ひのきみ通信 第117号

2006年3月4日



講演する梅林さん(2.18千葉県民集会)

目次

憲法・教育基本法を守ろう!
 2.18千葉県民集会
みつはし ひさお(市川西高分会)
「2.25市川・浦安みんなのつどい」で思ったこと 塩川希代子(船橋芝山高分会)
増田先生へのイジメは、明日のわたしたちへの攻撃 近 正美:生浜高校分会
「指導案に意見を書いたら処分されちゃった事件」
 人事委員会審理報告 代理人のT.T.です
T.T.0359
 (千葉高教組東葛支部書記長)
やがて春
 〜日教組全国教研と自主教研に参加して〜
船橋東高校分会・渡部秀清
お知らせ

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憲法・教育基本法を守ろう!

2.18千葉県民集会

みつはし ひさお(市川西高分会)

 千葉高教組主催、2月恒例の標記「県民集会」が、2月18日(土)、千葉県教育会館大ホールにおいて、約260名の参加を得て開催されました。
 今年の講演は、NPO法人「ピースデポ」代表の梅林宏道さんによる「米軍再編と平和憲法」と題したものでした。梅林さんは、アメリカ軍の世界的配備、およびその再編計画の背景をわかりやすく示したのち、「日米戦略対話」に話題を絞りました。そして、この「対話」の目指すものが朝鮮半島・中国・台湾海峡をはじめとするグローバルな脅威に対処するための能力の維持にあり、さらには日米共同防衛体制の構築、すなわち実質的集団的自衛の拡大にあることを明らかにしました。その上で、日本が本来目指すべき道は憲法を基礎とした安全保障にあるべきだとして、「東北アジア非核地帯」構想を提唱しました。これは、日本・朝鮮半島を「核の不存在」「攻撃・威嚇の禁止」「検証制度」の3要素をそなえた地域として、その専守防衛の地位を国連決議で保障させるというもので、十分に実現可能な現実的選択肢として考えるべきだと述べました。
 つづいて、学校・地域からのとりくみとして、つぎの4つの発言がありました。最初に、浅間基秀さんと「子どもと教科書市川ネット」の皆さんが、「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の採択を許さない地域のとりくみを報告しました。 つぎに、中村美彦さんと「憲法を守ろう・市原市民連絡会」の皆さんが、憲法・教育基本法改悪に反対する地域のとりくみを報告しました。3番目に、白谷秀一さんと「日本語を母語としない親と子どものための進路ガイダンス」の関係者の皆さんが、外国人の就学保障のとりくみを報告しました。最後に、楳澤和夫さんが憲法9条「改正」問題に関する高校生の意識について報告しました。
 集会後デモ行進に移り、中央〜栄町を一巡して中央公園までのコースを歩きながら、平和憲法・教育基本法の意義を道行く市民に訴えました。

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「2.25市川・浦安みんなのつどい」で思ったこと

塩川希代子(船橋芝山高分会)

 2月25日、朝日新聞の夕刊には、「国民学校一年生の会」のことが載っていた。「すっぽり国民学校で過ごしたのは私たちだけなんです。」と71歳の人。近頃朝日新聞は信用が置けず、気持ちの悪いコマーシャルに寒気がするが、この記事はタイムリーだった。最初に話をしてくれた入江曜子さんは同じ歳だ。国民学校の1年生の「ヨミカタ」「ヨイコドモ」と「心のノート」を並べた資料で、意図が同じであることがよく分かった。子どもに、説明抜きで刷り込むから強い。石原東京都知事は「式は厳かなもの」、と言ったそうだが、学校も同じだ。学校に「式」があり続けたことが、今更だが、悔やまれる。「一同礼!」の練習を幾度も繰り返して刷り込んでいる。これも「隠されたカリキュラム」のひとつだ。
 入江さんの「独自の伝統と文化の内容を言わない。」という指摘にはっとした。ジェンダー・フリー教育攻撃に使われるとき、無条件にいいもの、守るべきものとされている。既に刷り込みされているのではないだろうか。
 また、三浦朱門の「非才、無才は実直に人生を送ってくれれば」という言葉を引いて階級社会の復活を危惧し、かつての戦争が閉塞社会の逆転チャンスだった例として、貧しい家で戦死して、「恩給」で潤ったから親孝行、帰ってきた一人は親不孝だと母が言ったという話しをした。
 私の友人の子どもが高校卒業して、自衛隊に入った。零細自営業で、4人きょうだいの第一子、「優しい子だから、親の負担を考えての選択だろう。」と別の友人は言う。教育が差別選別の道具であり続け、親の財力しだい。自活の早道自衛隊となってしまうのか。
 金のかからない学校は礼ばかり練習し、学力でなく従順力を養う場所にさせられていく。
 日の丸・君が代で処分された2人の話からは、学校で働く私たちが、自分の生活を守るために、などと節操を捨てると、その目論見どおりになっていくとの思いを強くした。昨年やはり処分された新井さんという人の話を聞いたときは対岸の火事だった。今年私は転勤した。そこで些細なことで管理職から干渉を受けたとき「みんなやってる」と組合員に言われた。そんなことで意地を張らなくても、という受け止め方だった。新井さんの逡巡、決断がやっと想像できた。
 「戦地に赴いた世代はもう80代、この世を去り始め、戦争を語り継ぐのは当時「小国民」だった世代に移りつつある」と先ほどの新聞にはある。体験をしていない人の「また、あの時代がやってくる」的な警告には胡散臭さを感じるが、三宅晶子さんが見抜いた「心のノート」の危険には共感した。そして入江さんは当事者だ。子どもを誘導する仕掛けに注意しなくてはいけない。些細なことと見過ごしているとその流れを助長し、加担することになる。
 続いて君が代不起立で処分された二人の話を聞いた。府中二小の中島さんは、保護者と一緒に君が代処分を考える会を作ったそうだ。強制だから反対なのか、日の丸・君が代そのものを問題視するのか、情勢判断か、仲間内でもいろいろ考え方、立場、党派、さまざま絡み合うが、保護者、地域となると余計に危ういと思う。でも中島さんは、さらりと、やりあう場ができることが大事だと言っていた。そして、歌うべきと強く主張する親たちを、育てたのは自分ということに気づいたそうだ。「教えないできた」「触れないできた」ことの反省を述べていた。私も、かつて、なぜ日の丸君が代が問題なの?と若い同僚に聞かれた。式典があって、礼法指導もあったのだから、学校よい子なら、受け入れて当然だ。
 高校で、再任用が不採用になった元向島工業の前川さんは解雇不当を争っているそうだが、現役時代、格別活動家でもなかったと言っていた。もう、カナリア段階ではなくなってきているのだ。近々ある卒業式に東京ではまた、生徒の様子まで指図した通達やら職務命令が出されることが懸念される。自分の考えと、生徒には中立無私の立場でいなければと悩んで、結局何も言わないできたのではなかったか。一方で「式」によって繰り返し刷り込まれているとき、「教えない」のは中立ではない。偏った情報だけを与えることになる。
 その後は、波風立てないために、生活を守るために、処分を避けるためにと己の節操を棚に上げているうちに事態はどんどん悪化していく。
 入江さんは「心のノート」の「美しい言葉、美しい四季、そして・・・」という記述の後に何がふさわしいかを聞かれ、「憲法9条がある」と続けた子どもがいたと言い、まだ望みがあると最後に言った。それがなくならないようにしたい。

(2006,2,27)

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増田先生へのイジメは、明日のわたしたちへの攻撃

近 正美:生浜高校分会

 増田さんは東京の区立中学校の社会科の教員だ。
 自分に正直に子どもたちの前に立ち、子どもたちに考える力をいかに付けるかという「社会科」教育の基本を押さえてきた先生だ。しかし、かつて足立の中学にいたころから権力に目を付けられ、教育内容を問題にされてイジメられてきた。
 いまは、目黒にある東京都研修センターの「隔離部屋」に閉じ込められて、トイレに行くにもチェックをされ、記録をされるという異常・違法な状態に置かれている。都教委は昨年(2005年)8月30日、彼女を戒告処分にし、2週間の区教委研修、そして、今年の3月31日までの「長期研修」を命じた。戒告処分の理由は、増田さんが授業(「紙上討論」)の中で使った「ノ・ムヒョン大統領への手紙」(彼女が書いたもの)の中で、都議会議員が都議会で「侵略戦争云々というのは、私は、全く当たらないと思います。じゃ、日本は一体どこを、いつ侵略したのかという、どこを、いつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたい。」と発言した事実をとりあげたこと、「つくる会」歴史教科書を「歴史偽造主義」と批判したことなどが「不適切」で「公務員の信用」を失墜させるからというのだ。
 政治と行政が、一中学校教員の社会科の授業内容を問題にして、教育そのものに直接介入してきたのである。
 そして、彼女は学校と子どもたちから引き離され、隔離部屋に収容されている。
 さて、そこでどのような「研修」が行われているのか、最近の「研修テーマ」から二つを紹介しよう。

「あなたは授業中に、特定の出版社の教科書を『歴史偽造の教科書である』、特定の議員の名前をあげ『歴史偽造主義者である』というあなたの主張を書いた資料を生徒に配布した。このことについて、今後もこのような認識のもと授業中に同様の資料を配布して授業を行っていくつもりか。あなたの考えを1200字〜2000字程度で具体的に述べよ。」

「これまでの研修内容を踏まえ、以下についての考えを記述してください。平成17年11月7日、豊島勤労福祉会館で開催された集会において不特定多数の参会者に配布された資料の中で、保護者の一人を超国家主義者・特異な史観をもつもの(筆者注:彼女は「保護者の一人に戦前の超国家主義者・皇国史観論者の今泉澄を信奉している人がいて」と事実を書いている)と、誹謗中傷しているが、これは、あなたが配布したのか。あなたが、このような資料を配布した理由は何か。あなたの考えを1200字程度で述べよ。」

 このような違法・異常、非常識な「研修」が毎日、毎日、続くのである。まさに治安維持法下の転向を迫る取調べか、旧東ドイツのシュタージか?である。このようなことを平気で行える東京都教育委員会の異常さに戦慄する。かつての清算事業団でのイジメと全く同じことが、授業内容を問題として行われている。
 また、都教委、都議たちは憲法も教育基本法も無視するだけでなく、東京都個人情報保護条例にも違反している。都教委は増田さんの個人情報を土屋・古賀・田代の三都議には無制限に漏洩し、さらにこの都議らは産経新聞に情報提供を行って、増田さんの誹謗中傷記事を書かせるという破廉恥を行ったのである。一教員が、都教委・都議・産経から一方的に攻撃をされているのである。
 2005年11月22日、アメリカの「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙は「増田のこの経験は、日本の民族主義者の力が、東京において、増長していること、そして、その影響が草の根のようにはびこっていることを示している」と報じた。また、2005年11月18日には、韓国文化放送のワールド・ワイド・ニュースで「日本より『ノ・ムヒョン大統領への手紙』事件」特集として放映され、キャスターは「生徒たちの正しい歴史認識を育てるための一人の教師の努力が『教権剥奪』という結果に及んだこの事件を見て、日増しに右傾化に向かっていく日本社会の一断面を見ている感をぬぐえません。」とコメントした。
 いま問われているのは、わたしたちに何ができるのか、何を行うのかということだと思う。10年後、成長した子どもたちに「先生、なんで日本はこんなひどい国になってしまったの?」と詰問されたくない。いま声を上げねば、声すら上げられない世の中になってしまうだろう。

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「指導案に意見を書いたら処分されちゃった事件」人事委員会審理報告

代理人のT.T.です

T.T.0359(千葉高教組東葛支部書記長)

 2月17日(金)、表題の「事件」について、人事委員会公開口頭審理が行なわれた。「事件」の概要は、2004年度に行なわれた指導主事訪問(千葉県では、03年度から3年間で、すべての高校に対して行なわれた)で、布佐高校分会の鳥塚さんが、提出した指導案に訪問についての意見を書いただけで、戒告処分されたという、ヒドイものである。
 この日の審理では、布佐分会の当時の分会長Tさんと、請求人本人の鳥塚さんに対する証人尋問が行なわれた。その尋問の中で、処分者側代理人の弁護士・石津の反対尋問があまりに嫌みったらしかったので、思わず手を挙げて、声を出してしまった。
 「代理人のT.T.です。」

 実はぼく、この手の審理には、けっこう顔を出す人間である。この1年間にも、「日の君」処分の審理の傍聴で、都庁39階にある審理室に何度か通った。もう年休の残りがないので、今年になってからは1度も都庁を訪れていないが・・・。そういう審理の中で、被処分者側の代理人弁護士が「代理人の**です」と言いながら、処分者側の証人を鋭く追及したり、被処分者側の証人を激励するのを見て、カッコいいなーと思っていた。

 このエッセイで敵役として登場する石津は、県側の代理人を一手に引き受けている弁護士で、イメージでいえば、時代劇に出てくる悪家老のような人物である。この悪家老氏は、分会長だったTさんに、次のような質問をする。
 「一般に、指導案の中で、教育行政に対する批判を書く習慣はあるのか? 例えば、教育実習に来る実習生は、指導案の中に批判を書いたりすることはないでしょう?」──当たり前だ。これから教員免許を取ろうとする学生が、その免許取得に影響するに決まっている批判など、たとえ指導教員に問題があったとしても、提出文書に書く筈がない。
 だから、反対尋問後の補足として、代理人デビューしたTTは、分会長Tに次のように聞く。もっとも、代理人の質問というのは、それこそ誘導尋問みたいなものだから、質問そのものが答のようなものである。証人の返答で、必要ないものは省略する。
 「先ほど悪代官氏は、証人に『実習生は指導案に批判は書かないですよね?』と聞いたが、今、問題になっているのは、指導案一般ではなく、指導主事訪問という特別な場合の指導案ですよね?」──審理長に、今回の問題が決して指導案一般の話ではないことを、分からせようとしたつもり。
 次に、「悪代官氏はあなたに、『校長が”指導案ではなく、別紙に同じことを書けば、県教委にそれを渡し、誠意を持って鳥塚さんの気持ちを伝える”と言ったのだから、鳥塚さんはそうすれば良かったと思いませんでしたか?』と質問したが、証人の今までの長い教員生活の中で、校長を通じて現場の思いが県教委に伝わったことはありましたか?」──証人の答は「まったくありません」。
 鳥塚さんにも2つ聞いた。悪代官氏が鳥塚さんをいかにも校長の指導を拒否するトンデモ教師と印象づけようとしたことに対抗した質問である。「あなたが指導案に批判を書いたのは、職務命令を聞きたくないということが理由なのか、それとも、県教委に現場の思いを伝えたいというのが理由だったのか?」
 ぼくの質問の最後。これは悪代官氏ではなく、悪徳役人──これは比喩ではなく、本物の県の役人らしいのだが──の、「校長の命令を聞かない教員には、生徒も言うことを聞かなくなって、大変ではないですか?」という愚かな質問(傍聴者の失笑と、小さな野次を買っていた)に対抗したもの。
 「証人は生徒に教育をする上で、教員のいうことを聞くだけの人間になってほしいと考えていますか、それとも、教員だって間違うことがあるのだから、違っていると思ったら、そのことを教員に伝えてくれる人間になってほしいと思っていますか?」
 鳥塚さんの答がいい。「ただ人のいうことを聞くだけでなく、自分でよく物事を考える、そういう人間になってほしいと思って、常に学校で生徒と接しています」。
 「これで質問を終わります」──と言ってサッと引く。これが、代理人のカッコいいところである。

 今、このワープロを叩いているのは、27日(月)の未明。昨日26日の『朝日』の教育面の全国教研についての記事の中で、鳥塚さんの教育実践「松山事件題材に裁判員制」が紹介されている。興味がある人は読んでほしい。
 仲間内で「業績評価」などする気はないが、この記事を読んだだけでも、鳥塚さんが本当の意味で授業を大事にする教員であることが分かると思う。
 そんな鳥塚さんに対して、弁護士・石津は、反対尋問の中で、鳥塚さんの指導案のことを、ネチネチと質問した。ぼくは本当はその場で言ってやりたかった。「アンタが鳥塚さんに指導案のレクチャーするなんて、10年早いよ!!」

【付記】
 ぼくにはメモを取る習慣がない。発言の引用は、あまり正確でないかもしれない。正確なものは、旧知の速記の女性が作る審理の記録に譲りたい。

(06/02/27)

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やがて春

〜日教組全国教研と自主教研に参加して〜

船橋東高校分会・渡部秀清

 2月25日〜27日、三重県で第55回日教組全国教研が開かれた。私は今回「平和教育」分科会に傍聴で参加した。途中で帰らざるを得なかったので、26日15時頃までのことで特に印象に残ったことを報告したい。
 前日(24日)夜、宿泊先ので三重県の退職教員のKさん(現在再任用教員)と会った。用件は、翌日朝教研参加者に「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の「3・31全国集会」のチラシ配布の打ち合わせのためだった。初対面であったが話は弾んだ。その中で次のような話を聞いた。「最近三重でも『日の丸・君が代』強制が強まりつつある。しかし教頭を辞めヒラ教員に戻った人も出てきている。『日の丸・君が代』を強制する側には回りたくないという理由からだ。」(そういえば千葉でもこのところ何人かの教頭が、次々に強制される上意下達の教育行政に嫌気をさしてやめている)
 翌日朝のチラシ配布は、津新町駅というところで行った。三重には知り合いがいなかったが、「全国連絡会」のメーリングリストでチラシ配布を呼びかけたところ、Kさんや三重教組のTさんも含め4人の方が来てくれた。しかし、今回はホテルからのバス輸送などがあり、400枚くらいしか撒けなかった。
 全体集会はこれまでに比べ盛り上がりに欠けるものだった。教育基本法改悪法案が出されようとしているにもかかわらず、森越委員長はそのことには触れなかった。また、基調報告もこの時期に至って「読み生かす運動」が前面に出ていた。
 その夜四日市で、「自主教研〜「日の丸・君が代」問題交流会〜」が開かれた。これは日教組の路線転換と「日の丸・君が代」強制に危機を持った全国の現場組合員らによって2000年の全国教研から開かれ今年で7回目になるものである。
 この自主教研には各都道府県(東京、北海道、大阪、宮城、千葉、神奈川、愛知、滋賀、奈良、三重、兵庫、鳥取、福岡)から62名が参加した。各地から「日の丸・君が代」問題を中心に報告があった。
 東京からは、この1月の周年行事で4回目の不起立をしたKさん、ピアノ裁判のFさん、ピースリボン裁判のSさん、教科書問題をかかえる杉並教組組合員、強制移動裁判のBさん、退職教員などがそれぞれの闘いを報告した。
 北海道教組の組合員は、北海道全体ではまだ数千人以上規模の不起立が闘われていることを報告した。
 大阪では「すわって示そう戦争反対!」実行委員会はじめ28団体40人が、1月27日、大阪府教委に申し入れをしたことが報告された。申し入れに対し大阪府教委は「東京では、校長が一律に職務命令を出して職務命令に違反したとして処分しているけれど、大阪では一律に職務命令を出して処分するということは考えていません」と回答している。また、多くの教員が不起立宣言をしている。
 兵庫からは、「日の丸・君が代」強制を推進してきた宝塚市の渡部完市長が2月7日収賄容疑(パチンコ店出店に便宜、高級車・セルシオを受け取る)で逮捕されたことが報告された。彼は県議時代から教職員組合を敵視し、「日の丸・君が代」強制に圧力をかけ、市長就任後は教育長を文科省から呼び、「つくる会」教科書の採択や「二学期制」を導入しようとした人物だったということである。
 これまで闘いがほとんどなかった鳥取からも、闘いが起きてきたことが報告された。
 千葉からは、指導主事訪問批判で戒告となったTさんがその不当性を報告した。
 各地からの報告を聞いて私は、改めて[1]東京の闘いが全国的に注目されていること、[2]東京での闘いが長期戦になればなるほど問題点が明らかになり連帯の輪もそれだけ広がること、を確信した。その証拠に、この集会に参加していた「『日の丸・君が代』の強制に反対する阪神連絡会」の人たちは、翌26日、東京のKさんを呼んで「卒業式で、『日の丸・君が代』を強制するな!2・26集会」を開くことになっていたが、たまたまこの集会で4回不起立のKさんと会うことになった。また朝チラシを一緒に撒いてくれた三重のKさん、Tさんもこの集会に初めて参加してくれた。
 日教組中央が「日の丸・君が代」強制反対の旗を降ろしても、全国各地での闘いは堅持され、連帯の輪も広がっているのである。
 翌26日は、「平和教育分科会」に傍聴として参加した。今回千高教組からのレポートは京葉高分会の中村さんの「地域での平和運動」で、市原地区における「憲法を守ろう・市原市民連絡会」の立ち上げから現在までの報告だった。
 この日のレポートの中で印象に残ったのは、福岡教組の「自作劇の16年間」というレポートと杉並教組の「つくる会教科書阻止のたたかい」だった。前者は、夏休みの平和学習登校日が上からつぶされていく中で、地域の組合の教員たちが中心に「自作劇」を作り平和集会を開くことになり、その後この取り組みは保護者・生徒たちを巻き込んで現在まで発展してきているというものであった。後者は、杉並区の「つくる会」教科書採択にかかわる報告であるが、調査報告書書き換えを内部告発した教員たちが逆に処分や配転攻撃にさらされているというものだった。これに対し、「弾圧されて落ち込んだり、周りの人が離れていったりしていないか」という質問があったが、報告者は「逆にみんな元気になっており、教員の強制配転に対してはその学校の保護者たちも多数反対運動に立ち上がっている」と答えた。
 やがて春、時代も変わりつつあるのかもしれない。

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お知らせ

12月11日(日)
〜4月23日(日)
13:00
〜18:00
「松井やより 全仕事」展 女たちの戦争と平和資料館(地下鉄早稲田)
3月3日(金)
 〜5日(日)
  佐藤文則 ハイチ写真展
 3日14:00〜20:30,4日10:00〜20:30,5日10:00〜17:00
 座談会 4日・5日14:00〜
九段社会教育会館ギャラリー(地下鉄九段下)
3月3日(金)
 〜4日(土)
  「六ヶ所村ラプソディー」上映会&監督トーク 鎌仲ひとみ
 3日14:30,19:00 4日19:00 (14:30上映後,19:00上映前トーク)
四谷区民ホール(地下鉄新宿御苑前5分)
3月3日(金)
 〜5日(日)
  「平和力」短期集中講座 前田朗他
 3日19:00-21:00 4日11:00-19:00 5日11:00-13:00 
南風原町文化センター企画ホール
3月4日(土) 13:30〜 大泉ブラウス裁判・公正な判決を求める市民集会
 「良心的不服従の系譜」 安川寿之輔
東京芸術劇場(池袋4分)
3月4日(土) 13:30〜 チェルノブイリ事故・20年目に見えてきたもの 文京シビックセンター4Fシルバーホール
3月4日(土) 13:30〜 平和をともにつくろう! 市川集会 森井眞 市川教育会館(本八幡南口10分)
3月4日(土) 13:30〜 どうなる?子どもたちの未来 partII
 憲法・教育基本法「改正」を考える市民集会 三宅晶子
所沢市小手指公民館分館大ホール
 (西武池袋線小手指南口5分)
3月4日(土) 13:30〜 教育基本法・憲法改悪をゆるさない3.4埼玉のつどい 高橋哲哉 越谷コミセン小ホール(南越谷,新越谷3分)
3月4日(土) 14:00〜 スリランカでの非暴力介入の到達点と
 今後への課題 大島みどり
文京シビックセンター4F和室(地下鉄後楽園)
3月4日(土) 14:00〜 「LittleBirds-イラク 戦火の家族たち-」上映会 船橋市勤労市民センター(船橋南口)
3月4日(土) 18:00〜 板垣雄三講演会「イラク戦争とは何か・21世紀の世界を考える」 渋谷勤労福祉会館2F(渋谷公園通り)
3月4日(土) 18:00〜 毎週アクション「反戦意思表示」 新宿駅西口地下広場
3月5日(日) 13:00〜 国際女性デイ「ひろげよう平和、つなげよう世界と、
 だから、憲法は変えない」
東京ウィメンズプラザホール
 (地下鉄表参道7分)
3月5日(日) 13:30〜 千高教組東葛支部教研「沖縄修学旅行」 初石公民館(東武野田線初石5分)
3月5日(日) 13:30〜 都立大学に何が起きたのか〜総長の2年間 茂木俊彦 あくろすホール(京王線国領北口コクティ3F)
3月5日(日) 14:00〜 空母艦載機部隊受入是非・岩国住民投票人文字行動 錦帯橋下河川敷地
3月5日(日) 15:00〜 シャパ・ベトナム・チャリティコンサート カトリック麹町教会ヨセフホール(四ッ谷4分)
3月6日(月) 15:00〜 アジアの児童売春〜旅行業界が取り組んだCSR 要申込 味の素本社会議室(地下鉄宝町4分)
3月6日(月) 18:30〜 小森陽一連続講座
 「日本の近代文学と憲法−大江健三郎と憲法」
エデュカス東京
3月8日(水) 13:00〜 「男女ともに仕事と生活の調和を!」フォーラム
 均等法20年各政党に聞く
憲政記念館講堂
 (地下鉄国会議事堂前,永田町8分)
3月8日(水) 13:30〜 海南島戦時性暴力被害訴訟 東京地裁103
3月8日(水) 15:00〜 アジアの児童売春〜旅行業界が取り組んだCSR 要申込 味の素本社会議室(地下鉄宝町4分)
3月8日(水) 18:30〜 改憲の論理を打破し国民多数の結集を 前田堅一郎 船橋市勤労市民センター(船橋南口)
3月9日(木) 13:30〜 再発防止研修取消裁判 東京地裁710
3月9日(木) 13:30〜 葛飾ポスティング弾圧裁判 東京地裁104
3月9日(木) 18:30〜 共謀罪新設阻止・大集会 星陵会館(地下鉄永田町7分)
3月9日(木) 19:00〜 DAYS JAPAN 創刊2周年記念集会 文京シビックホール小ホール(地下鉄後楽園)
3月10日(金)
 〜23日(日)
10:00
〜19:00
国境なき医師団日本・写真展
 「コンゴ民主共和国・忘れられた戦争」(最終日〜13:00)
新宿パークタワー1Fアトリウム
3月10日(金) 19:00〜 憲法・教育基本法の破壊を許さない! 市民集会 セシオン杉並(地下鉄東高円寺5分)
3月11日(土)
 〜12日(日)
13:00〜
9:00〜
今こそ憲法・教育基本法を生かし、子どもに安心と希望を
 子どもを守る文化会議 池田香代子
不二女子高等学校(京成八幡2分)
3月11日(土) 13:00〜 「講師のつどい」
 志願書の書き方・勉強法・講師の待遇・合格体験など
千葉県教育会館304
3月11日(土) 13:30〜 17年間の続柄裁判を終えて「なくそう婚外子・女性への差別」 渋谷勤労福祉会館2F(渋谷公園通り)
3月11日(土) 13:30〜 「米軍再編」焦点の現場から 長元朝浩(沖縄タイムス東京) かながわ労働プラザ(JR石川町北口5分)
3月11日(土) 13:30〜 共謀罪を考える市民集会
 「冗談のつもりだった」は通じない!?Part3
京都弁護士会館地下ホール
 (京都市中京区丸太町通富小路下ル西側)
3月11日(土)
 〜12日(日)
14:00〜 他言無用LIVEin永田町
 石倉直樹、松崎菊也、すわ親治
社会文化会館(地下鉄永田町3分)
3月11日(土) 14:30〜 平和コンサート&デモ 上野水上公園
3月11日(土) 14:30〜 東京地理教育研究会 吉村貴之
 国際移動と祖国〜1920年代のアルメニア救援委員会
地理教育研究所
 (市ヶ谷12分・三番町ハイム601)
3月11日(土) 15:30〜 障害のある人たちのアート活動と作品〜サンフランシスコ・日本 松戸市民会館(松戸東口)
3月11日(土) 18:00〜 毎週アクション「反戦意思表示」 新宿駅西口地下広場
3月11日(土) 18:00〜 映像と音楽のシンクロ 地球のステージin四街道 桑山紀彦 四街道市文化センター大ホール
3月13日(月) 10:00〜 ピースリボン裁判 証人尋問 東京地裁703
3月13日(月) 18:30〜 三・一独立運動記念講演会 徐京植 信濃町教会(JR信濃町3分)
3月14日(火) 13:15〜 国立二小不当処分撤回裁判 東京地裁710
3月16日(木) 14:00〜 「雇用機会均等法」学習会 セクシュアル・ハラスメント 千葉県教育会館7F会議室
3月16日(木) 16:00〜 都立文京高校定時制退学処分取消訴訟 東京高裁825
3月17日(金) 19:00〜 保坂展人が新宿で吠える!「死刑廃止は可能なのか?」
 ゲスト:岡留安則
新宿百人町ネイキッドロフト(西武新宿北口
 新宿職安通り百人町ビル1F)
3月18日(土) 13:30〜 World Peace Now! 日比谷野外音楽堂
3月18日(土) 13:30〜 韓国民主化運動を支援した日本の人びと
 なぜ支援し、何を学んだのか 朴ヒョンギュ、東海林勤他
キリスト教会館6AB(地下鉄早稲田)
3月18日(土) 13:30〜 歴史教科書いままでとこれから 明治大学研究棟4F第1会議室(御茶ノ水5分)
3月18日(土) 17:00〜 身近な環境問題を考える 渡部二三夫 京成労働会館(京成津田沼5分)
3月18日(土) 18:00〜 リレートーク反戦集会 重信メイ・林克明・松尾晴紀
 「自衛隊をイラクから撤退させよう、イラン攻撃反対」
渋谷勤労福祉会館第1洋室(渋谷公園通り)
3月18日(土) 18:00〜 毎週アクション「反戦意思表示」 新宿駅西口地下広場
3月19日(日) 10:30〜 生かそう憲法9条・NO庶民増税 流れ、変えよう県民集会 千葉公園運動広場
3月19日(日) 14:00〜 イラク反戦国際行動 3.19東京集会 芝公園23号地
3月19日(日) 15:00〜 こまつ座公演「兄おとうと」 市川市文化会館大ホール(本八幡南口)
3月20日(月) 10:00〜
13:30〜
予防訴訟 30分前抽選 東京地裁103
3月20日(月) 18:30〜 チ・ブルグッド&HEMELL 馬頭琴コンサート 佐倉市民音楽ホール(京成臼井6分)
3月21日(火) 13:30〜 横田基地のミサイル防衛基地化に反対し、
 米軍再編計画の撤回を求める横田行動
福生市民会館(青梅線牛浜7分)
3月22日(水) 13:30〜 国公法弾圧堀越裁判 論告求刑 東京地裁104
3月22日(水) 16:30〜 大泉ブラウス裁判 判決 東京地裁710
3月23日(木) 10:00〜 板橋高校「日の丸・君が代」刑事弾圧裁判第14回公判 結審 東京地裁104
3月24日(金) 19:00〜 どうなる!日本の医療制度 阿部知子 保坂展人事務所(小田急経堂2分)
3月25日(土) 14:00〜
15:50〜
「教えられなかった戦争 中国編」上映会
高岩仁監督講演
板橋文化会館大会議室(東武東上線大山)
3月25日(土) 14:00〜 教育基本法・憲法の改悪をとめよう!大阪集会 アピオ大阪(地下鉄,JR森ノ宮)
3月25日(土) 18:00〜 米軍再編と新安保宣言を問う 文京区民センター2A(地下鉄春日)
3月25日(土) 18:00〜 毎週アクション「反戦意思表示」 新宿駅西口地下広場
3月27日(月) 13:30〜 国公法弾圧堀越裁判 最終弁論 東京地裁104
3月28日(火) 18:30〜 社民党憲法学校 伊藤真
 「生きていくための憲法/自民党新憲法草案徹底批判」
社会文化会館3F第1会議室
 (地下鉄永田町5分)
3月29日(水) 10:00〜 強制連行福岡裁判判決 福岡地裁
3月29日(水) 13:25〜 ジャマルさん難民認定裁判 東京地裁606
3月29日(水) 18:30〜 ジャマルさんを救え!ドーガンさんを守れ!
 難民(入管)行政の変更を求める市民集会
豊島勤労福祉会館大会議室
 (池袋メトロポリタン口7分)
3月31日(金) 16:00〜 奥本市長を取り囲む人間の鎖
 「高槻市に多文化共生の輪をつなごう!」
高槻市役所
3月31日(金) 18:00〜 教育基本法・憲法の改悪をとめよう! 3.31全国集会 日比谷野外音楽堂
4月1日(土) 18:00〜 毎週アクション「反戦意思表示」 新宿駅西口地下広場
4月2日(日) 14:00〜 なぜ憲法・教育基本法を変えたい!?
 新自由主義・国家戦略と私たちの社会 大内裕和
国分寺労政会館(国分寺南口5分)
4月7日(金) 19:30〜 保坂展人・世直しトーク「自民党とミミズ」 栗本慎一郎 新宿百人町ネイキッドロフト(西武新宿北口
 新宿職安通り百人町ビル1F)
4月8日(土) 18:00〜 毎週アクション「反戦意思表示」 新宿駅西口地下広場
4月9日(日) 14:00〜 第2次朝鮮戦争阻止! 4.9労働者集会 金石範 渋谷区氷川区民会館(渋谷15分)
4月14日(金) 18:30〜 歴史連続講座3 姜尚中 セシオン杉並大ホール(地下鉄東高円寺5分)
4月16日(日) 10:00〜 チェルノブイリ原発事故20年 ユーリー・シチェルバク他 国立オリンピック記念青少年総合センター
4月19日(水) 14:30〜 増田さん「都教委個人情報漏洩」糾弾裁判結審 東京地裁626
4月20日(木) 18:30〜 社民党憲法学校「9条が変えられた日本」
 前田哲男・水島朝穂
社会文化会館3F第1会議室
 (地下鉄永田町5分)
4月22日(土) 10:00〜 「講師のつどい」教職教養対策1 千葉県教育会館304
4月22日(土) 13:00〜 卒業式はどうだったか?入学式はどうだったか?
 情勢全体の動きはどうだったか? 4.22集会
文京区民センター(地下鉄春日)
4月25日(火) 10:30〜 行徳高校教育裁判 10:00教育会館201集合 千葉地裁

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