ひのきみ通信 第125号

2006年12月2日



教育基本法の改悪をとめよう!
11.12 全国集会 (日比谷野外音楽堂)

目次

教育基本法改悪法案の衆議院での
 単独強行採決と運動の高まり
渡部秀清(船橋東高校分会)
国会前のT.T. または 越えねばならぬ2つのT T.T.0380
 (千葉高教組東葛支部書記長)
「美しい国」異聞… 近 正美:生浜高校分会
お知らせ

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教育基本法改悪法案の衆議院での単独強行採決と運動の高まり

渡部秀清(船橋東高校分会)

 11月15日17時15分頃、政府・与党は、野党が審議を拒否する中、衆議院特別委員会で教育基本法改悪法案の単独強行採決を行った。これは彼らが追い込まれて取った行動である。
 その約15分前から、国会の議員会館前の道路に集まっていた「リレーハンスト&座り込み」の部隊約300名は、衆議院の議員面会所前に移動し、そこで抗議のシュプレヒコールを繰り返していた。そのシュプレヒコールの最中に、与党による単独採決が強行されたのである。この報が知らされると、議面会所前に集まっていた多くの人々から、大きな怒りの声が上がり、特別委員会の暴挙を糾弾するシュプレヒコールがなされた。その後、ハンスト現場に戻り、簡単な「総括集会」、否、「新たな総決起集会」をやった。そこで表明されたのは、この強行採決に対する怒りの大きさと、今後の反対運動発展に向けての確固とした決意だった。その後、『教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会』の「国会前集会」(1000名)が開かれたが、皆、怒りに震える声で強行採決に対する怒りを語り、今後の反対運動の強化拡大を訴えた。発言者は以下の通り。〈社民党の福島党首〉、〈石井共産党議員〉、〈全国連絡会の小森さん〉、〈北教組〉、〈横浜市立大の教員〉、〈愛知からの参加者〉、<東京学芸大の教員〉、〈広島からの参加者〉、〈ハンスト者〉〈日野市民〉、〈東京教組〉、〈千葉高教組組合員〉、〈被処分者〉、〈ワールドピースナウ〉など。
 今回の強行採決は、この間の闘いで、また「いじめ」「未履修」「やらせ」「買収」などで、追い詰められた政府・与党が、「強行採決はしない」と言っていたにもかかわらず、嘘をついて、「理不尽極まりない、全く非教育的な強行採決」をしたものである。
 翌11月16日、衆議院本会議で、野党が審議をボイコットする中、与党はまたも単独で教育基本法改悪法案を強行採決した。追い詰められた彼らは、時間的にも精神的にも、余裕がなくなってきているのである。
 それに反して、この間の運動の積み重ねと発展は誰にも否定することはできない。それが、彼らを追い詰めてきたのである。16日夕方、「ヒューマンチェーン」(人間の鎖)には5,000人が結集した。その後の全国連絡会の「国会前集会」にも多くの人々が残り、首相官邸前へ移動してのシュプレヒコールには前日の倍の2000人が参加した。翌17日にも、国会前は「ハンスト」、「座り込み」、「デモ」でごった返した。
 参議院に移ってからも、改悪反対運動は盛り上がりつつある。11月25日には、日教組系の集会が日比谷公会堂であったが、2,000人予定の集会に3,200人が結集した。また、同日札幌で開かれた集会にはなんと10,000人が結集した。さらに12月の会期末にかけて、東京では、東京教組の「座り込み」(11/29〜)、「リレーハンスト&座り込み」(11/30〜)、全国連絡会の「国会前集会」(12/5,12)と「座り込み」(12/6,7,8)、「第三弾ヒューマンチェーン」(12/6)、全教系の「全国集会」(11/29,12/7)、日教組系の「全国集会」(12/8)などが連日計画されている。全国各地でも駅頭ビラまきや集会が無数に計画されている。
 教基法改悪反対運動は、国民を馬鹿にした単独強行採決によって逆に盛り上がりつつある。

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国会前のT.T. または 越えねばならぬ2つのT

T.T.0380(千葉高教組東葛支部書記長)

 教育基本法の改悪をとめるため、国会前に行く。何か喋れと言われたりする。断る理由もないので口から出任せを言う。出任せだから、何を話したか、正確に覚えてはいない。
 10月23日(月)、第3回テスト(2期制なのでこう呼ぶ)なので、年休を取って、朝からリレー・偽ラマダンハンストをしに、衆議院議員会館前へ向かう。
 現地に着くと、「ハンスト宣言」を書けという。少し考えて、以下の「宣言」をメモ用紙に書き、ハンストのサポーターに渡す。

【オイラのハンスト・プチ宣言】
 オイラが小さい頃、渡哲也が「東京流れ者」の中で、次のように唄った。
 「曲がりくねった道だって、こうと決めたらまっすぐに。嘘とお世辞のご時世に、いてもいいだろこんな奴。あ〜東京流れ者」
 「チャンチャン安倍晋教育クーデター政権」は、教育基本法改悪で人間の心の自由を奪おうとしている。そんなご時世だとしても、オイラは、自分の思っている道を、まっすぐに進んでいく。
 (奇しくも3年前のこの日、「10・23通達」が出された。3年後の今日、通達の誕生日を命日に変えることをプチ宣言する。)

(リレーハンスト情報:06/10/24)

 「東京流れ者」については、しっかりと唄わせてもらった。実は、もう1曲、持ち歌があるのだが、まだ唄うチャンスに恵まれていない。

 次は11月15日(水)、教基法特別委員会で強行採決された日の夜、国会前で行なわれた「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の国会前集会に参加。発言を求められたので、以下のような発言をした−らしい。「らしい」というのは、冒頭に書いたように、喋ったことなど覚えていないからだ。

 「ひょうたん島研究会」のT.T.です。11月12日の全国集会に、千葉高教組から130人が参加しました。
 足立区では、学力テストの点数で、学校予算に差をつけると言っています。これは、学校に差別を持ち込むことです。
 学校は差別を教えるところではなく、仲間とともに一緒に学び、生活し、仲間を信頼していく心を育てていくところのはずです。
 今、この国は、差別と戦争と人を殺すことが平気な国になっている。末期症状です。子どもたちを自殺に追い込む、こんな国でいいのでしょうか?
 「私たち教職員が、当事者として、教育基本法の改悪を絶対に阻止しよう」と、職場で呼びかけています。
 絶対にとめることはできます。一緒に頑張りましょう!

(全国労組交流センター「国会闘争速報」:06/11/16・一部訂正加筆)

 ウン、なかなかいいことを言っているな。・・・でも、やっぱりハイ・テンションだな。今度喋る時は、ぼくの持ち味であるオチャラケ路線に戻ろう。

 今、11月27日(月)朝4時半、この原稿を書きながら、教基法闘争にどうやって勝とうかと考えている。だが、個人的なことだが、そのために2つのTを越えねばならない。
 1つめのTはTest。12/1〜6に第4回テストがある。ぼくはいつテスト問題を作れるんだろう?
 2つめのTはTravel。12/9〜12/12はオキナワ修学旅行。何の準備もしていない。着の身着のまま、現地に行ってすべて調達するか?
 『ひのきみ通信』の読者の皆さんにお願い。そんなことで、修学旅行の間、少なくとも国会闘争からは、ぼくは離脱する。その間に国会を突破されることのないよう、連帯を崩さず頑張ってください。
 そうしたら、沖縄から帰ってから、ぼくも国会闘争に復帰します。13・14日は代休。誰に遠慮もなく行動できます。その時は、2日とも、国会前リレーハンストに参加すると、「プチ宣言」しておきます。

(06/11/27未明)

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「美しい国」異聞…

近 正美:生浜高校分会

 3年生の現代社会の授業の授業で「遠い夜明け」(1987年・アメリカ・監督:リチャード・アッテンボロー、出演:デンゼル・ワシントン)を見せた。人権学習の最後として、差別され権利保障もない黒人たちがいかに闘ったかを描いた映画だからだ。
185分という長尺映画なので、前半のスティーブ・ビコ(デンゼル・ワシントン)が身柄を拘束され、拷問の結果命を奪われ、葬儀の場面でコシシケリ・アフリカを歌う場面までを生徒と一緒に見た。
 途中、驚くセリフをサッカー場の「違法・集会」でビコが発言する。「我々は、自らの歴史と伝統を学び、美しい祖国に誇りをもとう!」と訴えるのだ。
 「エッ!これって、安倍晋三首相の『美しい国』と同じじゃないか?安倍ってビコをパクッたのか?」とわたしは一瞬、気が動転してしまった。今まで、何回か見ている場面なのに、また、このような「意識」、つまり、自らのプライドを取り戻すことが差別と闘う基本にあると考えていたのに、このセリフそのものは記憶に残っていなかったのだ。
 ビデオの後「今の映画の中で、主人公のビコが、安倍首相と同じことを言っていたのに気がついたかな?」と生徒に言っても、生徒たちは「?」状態ではあった。自分でも、その時に、この言葉をどう捉えていいのか、とっさには考えがまとまらなかった。
 次の時間の最初に、もう一度「美しい国」の話しをした。「ビコが言う『美しい国』と、安倍首相が言う『美しい国』とでは、意味がまったく逆転している。無・権利で差別と闘うビコが『美しい国』『歴史と伝統を取り戻そう!』と差別されている人々に語りかけるのと、安倍首相が一国の首相として国民に『命じる』とのでは、その言葉の意味するところは180度違うのだ…」と思わずアジ演説になってしまった。
 小泉首相以来、日本の政治家の言葉に重みがない。
 「美しい国」と言葉を唱えれば、それでよしという不誠実な言葉が氾濫している。郵政民営化反対の国会議員の記者会見を見ても、とても政治家としての誠意を感じられないし、自民党に復党する議員への安倍首相の「ともに美しい国をつくりあげていきましょう…」には本当にシラケてしまう。この言葉の意味(フィニシエとフィニシアンの乖離)のなさ、つまり「考え」のなさこそ、今の日本の最大の危機だと思う。
 と、思いながらこの原稿を打っていたら、TVのコマーシャルで「何も考えなくてもいいんです!」とCMタレントが叫んでいる。エッと思ってみてみると、「洗剤」のコマーシャルであった。「何も考えない」が売りになる時代。何も考えなくてもいいから、この洗剤を買え!というCMは今の時代を鋭く反映しているのだろう。
 「何も考えなくていいから、○○に投票しろ!」「何も考えなくていいから、国のいうことを聞け!」「何も考えずに、授業をヤレ!」「何も考えない、国民をつくれ!」という時代にすでに突入している。

この国の夜明けは遠い。

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お知らせ

11月27日(月)
-12月3日(日)
10:00
〜21:30
広河隆一写真展「チェルノブイリ 20年の刻印」 東京芸術劇場地下
11月27日(月)
-12月3日(日)
11:00
〜18:30
平沢貞通「獄窓の花」展 アートギャラリー道玄坂(渋谷3分)
12月1日(金)
 〜7日(木)
  松井やより・全仕事展 神戸学生青年センター
12月2日(土) 13:30〜 終焉に向かう原子力 広瀬隆・田中三彦・小出裕章・藤田祐幸 渋谷勤労福祉会館2F(渋谷8分・パルコ前)
12月2日(土) 16:30〜 Youth Talk about Japan「いのち〜生きることを考える〜」
 阿部知子他
東京中央日本語学院(JR代々木3分)
12月3日(日) 13:00〜 寺脇研氏かつしか講演会「ゆとり教育は、どこへ行く?」 金町地区センター(JR金町北口)
12月3日(日) 13:30〜 FAW討論会「ヨーロッパの東方拡大・社会主義の再考」
 羽場久美子
文京区民センター(地下鉄春日)
12月4日(月) 10:00〜 もんじゅ・西村裁判 東京地裁713
12月4日(月) 16:00〜 増田さん対都教委個人情報漏洩控訴審 東京高裁818
12月5日(火) 18:00〜 教育基本法改悪反対!国会前集会 衆議院第2議員会館前
12月6日(水) 16:00〜 教育基本法改悪反対ヒューマンチェーン 参議院議員面会所集合
12月7日(木) 18:30〜 教育基本法改悪法案の強行を許すな中央決起集会 日比谷野外音楽堂
12月7日(木) 18:30〜 辺見庸・緊急講演「個体と状況について〜改憲と安倍政権〜」 明治大学アカデミーコモン・ホール(御茶ノ水)
12月7日(木) 18:30〜 「学校の民営化」をSTOP!集会 かながわ県民センター(横浜駅西口5分)
12月7日(木) 19:00〜 役者流スタンダップ・コメディ決定版 星陵会館ホール(地下鉄永田町5分)
12月8日(金) 18:00〜 教育基本法改悪阻止・日教組緊急集会 日比谷野外音楽堂
12月9日(土)   「にがい涙の大地から」上映会 14:00&17:00〜 国分寺労政会館
12月10日(日) 10:00〜 米軍再編 首都圏基地ツアー2 東京・埼玉コース
 (練馬基地・入間基地・米軍横田基地など)
 参加費3000円 申込:Fax03-3423-0185
東武東上線和光市南口集合
12月10日(日) 13:00〜 子どもの人権を考えるシンポジウム 成田市中央公民館講堂
12月10日(日) 13:30〜 ストップ石原都政の教育破壊 ラポール日教済(東西線神楽坂西口7分)
12月10日(日) 13:30〜 昭和天皇記念館開館1年・さあ廃館へ!立川集会・デモ 立川中央公民館
12月10日(日) 13:30〜 「予防訴訟」判決 南多摩ブロック学習会 府中片町文化センター講堂(分倍河原5分)
12月12日(火) 16:00〜 田畑先生の再雇用拒否の真相究明裁判 東京地裁627
12月12日(火) 18:30〜 「お世継ぎってな〜に?」大橋由香子 かながわ県民センター711(横浜駅西口5分)
12月14日(木) 10:00〜 根津さん・河原井さん停職処分を取り消せ!裁判 東京地裁710
12月16日(土) 13:00〜 母親と教師の語る会「母親の悩みを考える」 ふれあい22(新京成五香8分)
12月16日(土) 13:30〜 10代、20代と語ろう・マジ激論 村上俊雄(元高校教員) 労働会館東館2F(名古屋:金山総合8分)
12月16日(土) 14:00〜 戦争は教室から始まる
 「学校の戦前戦後、断絶と連続」北村小夜
横浜開港記念会館6号室(関内8分)
12月16日(土) 14:00〜 「うずみ火」集い&忘年会 ドーンセンター大会議室(京阪天満橋5分)
12月16日(土) 18:00〜 南京大虐殺から69年 横浜証言集会 神奈川県民サポートセンター(横浜駅西口5分)
12月17日(日) 10:00〜 レイバー・フェスタ「労働」を観よう・聴こう・話そう 東京ウィメンズプラザ(地下鉄表参道7分)
12月17日(日) 12:00〜 立川・反戦ビラ弾圧 街頭無罪署名集め JR荻窪東口
12月17日(日) 13:30〜 南京大虐殺から69年 東京証言集会 カメリアプラザ(亀戸北口)
12月18日(月) 13:00〜 増田さん不当解雇撤回裁判 東京地裁722
12月20日(水) 13:30〜 安田弁護士裁判 東京高裁102
12月21日(木)
 〜24日(日)
  TheNewspaper公演「2007年問題がやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!」
 21日19:00、22日15:00&19:00、23日14:00&18:00、24日14:00
草月ホール(地下鉄青山一丁目)
12月23日(土) 13:30〜 新たなファシズムか?安倍政権下のナショナリズム 渋谷区勤労福祉会館(渋谷8分・パルコ前)
12月23日(土) 16:30〜 Youth Talk about Japan「国家とは?」
 佐藤優・安田好弘・保坂展人
東京中央日本語学院(JR代々木3分)
12月23日(土)
 〜26日(火)
  東京演劇アンサンブル公演「銀河鉄道の夜」
 23・24・25日19:00〜 24・26日14:00〜
 
12月26日(火) 15:30〜
16:00〜
大泉ブラウス裁判 高裁判決
報告集会
東京高裁809
弁護士会館
12月27日(水) 13:30〜 「君が代」強制解雇裁判最終弁論 東京地裁103
12月27日(水) 18:30〜 六ヶ所再処理工場いらない・市民行動 経済産業省別館前
1月20日(土) 13:30〜 日米グローバル安保のいま 水嶋朝穂(早稲田大学教授) 労働会館東館2Fホール(名古屋:金山総合8分)
1月24日(水) 13:30〜 重慶大爆撃裁判第2回口頭弁論 東京地裁103
1月31日(水) 13:10〜 「君が代」強制不採用撤回裁判 東京地裁722
1月27日(土) 14:00〜 戦争は教室から始まる
 「『音楽』歌い継がれる戦争の歌」北村小夜
かながわ県民センター1501(横浜西口5分)
2月3日(土) 13:00〜 教育基本法改悪反対!集会 日比谷公会堂
2月3日(土) 18:00〜 都教委包囲ネット・首都圏ネット「入学式」決起集会 日本教育会館(地下鉄神保町3分)
2月10日(土) 18:00〜 学校に自由の風を!集会 なかのzeroホール(中野南口6分)
2月17日(土) 13:30〜 連続憲法講座「なぜ国民が政治の主人公になれないのか?」
 本秀紀(名古屋大学)
労働会館東館2Fホール(名古屋:金山総合8分)
2月17日(土) 14:00〜 憲法・教育基本法改悪に反対する千葉県民集会 千葉県労働者福祉センター(千葉市役所前)
3月1日(木) 13:30〜 「君が代」強制不採用撤回裁判 東京地裁710
3月3日(土) 13:30〜 連続憲法講座「どうなる憲法・どうする憲法」小林武(愛知大学) 労働会館東館2Fホール(名古屋:金山総合8分)
3月14日(水) 13:30〜 重慶大爆撃裁判第3回口頭弁論 東京地裁103
3月15日(木) 11:00〜 再発防止研修取消裁判 最終弁論 10:30集合 東京地裁103

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