下鉄春日)
9月24日(月) 13:30〜 原発の耐震安全性 代々木区民会館(小田急南新宿7分)
9月24日(月) 13:30〜 「六ヶ所ラプソディ」上映会 南総文化ホール(JR館山13分)
9月25日(火) 11:00〜 田畑先生再雇用拒否真相究明裁判 東京地裁627
9月25日(火) 18:30〜 空からのテロル=重慶爆撃を検証する 前田哲男 かながわ県民センター301
9月26日(水) 10:00〜 特別支援教育を考える学習会
 「わたしたちが望む『普通学級における支援』を考える」佐藤陽一
千葉市民活動センター会議室
 (千葉中央コミュニティセンター1F)
9月27日(木) 13:30〜 東京都嘱託採用拒否裁判 東京地裁710
9月27日(木) 18:30〜 大江・岩波沖縄戦裁判と教科書検定
 報告:小牧薫 ビデオ証言:金城重明
文京区民センター2A(地下鉄春日)
9月28日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
9月28日(金) 18:30〜 東海村臨界事故追悼行動 経済通産省前
9月28日(金) 19:00〜 沖縄・一坪反戦地主会連続学習会2「自衛隊 変容のゆくえ」
 講師:前田哲男
中野区立商工会館3F大会議室
 (中野北口10分)
9月29日(土) 13:30〜 障がいのある子の理解と地域生活支援 朝比奈ミカ 船橋市女性センター
9月29日(土) 14:00〜 「集団自決」検定問題を検証する 石山久男 横浜市技能文化会館802
9月29日(土) 15:00〜 『軍命削除集団自決』検定撤回要求 沖縄県民大会 宜野湾海浜公園
9月29日(土) 18:00〜 米軍再編下の沖縄と「本土」 鳥山淳・太田昌国 文京区民センター2A(地下鉄春日)
9月30日(日) 10:00〜 立川・反戦ビラ入れ裁判 無罪大行進Vol.2 曙1丁目公園集合(JR立川北口5分)
9月30日(日) 13:00〜 日本語を母語としない親と子のための高校進学ガイダンス 千葉大学教育学部2111教室
9月30日(日) 13:00〜
14:00〜
15:00〜
パトリオットミサイルはいらない!第1回市民統一行動 集会
デモ 津田沼駅周辺 
    新京成薬園台駅→自衛隊習志野基地(流れ解散)
津田沼1丁目公園

9月30日(日) 13:15〜 教育問題リレー討論 雨宮処凛 金町地区センター4F(金町3分)
9月30日(日) 13:30〜 東海村臨界事故を忘れない・8周年東京圏集会 全逓会館(JR水道橋西口2分)
9月30日(日) 13:30〜 原発いらない!市民の集い「JOC臨界事故裁判を闘って」大泉実成
                「六ヶ所村の日々」菊川慶子
ドーンセンター視聴覚室
 (大阪京阪&地下鉄天満橋5分)
9月30日(日) 14:00〜 連続セミナー:聞く・知る・学ぶ《韓国・朝鮮人元BC級戦犯問題》4
 映像で考える… 桜井均(元NHKプロデューサー)
韓国中央会館別館(地下鉄麻布十番)
10月2日(火) 13:30〜 板橋高校卒業式事件控訴審第1回公判 東京高裁102
10月4日(木) 13:00〜 東京「君が代」裁判第3回口頭弁論(04処分取消訴訟) 傍聴:抽選 東京地裁103
10月5日(金) 8:45〜 三菱挺身隊訴訟を支援する会 品川駅頭&本社行動 JR品川駅港南口
10月5日(金)   「君が代」解雇させない!都庁前Onedayアクション 歌&リレートーク 東京都庁前
10月5日(金) 18:20〜 コンサート「自由な風の歌」 司会&ピアノ:林光 セシオン杉並(東高円寺6分)
10月5日(金)
 〜14日(日)
  東京演劇アンサンブル公演「母―おふくろ―」 ブレヒトの芝居小屋(武蔵関北口7分)
10月6日(土)
 〜
  「大統領暗殺」上映 シャンテシネ
 (JR有楽町7分:日比谷映画街)
10月6日(土) 13:00〜 難波判決一周年集会 星陵会館(地下鉄永田町6分)
10月6日(土) 13:30〜 どうなる9条改憲?どうする9条実現!
 講師:澤地久枝・鈴木一誌 発言:川田龍平・北原博子
豊島区民センタ6F文化ホール
 (池袋東口7分)
10月8日(月) 13:30〜 ゲバラ没40周年フォーラム 生活産業プラザECOとしま多目的ホール
10月9日(火) 15:30〜 国立二小不当処分撤回裁判 東京高裁817
10月10日(水) 13:15〜 国公法堀越裁判第1回控訴審 東京高裁102
10月11日(木) 14:00〜 増田先生3悪都議糾弾第2回控訴審 東京高裁810
10月13日(土) 14:00〜 死刑廃止・東京集会 江東区総合区民センター公会堂
10月14日(日) 13:00〜 現教研まつど(母親と教師の語る会)例会 ゆうまつど(松戸西口5分)
10月16日(火) 19:00〜 第86回水俣セミナー「風土と人間」 藤原新也 環境パートナーシップオフィス
10月17日(水) 13:15〜 根津さん多摩中裁判 証人:教育長&鶴田敦子さん 東京地裁710
10月20日(土)   「パラダイス・ナウ」千葉上映会 13:40&18:20 千葉市生涯学習センター(千葉8分)
10月27日(土)
 〜28日(日)
  たんぽぽ舎「地震と核ゴミツアー」 問合・申込Fax:03-3238-9035  
10月31日(水) 10:00〜 もの言える自由裁判 証人尋問 東京地裁710
11月4日(日) 12:00〜 全国労働者総決起集会 日比谷野外音楽堂
11月10日(土) 13:30〜 「グッバイ・レーニン」上映会 明治大学(御茶ノ水駿河台校舎)
11月10日(土) 18:30〜 逆転無罪を勝ち取るぞ!板橋高校藤田裁判支援集会 グリーンホール701(東武東上線大山)
11月11日(日)
9:30〜



13:30〜
ロシア革命から90年 シンポジウム「明日の世界を求めて」
 1.ロシア革命とグラムシ
 2.レーニンの相対化
 3.ロシア革命から世界社会主義フォーラムへ
 4.ベネズエラ革命の可能性
〈革命と法〉への省察(仮) 報告者:大江泰一郎 コメント:上島武
明治大学(御茶ノ水駿河台校舎)
11月15日(木) 19:00〜 東京予防訴訟 秋のイベント 中野ZEROホール(中野南口6分)
11月17日(土) 13:30〜 大泉ブラウス裁判終結報告集会 東京芸術劇場大会議室(池袋西口3分)
11月17日(土) 14:00〜 第87回水俣セミナー「私が問い続けた10年」 緒方正実 環境パートナーシップオフィス
 (地下鉄表参道10分)
11月20日(火) 13:30〜 板橋高校卒業式事件控訴審第2回公判 東京高裁102
11月21日(水) 10:00〜 根津さん多摩中裁判 証人:校長&本人尋問 東京地裁710

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