ひのきみ通信 第121号

2006年7月1日



6.9集会きくちゆみさん講演(船橋市)

目次

教育基本法改悪阻止
 臨時国会に向けて広範な世論形成を!
佐久間美弥子
 (千葉高教組中央執行委員長)
それにしても石原都知事という人は… 近正美(生浜高校分会)
I高校分会ニュース 06.3.16 より
 『君が代』とは何か?強制されて良いのか?
 もう一度考えてみて下さい
I高校分会 I.I.
「教育基本法改悪法案を廃案に!
 5.6月連続行動」を終えるにあたって
 半分勝利宣言
千高教組東葛支部
 「ひょうたん島研究会」
 ((T_T)0364)
お知らせ

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教育基本法改悪阻止

臨時国会に向けて広範な世論形成を!

佐久間美弥子(千葉高教組中央執行委員長)

 通常国会が6月18日に閉会しました。私たちは教育基本法改悪法案の今国会での成立を阻止することができました。
 この間県内では法案の成立を許さないために、多様な取り組みが展開されました。教育基本法の価値、法案の問題性を家族で語りあったこと等のささやかな取り組みから、隣人と語り合ったこと、職場の中で語り合ったこと、或いは、職場学習会の取り組み。成東分会では、教育基本法「改正」反対派の未組合員も含めて学習会を開催し、このことが基になって高教組主催の県民集会には分会員14名のうち5割にあたる7名が参加し、集会の成功に大いに寄与しました。各支部の学習会、集会、或いは街頭宣伝行動、チラシ配布、新聞折り込み、署名行動、議員申し入れ行動、さらには、地域内の労組、民主団体、議員PTAに署名を要請した夷隅支部、これまで交流のなかった地域の労組に働きかけ、共に実行委員会を結成して集会に取り組んだ山武支部のとりくみ。市長選で憲法・教育基本法も選挙の争点にするべく公開質問状を出して取り組み、憲法・教育基本法改悪に反対する回答をした候補が勝利した香取支部。また、日教組のキャラバン行動と連携した市川、船橋、千葉南北、市原支部による県内キャラバン行動、千葉公園での県民集会。本当に多様な取り組みが全県的に実践されてきました。さらに、6月22日に開催された日教組中央委員会においても、各県の取り組みが多数報告されました。まさに組合員一人ひとりの自覚的な取り組みが、全県的につながり、さらに全国的な運動と連帯して、今国会での政府案の成立を阻止することにつながったことを、私たちは確認しあいたいと思います。
 街頭宣伝行動を行い、市民と語り合う中で、市民の意識の中に、教育をめぐる困難な状況、子どもたちを苦しめている要因の中に、教職員も含んで捉えられていることを知り、ショックを受けました。まさに、市民にとっては、教職員も教育行政も政府も一体なのです。しかし、市民から訴えられているそれぞれのことに対して、果たして私たち教職員にそれらを解決する裁量権がどこまであるというのでしょうか。今、私たち教職員への管理強化はすすみ、がんじがらめにされている上、長時間過密労働に追い込まれ、目の前の生徒一人ひとりの声に応える余裕もなくされているのではないでしょうか。政府・教育行政は、教育基本法に定められている教育条件の整備を怠り、自ら守っていない法を、自らに都合のよく変えようとしているのが現実です。今、県内の高校では、保護者負担による冷房機の設置が増えてきています。県教委はPTA負担の設置ならば認めるという姿勢を示したことによって、今後も高校への冷房機設置が急増しそうな勢いです。しかし、それでも最後まで設置されない高校が必ずあるでしょう。こうした学校に授業料未納者が集中するであろうことは明からです。そして今年度、県教委は授業料未納者に対して退学措置をとるとした方針を示しました。公立高校にさえ格差の拡大が生まれつつあります。冷房機を設置して教育環境を整備することも、後期中等教育の無償化も政府・行政がするべきことです。これらを放置して、教育内容に介入し、教員管理を強めているのが教育現場の実態です。
 教職員と教育行政と政府・政治の役割をきちんと分けて捉えること、そしてそれをきちんと市民・県民に伝えることが必要です。
 言うまでもなく、教育基本法は、戦前の教育勅語に基づく教育が、国民を侵略戦争に駆り立てたことへの反省に立って制定されたものです。戦後、教育を受けることは私たちの権利になりました。そしてこの権利の保障を、明確に国家に課したのが、教育基本法です。しかし今回の法案は、この関係を再び逆転させ、国家、時の政府が国民にとって必要な「資質」を定め、それを国民に課そうとしています。時の政府の施策を生徒・国民に一方的に注入することを求めています。こうした法律案の構造は、政府案、民主党案、いずれも同じです。国の暴走を阻むためにあった教育基本法を、国が国民を縛る為の法律にしようとしているのです。さらにこうした構造は、「権力に歯止めをかける。権力を縛る」立憲主義に基づく今の日本国憲法を、逆に国民を縛るためのものに変えようとしている憲法改悪の方向性と一体のものです。
 法案は継続審議になりました。臨時国会に向けて、一層広範な世論形成にむけて取り組みを強化する必要があります。私たちが国会を包囲する世論を作ることで、私たちが国会審議を動かしましょう。

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それにしても石原都知事という人は…

近 正美(生浜高校分会)

 東京都教育委員会のHPをなんの気なしに覗いていると、フト「教育庁報」(2006年5月8日発行)というのが目に留まった。すかさずクリックすると「石原知事のお話」という写真つきのページが目に飛び込んできた。一体何を語っているのかと思ったら、下のような話。

 石原知事は、「最近多発している痛ましい出来事は、狭い意味での教育の所産だけではない。子どものしつけや教育の責任者は、私は親だと思う。私たちが預かっている子どもだけでなく、親の世代にも我慢のできない人が非常に増えてきた。動物行動学者のコンラッド・ローレンツは、『子どものころにある種の肉体的な苦痛を味わったことのない人間は、大人になって非常に不幸な存在になる』と言っている。子どものときに味わうべき苦痛というのは、ものを我慢するという習慣である。大脳生理学的に脳幹論というものがある。脳幹とは、人間としての情緒・感性というものの発露の根源になるという働きをするものであるが、子どもたちは、津波のように押し寄せる情報の氾濫にさらされ、その情報の整理・吸収のために大脳ばかりが大きくなり、脳幹がやせ細る。例えて言えば、ある年いつになく実を多くつけたりんごの木が、台風が来たときに、なりすぎた実の重みに耐えかねて幹が折れ、木そのものが失われるようなものだ。脳幹を鍛え直すためには、子どもたちに我慢をさせるという習慣を身に付けさせなければいけない。」と述べ、さらに「今、小学校の英語教育というものが盛んに言われているが、語学の勉強について言えば、私は子どもたちの日本語の力をもっと高める勉強をさせ、本を読ませる習慣を付けさせることが重要と考える。最近ではインターネットや携帯で文字を打ち込んでコミュニケートすることが文字というものを再認識させてきた。教育をとりまく状況は常に変化しているが、東京都教育委員会は、優秀な委員を迎え積極的に様々な施策を行っている。皆さんは、それぞれの学校の最高責任者として、職責を果たしていただきたい。」と話されました。

 「ローレンツ」だの、「脳幹」だのともっともらしい話しをしているが、最近の心理学や脳科学ではすでに乗り越えられてしまった話しをやっている。と思って、WEBで当たってみたら、1998年の産経に都知事自らが、こんなことを書いていた。

■脳幹トレー二ングをこそ 1998年3月29日:産経新聞:朝刊:石原慎太郎
 徳目の教えだの心の教育だの昨今しきりにいわれている教育への反省の背後には、昨年神戸で起こった少年によるいまわしい殺人犯罪からその後類発して いる少年たちによる凶悪犯罪という社会現象が在るが、こうしたすぐに「切れてしまう」少年たちを眺めると今さらに、かつて戸塚ヨットスクールで戸塚宏氏が立証した現代に必要な教育原理がいかに正しかったかがわかる。
 昭和四十年代からすでに顕著になってきていた、登校拒否とか家庭内暴力のいわゆる情緒障害児の根治に戸塚氏が著しい効果を上げていた論拠は、ただ言葉だけの心の教育ではなしに、心を健全に形成するために不可欠な肉体の部分、すなわち脳幹の錬磨であった。
 人間は大脳や小脳を多少傷つけられてもなんとか生存は可能だが、脳幹という致命的な肉体の部分にわずかでも損傷を負うと生きていることが出来ない。
 脳幹には人間が人間として、いやいかなる動物も動物として生きて行くために不可欠なさまざまな働きを司る機能が備えられてい、生きるための基本的な衝動、恐怖とか歓喜、満足感、怒り、優しさ、忍耐といったやがては精神形成に繋がる、心の根源的な働きを培いコントロールする機能が収められている。
 そしてこの脳幹はだらけた生活様式の中では他の肉体部分と同様に不用性萎縮を起こしてしまう。
 だらけた、というのは食欲を含めたすべての欲望が労せずしてかなえられる、というだけではなしに、心をさまざまに刺激する情報の一方的かつ過大な供給も含まれている。だから大脳がかかえこむ情報が過大で、かつそれを支える脳幹が卑弱だと、実のなりすぎた果樹のように幹がもたずに木そのものが折れて倒れてしまう。
●他者との相克で培う耐性
 脳幹の大切な機能の一つは、他者と触れ合い相克もする社会という場で、争い、傷つきながら耐える、あるいは競い合いながら懸命に努め、成功して満足 する、あるいは破れても耐え、耐えることで目に見えぬ力を蓄え逞しく成長するといった耐性(こらえ性)を培うということである。
 耐性の弱い人間は、ちょうど丈の低い防波堤のようなもので、海が時化(しけ)て波だってくると打ちこむ波が簡単に防波堤を越え、もやってある船のロープを切って船を破損させるように、人間本体を容易に損い沈めさえしてしまう。戸塚氏が行って多大な成果を上げていたスクールの方法論とは、転覆しやすい小型ヨットに惰緒に障害をきたしている、つまり脳幹が卑弱化した子供たちを乗せて、きわどいセイリングの末の転覆、それを引き起こしての再生帆走という作業の反復によって彼等の耐性を鍛えて向上させるということで瞠目すべき成果を上げていた。近くの警察が家庭や警祭が手に負えぬ子供について、親に建言してそうした子供たちをスクールに送りこんでいたほどだった。
 戸塚氏の方法論の正しさについては現代科学も証明していて、信州大学の大木教授の解明では、人間の「憤」と「意思」は脳幹部分が分泌するホルモン小型蛋白質の総量として造出されるという。
 ということをもってすれば、昨今社会問題化している少年たちのナイフの携帯も、本来子供に人間としての耐性を鍛え与える役目の父親たちの、今や母親 が支配する家庭での失権と、母親たちのいたずらな溺愛と、しつけ教育に関しての他力本願といった今日的状況がもたらした、耐性という防披堤の欠如を 自己防衛するための彼等なりの、哀れとさえいえる手立てにすぎない。
●保護者世代の無責任
 少年たちの現代的状況について私たちは決して彼等の風俗だけを見て計ったり、咎めたりしてはならないと思う。たとえば私はオリンピック選手にしろサッカーの日本代表にせよ、茶髪や染め眉やピアスを生理的に好みはしないが、それはただ風俗の問題であって彼等の競技に実は本質関わりはない。
 彼等が刻苦してメダルを取り、他を凌いで国の代表となって活躍するまでに、身にまとうたものとは関わりなく、彼等はそれまでの過程で見事に、選手として人間として己の耐性を築き上げてきているのだ。他にまさって強い脳幹を持たぬ者にどうして、競技における、あるいは社会での競争における勝利があり得るだろうか。
 動物行動学者のローレンツの、「苦痛を味わうことのない子供は将来人間的に不幸になる」という言葉が明かすように、脳幹が表象し象徴するものは、ストイシズムのみがもたらす最も人間的、人生的な愉楽である。それを味わうことなしに、生きるということの妙味などありはしまい。
 欠乏の楽しさ、獲得をかなえられずに耐えるということの甘美な貴さは、現代に氾濫する性風俗と、かつて若い特攻隊員が思慕する人に宛てた遺書とを比べれば如実に顕らかだろう。現代の子供たちがそれを与えられることなしにいることは、我々保護者たる世代の無責任であり、実は彼等への背信でしかない。

 「殺人者」戸塚をちょうちんした記事の焼き直しを「石原知事のお話」として「広報」する都教委というのも、レベルが知れる。「文学者」を騙る石原知事は「作家」としてのモラルすら持ち合わせていないようだ。まさに、税金の無駄遣い、他の自治体のこととはいえ、イヤハヤ、である。

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I高校分会ニュース 06.3.16 より

『君が代』とは何か? 強制されて良いのか?
もう一度考えてみて下さい

I高校分会 I.I.

※経過説明 04年度入学式(1年担任)で『国歌斉唱』時に不起立し、県内では十年振りの文書訓告。2年後(2年担任)3月の新年度校内分掌決定作業の中で校長から「3年担任を希望するなら来年の卒業式で起立するか」と問われる。結局、担任を降ろされ(1学年副担)、分掌発表日(3/16)にこの「分会ニュース」を配布し、抗議の発言。

 私は『君が代』で担任を降ろされました。「踏み絵」を踏めなかったのです。先週末からの来年度学年団編成作業の中で、教頭・校長からこう問われました。「I先生は持ち上がりの3年担任を希望しているが、3年の担任は卒業式を控えることになる。来年の卒業式の『国歌斉唱』で起立できるかどうか、確認したい」。校長は「総合的な判断材料の一つを確認するだけ」とぼかしてますが、3年担任になれたかどうかは、明白に『君が代』での起立・不起立にかかっていました。私は「立ちます」とは答えなかったのです。   私は強く持ち上がりの3年担任を希望してました。生徒に愛着もあったし、入学式から今まで共に過ごし、仕上げの一年間も担任として卒業させたいと思っていました。「立つ」と答えさえすれば担任になれるというのは、相当な誘惑でした。では、なぜ、担任のポストをフイにするかもしれないのに、『君が代』で立つことを良しとしなかったのか。
私が『君が代』に従えない理由(考えてもらいたい事)をここでは3点述べます。  

1.『君が代』は、『日の丸』とともに戦前の日本軍国主義のシンボルで、負の遺産を背負った歌です。この旗と歌の下、日本軍はアジアを侵略し約2000万人の犠牲をもたらしました。わずか60余年前の出来事です。被害者の立場に立ってみてください。現在でもアジア諸国が好感をもっていないのはもちろん、約300万人の犠牲を出した日本人の中でも、忘れられない加害・被害の戦争体験から聞きたくもない人は少なくありません。同じファシズム同盟国ドイツやイタリアは、敗戦後、反省の意味を込めて戦前の国旗・国歌を変更しました。日本だけです、当時のままの旗・歌を続けているのは。『君が代』を聞き悲しむ人がいる、この歌に賛成できない人がいる、この事実を理解して下さい。   そして、『君が代』強制問題とは、個人の賛成・反対の議論ではなく、実際悲しみ賛成できない人がいるのにその人達にも斉唱させるべき(強制する)かどうかという問題であることを確認して下さい。「歌いたい」「どちらでも良い」と考える人でも、少数かもしれないが悲しみ賛成できない人のために、自分はどう行動すべきか考えて欲しいのです。
2.「君が代」が国歌であることは認めます。尊重義務規定なしでも、国会議員が150人も反対する中で法制化されましたから。そもそも、悲しんだり、誇りに思えない、皆で賛同できない旗や歌をわざわざ国旗・国歌に決めたのです。だから、管理職も「一般の人には起立・斉唱を強制できない」と言います。歌わせたい(歌いたい)人の希望通り『国歌斉唱』が実施される中で、「座って静かに終わるのを待つ」不起立行為は最低限の保障されるべきものです。ただし、「公務員は立って歌う義務がある。公務員は『思想・良心の自由』が制限される」とも言われます。しかし、私は「全体の奉仕者たる公務員だからこそ、強制は許されない」と考えます。公務員という職場は一般社会よりも人権に敏感かつ先進的(見本)でなければなりません。公務員に強制できるなら、「政府も、国会議員も、役所の人も、警察官も、消防署員も、学校の先生も、皆立って歌ってるよ。なぜ、あなたは歌わないの?」と、すぐに一般の人へ強制されるでしょう。ことは『思想・良心の自由』に関わる問題です。特に学校は、生徒に人権を教え生徒の人権を保障しなければならない場です。だから『国歌斉唱』を実施するにしても事前の『思想・良心の自由』説明が絶対必要ですし、「立ちたくない、歌いたくない」生徒にも十分な配慮が必要です。もし、そういう生徒がいた場合、教員が皆起立させられていたら、「私達は起立・斉唱するけれども、あなたは座っていて良いんだよ」の言葉で生徒は安心できると思いますか。起立する先生・しない先生、歌う先生・歌わない先生、様々な先生がいてこそ、生徒も安心して自分で判断できるはずです。「バラバラは見苦しい」と主張する方、そもそも『君が代』は全員が賛同できる歌でないのに国歌に決めたことを忘れずに。公務員(教員)だからこそ、生徒・一般の人のためにも、『君が代』強制は許されてはならないのです。
3.私は「憲法(思想・良心の自由)」「国旗・国歌」「近現代史」等を授業で生徒に教える社会科教員です。他教科の教員より多少『君が代』に関する知識も持っています。普段から生徒に自分の考えを持つよう働きかけ、正しい人権意識や少数意見の尊重・弱者への思いやり等を強調している教員が、実際の式で自分が正しいと思う行動を取れなくて生徒にどう映るでしょうか。「仕事だから」や「命令だから」という理由は、苦しみ賛成できない生徒にとって通用しない言い訳にしかなりません。生徒が教員の姿を見てるのです。

 『君が代』を国民全員が起立して大声で歌わされる、歌わないと公務員は処分、クビ。強制反対を主張する人は「非国民」と呼ばれ、社会で生きてゆけない。そんな時代の一歩手前だと思いませんか。「歌わなくても立つだけなら」という人も、本来、起立と斉唱はセットですよ。近い将来『国歌斉唱』で大きな声で歌わされませんか。本当に、戦前のあの『君が代』を大きな声で歌わないと「非国民」と呼ばれる時代が近づいているのです。

 最後に、かつてドイツでヒトラーの独裁体制が暴威をふるった時代に、ナチスが権力を獲得していく過程をニーメラーという牧師が後に回想して語った言葉を紹介します。

「ナチスが共産主義者を襲った時、自分は少し不安であったが、自分は共産主義者ではなかったので、何も行動に出なかった。次にナチスは社会主義者を攻撃した。自分はさらに不安を感じたが、社会主義者ではなかったから何も行動に出なかった。それからナチスは学校、新聞、ユダヤ人などをどんどん攻撃し、そのたび自分の不安は増したが、なおも行動に出ることはなかった。それからナチスは教会を攻撃した。自分は牧師であった。そこで自分は行動に出たが、その時はすでに手遅れだった。・・・」

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「教育基本法改悪法案を廃案に!5・6月連続行動」を終えるにあたって

半分勝利宣言

2006年6月25日
千高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」((T_T)0364)

 政治党派の声明ならば、「我々は教育基本法改悪反対闘争に勝利したぞ!」みたいな元気のいい言葉で始まるのだろうけれど、軟弱な市民団体である我々「ひょうたん島研究会」的には、「今回は何とか負けずにすんだぞ」みたいなグータラしたセリフで始まる文章しか書けない。
 でも、改悪法案の成立を許さなかったのは事実だから、名付けて「半分勝利宣言」。我々としては、秋の臨時国会に向けて、会員の家族・職場・東葛地区・千葉県内・全国を貫く運動を、我々よりも小さな団体や、我々よりも大きな団体とともに、継続することを決意している。

 我々「ひょうたん島研究会」は、テレビ番組『ひょっこりひょうたん島』を研究する団体である。ひょっこりひょうたん島は、国境を越えて漂流する。だから、ひょうたん島には、「愛国心」は無縁である。
 ひょうたん島には、小学校はあるが教育委員会はない。ドン・ガバチョは大統領だが、石原慎太郎のような権力的な首長ではない。既に少人数学級が実現していて、生徒(児童か?)は、博士(中山千夏)・チャッピ(江美京子)・テケ(増山江威子)・ダンプ(伊藤牧子)・プリンの5人しかいない。
 そして、教室からは、歌声が聞こえる。

子どもたち
「♪勉強なさい〜 勉強なさい〜 大人は子供に 命令するよ 勉強なさい〜 え〜らくなるために お金持ちになるために ア〜ア〜ア〜ア〜 そんなの聞きあきた」

サンデー先生
「♪いいえ よ〜い大人になるためよ〜 男らしい男 女らしい女 人間らしい人間 そうよ 人間になるために サァ 勉強なさい」

テケ
「♪そうだとも 泣けっちゃうな 今のひとことみんな 忘れるな」

サンデー先生
「♪テケさんもね」

子どもたち
「♪良い子にな〜れ 良い子にな〜れ 大人は子供に 命令するよ 良い子にな〜れ え〜らくなるために 尊敬されるために ア〜ア〜ア〜ア〜 そんなの聞きあきた」

サンデー先生
「♪いいえ よ〜い大人になるためよ 男らしい男 女らしい女 人間らしい人間 そうよ 人間になるために サァ 良い子になりなさい」

トラヒゲ
「♪そうだとも 泣けっちゃうな 今のひとことおれも 忘れねえ」

サンデー先生
「♪んまあ!」

 どうせ批判があるに決まってるから先に書いておくと、「男らしい男」「女らしい女」については、我々研究会としても賛成しない。もっとも、作者=井上ひさし&山元護久の弁護をするわけではないが、例えば、料理をするのはテケだし、「(チャッピは)「『女の子はソンばかり』と歌って、『女らしさ』に疑問を出す、'60年代型”元気印”少女」であり、「ストーリー後半では、子どもたちの間で役割分担をするときでも、全く性別を配慮することがなくなり、対等な立場を獲得していた」(伊藤悟『ひょうたん島大漂流記』〈飛鳥新社〉より)。

 「えらくなるため」でも「お金持ちになるため」でも「尊敬されるため」でもなく、「よい大人」「人間らしい人間になるため」に勉強するという思想は、現行教育基本法第1条「教育の目的」にある「人格の完成をめざ」すことそのものである(かなり苦しい論理展開のような気もするが・・・)。

 我々「ひょうたん島研究会」は、自由に国境を超えるとともに、学校自治を守るため、「半分の勝利」に満足することなく、「全面勝利」を目指して奮闘することを宣言する。

 最後に、ひょうたん島のテーマを引用し、この宣言を終える。
 「苦しいこともあるだろさ 悲しいことも あるだろさ だけど ぼくらは くじけない 泣くのはいやだ わらっちゃおう 進め ひょっこり ひょうたん島〈3回繰り返す〉」

【蛇足】
 『ひのきみ通信』の読者には『週刊金曜日』を読んでいる人も多いと思うので、『週刊金曜日』06/06/16号の記事「非マスコミ紙誌から」について、一言補足をしておく。
 記事では、千葉高教組柏南高校分会の機関紙『ぶらんこ』(06/05/18号)からということで、ぼくの文章「教育基本法改悪法案を廃案に!」が紹介されているが、正確には、『ぶらんこ』8面に間借りしていた「ひょうたん島研究会」の機関紙『5・6月連続行動ニュース』に載ったものです。
 一応組織的には別団体ですので、念のため。

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お知らせ

6月17日(土)
-7月30日(日)
  世界報道写真展2006 東京都写真美術館
7月1日(土) 12:30〜 九条の会市川・結成1周年記念集会 アーサー・ビナード他 市川市民会館(京成八幡、JR本八幡)
7月1日(土) 13:00〜 「ジュニア日本文化検定」(市教委)と『心の教科書』(府教委) 洛陽教会(京都市上京区寺町丸太町上がる)
7月1日(土) 13:40〜 戦争と歴史認識 山田朗 高井戸地域区民センター(井の頭線高井戸)
7月1日(土) 15:30〜 シマに暮らす思想〜琉球の島巡りで考えたこと 野本三吉 早稲田奉仕園(地下鉄早稲田)
7月1日(土) 18:30〜 沖縄・辺野古への基地を許さない!集会 安次富浩,高里鈴代 文京区民センター3A(地下鉄春日)
7月2日(日) 12:50〜 Chiba2006ピースフェスティバル
 「アンゼラスの鐘」上映 安斉育郎他
千葉市民会館(千葉)
7月2日(日) 13:00〜 憲法を変えるって、どういうこと? 伊藤真 埼玉会館7B(浦和西口10分)
7月2日(日) 13:30〜 「公益」の名による権利の包括的制限 冠木克彦 阿倍野市民学習センター講堂
7月4日(火) 18:00〜 軍隊を捨てた国コスタリカから平和を語る講演・対話集会 弁護士会館2Fクレオ(地下鉄霞ヶ関)
7月4日(火) 18:30〜 マヤ先住民女性の声「勇気を受け継ぐ」アナ・ペレスさん講演会 総評会館(千代田線新御茶ノ水3分)
7月4日(火)
 〜9日(日)
  THE NEWSPAPER公演「もしも笑いが無かったら!」 本多劇場(下北沢4分)
7月5日(水) 18:30〜 軍隊を捨てた国 コスタリカから見た憲法九条
 カルロス・バルガス&早乙女勝元
アミュゼ柏クリスタルホール(柏東口7分)
7月5日(水) 18:45〜 憲法における人権、憲法を超える人権 前田朗 本郷文化フォーラム(地下鉄本郷三丁目)
7月6日(木) 13:00〜 院内集会―憲法9条を世界の宝に 参議院議員会館第1会議室
7月6日(木) 18:30〜 平和を求める祈りのつどい 幼きイエス会(ニコラ・バレ)聖堂(四ッ谷3分)
7月7日(金) 18:30〜 07参院選・平和の共同候補を求めて 7.7シンポジウム 日本教育会館大ホール(地下鉄神保町)
7月8日(土) 9:20〜 東京・八王子空襲トーク集会フィールドワーク 高尾駅南口集合
7月8日(土)
  「あんにょん・サヨナラ」上映 ポレポレ東中野(東中野)
7月8日(土)
 〜21日(金)
11:00〜 「アルナの子どもたち-パレスチナ難民キャンプでの生と死」 シネアートマン下北沢
7月8日(土) 13:00〜 「あの鷹巣町のその後」上映会 市川市男女共同参画センター(市川)
7月8日(土) 13:30〜 『未来をひらく歴史』国際シンポジウム 明治大学リバティホール(御茶ノ水)
7月8日(土) 13:30〜 改憲手続き法案の是非を問う〜与党案、民主党案の検討 専修大学神田校舎301
7月8日(土) 14:00〜 教育基本法「改正」問題と大泉ブラウス判決 成嶋隆 羽村ウイング(青梅線羽村10分)
7月8日(土) 14:00〜 東京・八王子空襲トーク集会 八王子労政会館(八王子北口10分)
7月8日(土) 14:00〜 「教育困難校」問題交流会 千葉県教育会館201
7月8日(土) 14:30〜 日本で学ぶ、外国人の子どもたち… 島本篤エルネスト 地理教育研究所(市ヶ谷10分)
7月8日(土) 18:00〜 衆議院教育基本法に関する特別委員会
 における議論を分析する 和田哲子他
明治大学リバティタワー1113(御茶ノ水)
7月9日(日) 13:30〜 就学相談会(就学までの流れ、制度の説明・個別相談) 千葉県教育会館304(千葉)
7月9日(日) 14:00〜 国際人道法と世界の非武装国家 前田朗 枚方市民会館
7月9日(日) 14:30〜 増田さんの不当解雇撤回を求める7.9集会 森正孝他 豊島区勤労福祉会館6F(池袋南口7分)
7月11日(火) 16:30〜
18:00〜
神奈川こころの自由裁判
報告集会
横浜地裁
横浜市技能文化会館
7月13日(木) 10:30〜 共に育つ教育を進める県連絡会 県教委義務教育課交渉 千葉県庁中庁舎9F会議室(千葉)
7月14日(金) 18:30〜 高橋哲哉さんと語る ヤスクニ問題をどう越えることができるか? 日本キリスト教会館6F(地下鉄早稲田)
7月14日(金) 19:00〜 東海村臨界事故7周年東京圏行動・立ち上げ集会 大泉恵子 たんぽぽ舎(水道橋)
7月15日(土)
 〜16日(日)
11:00〜 原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島
 レノックス・ハインズ、カルロス・ヴァルガス、家正治他
広島平和資料館メモリアルホール
 (広島平和公園内)
7月15日(土) 13:30〜 電磁波から子どもたちを守れ! 上田昌文 千葉市生涯学習センター(千葉)
7月15日(土) 13:30〜 もんじゅ西村裁判を応援する会・学習会 槌田敦 神保町区民館3B
7月15日(土) 14:00〜 マスコミがつくる「凶悪犯罪」
 映像メディアをとおして考える死刑 坂上香
ちよだボランティアセンター(水道橋東口5分)
7月15日(土) 18:30〜 板橋高校卒業式事件 板橋グリーンホール(東武東上線大山7分)
7月16日(日) 13:00〜 地球環境セミナー「もったいない」 高木善之 神奈川公会堂(JR東神奈川4分)
7月17日(月) 13:00〜 イラクの子どもを殺す、放射能兵器 山崎久隆 たんぽぽ舎(水道橋)
7月19日(水) 13:15〜 李金花さん判決 東京地裁606
7月20日(木) 18:30〜 いろりばた学習会 大石又七 たんぽぽ舎(水道橋)
7月21日(金) 18:20〜 「六ヶ所村ラプソディー」上映会 監督トーク 船橋市勤労市民センター(船橋南口5分)
7月22日(土) 13:30〜 七三一部隊〜実像と虚像〜 常石常一 区立新宿歴史博物館(四ッ谷10分)
7月22日(土)
 〜23日(日)
13:30〜
〜12:00
近現代史授業・教材づくり研究会 埼玉教育会館(浦和10分)
7月22日(土) 18:00〜 「『教育の自由』を勝ち取ろう」大集会 豊島公会堂(池袋7分)
7月23日(日) 13:00〜 靖国神社・遊就舘見学ツアー 樋口篤三 要申込:たんぽぽ舎  
7月24日(月) 19:00〜 水俣セミナー「俺の好きな甘夏、俺の好きな患者」高橋昇 環境パートナーシップオフィス(地下鉄表参道)
7月25日(火) 13:30〜 大泉ブラウス裁判 東京高裁
7月25日(火) 19:00〜 劣化ウラン兵器禁止・市民ネットワーク7月全体会 たんぽぽ舎(水道橋)
7月27日(木)
 〜31日(月)
10:30
〜18:00
平和のための埼玉の戦争展
 最終日〜15:30
コルソ7F(浦和西口駅前)
7月28日(金) 18:30〜 憲法改悪と監視社会のゆくえ 斎藤貴男&保坂展人 梅が丘パークホール
7月29日(土) 13:30〜 韓国・朝鮮の遺族とともに遺骨問題の解決へ 東京集会 星陵会館
7月29日(土)
 〜31日(月)
  地理教育研究会鹿児島大会
 問合Fax:03-3411-8818
 
7月30日(日)
〜8月1日(火)
  全国民主主義教育研究会全国大会 六甲スカイヴィラ
7月30日(日) 12:30〜 チャリティ星空「ペルーの働く子どもたちへ」 北トピア6Fゆうプラネタリウム
7月30日(日) 13:00〜 社会主義理論学会研究会 水嶋一憲・孫永海 文京区民センター(地下鉄春日)
7月30日(日) 14:00〜 置き去りにされた朝鮮人「慰安婦」連続セミナー6
 韓国女性たちの性暴力との闘い
アクティブ・ミュージアム
 女たちの戦争と平和資料館
7月31日(月) 13:30〜 もんじゅ西村裁判・第9回公判 東京地裁民事713
7月31日(月) 13:30〜 中国人強制連行・新潟訴訟 東京高裁101
8月3日(木)
 〜6日(日)
  劣化ウラン兵器禁止を訴える国際大会
 主催:ウラン兵器を止める国際連合
広島市
8月3日(木)
 〜17日(木)
  地理教育研究会海外現地見学 古賀正則,G.K.Chadha
 「インド・デリーから南インド・バンガロールのIT産業」
 
8月4日(金)
 〜6日(日)
  東京演劇アンサンブル公演「林檎園日記」 俳優座劇場
8月4日(金)
 〜8日(火)
  日中韓・青少年歴史キャンプ
 カンパ口座番号:00110-9-464693(青少年歴史体験キャンプ)
沖縄国際ユースホステル
8月5日(土)
 〜18日(金)
11:00〜 「Marines Go Home」上映 下北沢シネマ・アートン
8月5日(土) 13:00〜 ヒロシマ大行動・国際連帯集会 アステールプラザ(広島市中区加古町4-17)
8月5日(土) 17:00〜 ヒロシマ平和へのつどい2006 広島YMCA地下コンベンションホール
8月6日(日) 11:00〜 樹の声、人の声、風の音
 原民喜ゆかりの被爆樹木に耳をすませて
広島市京橋川右岸
8月6日(日) 12:30〜 ヒロシマ大行動「ヒロシマの力で憲法の改悪をとめよう!」 広島県立総合体育館
8月6日(日) 13:00〜 平和のつどい 「平和憲法を語る」小森陽一
 「蒼い記憶」上映 原爆写真展
千葉県教育会館大ホール(千葉)
8月11日(金)
 〜13日(日)
10:00
〜18:00
平和のための戦争展ちば 船橋市市民ギャラリー
8月11日(金)   平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル・デモ
 午後:政府申し入れ 夜:集会
東京弁護士会館
8月11日(金) 19:00〜 靖国とは何か、黙殺された戦死者たち 金錦順 長野県職員センター
8月12日(土) 13:30〜 今、あらためて韓国の戦争被害者の声を聞こう
 李金寿、秋山格之助
船橋中央公民館(船橋南口7分)
8月12日(土)   平和の灯を!ヤスクニの闇へ 銀座キャンドル・デモ 夜  
8月13日(日) 10:00〜 アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会
 金旭、岩淵宣輝
クレオ大阪西ホール(JR環状線西九条3分)
8月13日(日) 15:00〜 平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動
 チワス・アリ(台湾)、李金珠(韓国)
日本教育会館(地下鉄神保町5分)
8月14日(月)   非戦を叫ぶ演劇人の会「ピースリーディングVol.9」 スペースゼロ(新宿南口6分)
8月15日(火) 16:00〜 原爆・反戦詩を読む市民のつどい 広島原爆ドーム東・原民樹詩碑周辺
8月29日(火) 11:00〜 遺棄毒ガス被害裁判第二次控訴審 東京高裁808
8月30日(水) 15:00〜 都教委包囲デモ 柏木公園(新宿西口)集合

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