ひのきみ通信 第98号

2004年6月11日


難民キャンプの少女(パキスタン)
難民キャンプの少女(パキスタン)

目次

私は「日の丸・君が代」強制で不当解雇された 都立高校嘱託員 前川鎭男
無抵抗は苦しみを増すばかり
 「東京都教育委員会の暴走を止めよう!ネットワーク
 5.22結成集会」と都教委による新たな処分について
渡部秀清(船橋東高分会)
I高校石井先生への文書訓告に強く抗議し、
 その撤回を強く求める     2004年6月8日
「日の丸・君が代」対策委員会
研修不承認問題の現状 渡し舟2004 第8号
                措置要求書
                思考整理
橋本洋一(松戸矢切高分会)
編集後記 *ソフィーの愛人*
お知らせ

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私は「日の丸・君が代」強制で不当解雇された

都立高校嘱託員 前川鎭男

 私は長く千葉市に住み、三六年間都立高校で働いてきた。そして昨年三月定年退職し、引き続き嘱託員として教壇に立っていた。その生活は思いのほか充実し、この四月からも働けるものと楽しみにしていた。
 ところがこの春の卒業式の「国歌斉唱」の際、国旗に向かって起立し、歌うよう指示されていたにもかかわらず立たなかったら、「勤務成績が良好」としてもらっていた採用合格が、三月三〇日になって、たった一度の四〇数秒の不起立をもって「勤務成績が良好と認められず」と取り消され、実質解雇された。このことが余りにも理不尽で突然だったために心の中にはぽっかりと穴が開き、その穴は未だ埋まらない。
 なぜ私は立てなかったか、その理由は二つある。一つは、教育に強制は許されないということである。都立高校の良さは各学校に特色があり、自由と自主が尊重され、のびのび高校生活をおくれるところにある。しかし、ここ数年は管理と強制がはびこり、生徒も教師も窒息寸前である。職務命令を出してまで「国歌斉唱」を強制するのはその総仕上げである。よって三七年間の長きを過ごし、愛した学校を守るためには不起立しかなかった。
 この間、多くの先生が悩み、苦しんだ。卒業学年の先生は「式を混乱させられない」として、音楽の先生は「強制でピアノは弾けない」として、また別の先生は「生活がかかっている」として… 幾多の先輩に育てられた自分がこうした先生のためにできることは勇気を出して座ることだった。これがもう一つの理由である。処分が明らかになった直後に、ある先生は「前川先生は我々の代表で『不起立』し、代表で処分を受けた。これから先、私にできることがあったら言って下さい」とエールを送ってくれた。最後まで悩み、行動したくてもできなかった先生が多くいる。
 生徒と私を引き裂き、都立高校を破壊しようとする、このような暴挙は断じて許せない。今後は、胸にある悔しさと悲しさを闘うエネルギーに替えて、不当な解雇を撤回し、再び生徒の待つ教室に帰れるよう闘う。

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無抵抗は苦しみを増すばかり

「東京都教育委員会の暴走を止めよう!ネットワーク5・22結成集会」と都教委による新たな処分について

渡部秀清(船橋東高分会)

 5月22日、東京の星陵会館に、「予防訴訟」の会・被処分者・被解雇者とそれを支援する人々ら220名が結集、上記ネットワーク結成集会が開かれました。
 集会では、はじめに「予防訴訟」弁護団長の尾山弁護士から「日本社会はすでにファシズム社会になりつつある、この集会はそれに立ち向かう大きな意味を持つ。誇りを持って闘って欲しい」との挨拶があり、その後、加藤弁護士をはじめ、多くの被処分者、被解雇者、保護者、市民らから次々と発言がありました。そして最後に、「私たちは今後、組織や意見の違いを乗り越え連帯の輪を広げ、都教委の暴走を止め、教職員の人権と子ども達の未来を守るため、共に奮闘しあうことをここに宣言します」とする『結成集会アピール』が採択され、「行動提起」がなされました。
 ネットワークにはすでに約100名の方が参加しています。団体でも教科書全国ネット21などが賛同しています。ネットワークに参加なさりたい方、詳しい情報を知りたい方は私の方までご連絡ください。
 なお、<集会アンケート>には、次のような声が寄せられました。

  • 非常によかった、勇気付けられた、人は信ずることができると。一人一人の言葉が輝いていました。石原と都教委に怒りがいっぱいです。絶対に勝ちたい。(立川市Oさん)
  • とても大きな勇気をもらいました。東京での今回の闘いは全国に大きく波及すると思います。大阪でも連帯して頑張りたいと思います。予防訴訟の闘いが、東京の教職員の皆さんの団結を作り出し、今回の多くの方々の良心をかけた教職員の皆さんの闘いを作り出していると思いました。(大阪府Mさん)
  • 現場の教育労働者の報告が重要だし、各々の中身に励まされました。尾山弁護士のお話しが良かったです。ネットワークは団結の土台だと思います。(相模原市Tさん)

 その後の5月25日、都教委は卒・入学式における処分を発表しました。

  1. 不起立等の職務命令違反として、40名を戒告などに(うち、3名は卒業式に引き続き入学式においてもというので「減給10分の1、1月」)。
  2. 「学習指導要領に基づいて国家斉唱時には起立して国家斉唱をするよう適切に指導すべきであったにもかかわらず、生徒に不起立を促す発言をするなど不適切な指導等が行われた」として、59名を厳重注意などに。

 この2.について、「予防訴訟」の加藤弁護士は次のように述べています。
 「これまでの処分以上に不当なものだと思う。生徒の内心の自由までも規制するもので、憲法違反だ。提訴なども含めて検討したい。」(5月26日付『朝日新聞』)
 この2.処分では、不起立などをしなかった無抵抗な教員も多数対象になっています。以下にその具体的内容を示しておきます。

(2003年度の卒業式10校、いずれも都立)

  • 九段高校(全日制)<教員の不適切な言動等> (厳重注意・注意)
2人
  • 市ヶ谷商業高校(全日制)<指導不足による生徒の不起立等>(注意・指導)
5人
  • 杉並高校(全日制)<教員の不適切な言動等> (厳重注意)
3人
  • 向丘高校(定時制)<指導不足による生徒の不起立等>(注意・指導)
6人
  • 板橋高校(全日制)<指導不足による生徒の不起立等>(厳重注意・注意・指導)
9人
  • 志村高校(全日制)<指導不足による生徒の不起立等>(指導)
5人
  • 荒川商業高校(定時制)<指導不足による生徒式場への不参加等>(指導)
11人
  • 南葛飾高校(定時制)<指導不足による生徒の不起立等>(注意・指導)
10人
  • 小松川高校(定時制)<指導不足による生徒の不起立等>(注意・指導)
5人
  • 昭和高校(定時制)<教員の不適切な言動等>(厳重注意・注意)
3人

(2004年度の入学式3校、いずれも都立)

  • 八王子高校(定時制)<指導不足による生徒の不起立等>(注意・指導)
 6人
  • 永山高校(全日制)<定められた職務場所からの離脱>(注意)
1人
  • 足立養護<定められた職務場所からの離脱>(注意)
1人

 しかも、「今後の対応」として、「処分等を受けた教員等については、適正な教育課程の実施及び再発防止に向けて、以下のとおり命令研修を行う。」(アンダーラインは筆者、以下も同様)とし、[1]研修センター等における研修、[2]学校における校内研修、[3]適正実施に向けた取組、が強制されようとしています。そして、処分者等を出した学校の校長・副校長・主幹は、全員「命令研修」の対象者となり、研修センターでの「研修終了後、校長は全教職員に対し育成計画を立て、課題校として進行管理を行うとともに、適正な教育課程の実施に向けた校内研修を行う」とされています。また「戒告・減給」の処分を受けた教員等は、研修センターで<服務事故再発防止研修>が課せられることになります。その内容は、「戒告」の場合は1日ですが、午前は「説諭1時間」「訓話2時間」、午後は「報告書作成2時間」、「報告書指導1時間」、その他に「研修会受講」もあります。そして、監督責任者(校長)は「勤務状況報告」(1ヶ月間)が義務付けられます。「減給」の場合はこうしたことが3日間続き、「勤務状況報告」も(3ヶ月間)です。
 これは、――「日の丸・君が代」には決して逆らうな、逆らえば処分だ、また無抵抗でも許されない、疑問も抱かず生徒たちに「日の丸・君が代」を叩き込む教員になれ、そうでなければ教員の資格がない――と言っているのに等しいものです。こんなことが現憲法・教育基本法の下で許されるのでしょうか。明らかに憲法違反・教育基本法違反です。
 今回の教員たちの行動は、憲法で保障された基本的人権(「思想・信条の自由」「表現の自由」など)を行使したものに他ならず、さらに生徒たちにしても同じです。したがって、これは決して<服務事故>などではありません。しかも、被処分者たちの多くは、すでに「予防訴訟」を起こしており、人事委員会への「不服審査申立」もしています。(5月27日現在、「予防訴訟」原告345人、「不服審査申立」者149人)。つまり係争中なのです。しかし、都教委はそれをも権力的に封じようとしているのです。
 都教委がやっていることは、明らかな違法・犯罪行為です。こうした動きに黙っていたのでは、東京のみならず日本社会はとんでもない社会になってしまいます。
 こうした都教委の暴走をとめるために、今回結成されたネットワークでは、来る8月30日(月)15時30分から、新宿柏木公園発の都教委包囲デモを計画しています。
 一緒に行きましょう。

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I高校石井先生への文書訓告に強く抗議し、その撤回を強く求める

2004年6月8日
「日の丸・君が代」対策委員会

 千葉県教委は5月28日、県立I高校の石井先生に対し、文書訓告を出した。
 その訓告書には次のように述べられている。
 (去る4月7日の入学式において)「『国歌斉唱』の際には不起立であることのないよう、事前に校長から職務命令として指導されていたにもかかわらず、着席した。あなたのこの行為は、上司の指示に反する行動であり、厳粛に挙行されるべき式典において、生徒及び保護者に不信感を与えたものであり、教育公務員として極めて遺憾である。今後、再びこのような行為を起こすことのないよう十分に注意されたい。」
 ここには特に、二つの大きな問題点がある。
 先ず第一に、「職務命令として指導」とあるが、「職務命令」は「指導」ではなく、明らかな「命令」ではないか。教育基本法第10条には、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と定めてある。また、「国旗・国歌法」制定当時、政府は「強制するものではない」と繰り返し、憲法でも「思想及び良心の自由」「表現の自由」が保障されている。したがって今回の「職務命令」や「上司の指示」は、「不当な支配」に他ならない。石井先生はそうした「不当な支配」に服することなく、彼自身「国民全体に対し直接に責任を負って」行動したのである。今回の「職務命令」を出した校長とそれを後押した県教委の方こそが違法行為をしており、国民全体から糾弾・処分されてしかるべきなのである。
 第二には、「生徒及び保護者に不信感を与えた」と言うが、どこにそんな証拠があるのか。本人は「不信感を与えたなどということはない」と言明している。何をもって県教委はこのように断ずるのか。何らの証拠も示すことなくこのように断ずることは、本人に対して濡れ衣を着せているのに等しい。「国旗・国歌法」が制定された当時も、国民の世論は二分していた。現在でも、「国旗・国歌」を強制されることに対しては、多くの国民が反対している。生徒や保護者の中にも反対の者はいる。そうした生徒や保護者から見れば石井先生の行動は賞賛されこそすれ、「不信感」を与える行為などでは決してない。「不信感を与えた」というのは、処分のために校長と県教委が作り出した根拠のない口実に他ならない。
 したがって我々は、今回の文書訓告に対し怒りを持って抗議する。また、県教委は本人に謝罪し、「職務命令」と文書訓告を即刻撤回するよう、強く要求する。

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研修不承認問題の現状

橋本洋一(松戸矢切高分会)

 4月13日の創立記念日に研修承認願を提出したにもかかわらず校長により不承認とされ、欠勤扱いにされてしまった橋本さんから、現状に関する以下のような資料をいただきましたので、掲載します。

編集責任 *ソフィーの愛人*

渡し舟2004 第8号 2004/5/17

編集橋本洋

措置要求書原案をご覧下さい

 過日「緊急措置要求」の原案を分会内に配布し、かつ高教組本部にもファックス送信しました。
 本部からは、役員での議論もふまえて、研修の中身で論争しないで欠勤報告だけを問題とするのはいかがなものか、とのアドバイスが返ってきました。
 私は素直にそのアドバイスを受け入れて、この土日で正面から論争する措置要求書を書いてみました。あんまりうまく書けませんでしたが、以下にくっついてるものがその原案です。ご覧いただいていろいろお教えいただけたら幸いです。
 一方、中間試験中の午後研修に関して、先週金曜日に「承認願」を提出した橋本洋・林の両名に対し、「不承認」という返答が校長からありました。校長サイドの言い分からすれば、一貫性保持のためにはここは頑張っちゃうトコだと思います。問題はむしろ当該日に《実力行使》する両名をどう扱うかでしょう。
 今回の試験中の午後研修については柳下さんが「承認願」にこちら側の主張を整理した《かがみ》をつけて提出しました。読ませてもらいましたが、クリーンヒットという印象です。さて、柳下さんには何と回答してくるか。続報をご期待ください。
 措置要求書を書き上げてから本部書記長の佐久間さんにメール送信しました。その中で、付随する「私の考え」を展開したので、そこも読んでいただけたら、と思います。
 さらに、夢のお告げもあり、今回の問題の勝利への戦略も見えてきたので、その点を備忘メモ的に述べておきます。
 まずは、分会の皆さんの力を結集して、早期に「措置要求書」を完成します。
 次にそれを職場全体に配布して、朝会か職員会議で橋本が措置要求することを発表します。
 そして、措置要求の「代理人」の募集をかけます。
 「代理人」に何ら義務はないです。ただ名前を出して、精神的な支持を表明するだけです。これを職場の過半数までもっていきたい。組合員は8人。今までのいきさつからその倍ぐらいはすぐに支持者が集まるでしょう。それからが「勝負」ですが、私としては最大限の努力をするつもりです。旗幟鮮明にすることは組合員以外ではきついでしょうが、ことはみんなの利益に直結しているので、可能性はあるだろうと思っています。

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2004年5月17日

千葉県人事委員会様

措置要求書

橋本洋一

                                                                      私は
地方公務員法第46条に基づき、下記の通り、千葉県教育委員会等による適当な措置が執られるべきことを要求します。

1.要求者の所属部局     千葉県立松戸矢切高等学校
          職氏名     教諭  橋本洋一
        生年月日     昭和25年10月27日
            住所     千葉県松戸市大金平4−298−4

2.要求事項
  1. 2004年4月13日に、私こと橋本洋一が「欠勤」したとする認定を取り消すこと。私は「欠勤」などしていません。
  2. 当該日の服務整理を「研修」とすること。

3.要求理由
 〈第1〉あまりにも非道な経緯について
 私は、松戸矢切高校の創立記念日にあたる本年4月13日に自宅にて「研修」を行うため、4月9日「研修承認願」を提出しました。しかし、本校の木村行幸校長は独自の理由をつけて、「願」の受理をせず、研修は「承認できない」としました。
 当日午後4:30からこの問題をめぐって急遽話し合いが行われ、その席で私は千葉高教組中央執行委員長から発出された各校長あての「要請書」(資料1参照)を手交して、県教委と職員組合との「確認事項」(本年2月16日実施)には、[4]課業期間中に研修が承認される「特別な場合」に、定期考査の午後、創立記念日、県民の日も含まれると明記されていることを指摘しました。
 しかし、校長は言を左右にして、論理性のない理解不能の話を繰り返し、研修承認願をついに受け取りませんでした。
 私はやむなく当該日前日、教頭の机にそれを置いて帰宅しました。
 当該の4月13日の朝、教頭から私のところに電話があり、「研修願は受け取れない。学校に来るか、年休を取るか、どちらかにするように」という通知がありました。
 私は、9日の校長との話し合いで校長が何を言いたいのか、法例や通知をどのように解釈しているのかまったく理解できなかったので、教育公務員特例法と高校教育課長発出の通知「教高第254号」(平成14年3月29日)を再度読み直したうえで「創立記念日の研修願は承認されてしかるべき」と確信し、服務整理については翌日14日以降に再度話し合いを求めようと考え、研修を取得しました。
 校長との話し合いは4月15日の午後5時過ぎから2時間近くにわたって行われました。そして、木村校長が何を考えているのかがようやくわかってきました。と同時に、校長の考え方のどこにミスがあるかもはっきりしてきました。話し合いに参加した教員が口々にそのミスを指摘しましたが、校長は議論があまり得意でなく、まともに論理をより合わすことができず、結局は「聞く耳を持たず」という対応に終始しました。
 そして、4月19日になって私を呼び「当該日を年休処理しないなら欠勤とする」と通告してきました。私はすぐに話し合いの継続を要求しました。
教頭の年休などもあって、結局話し合いは4月22日の午後5時から行われました。しかし、木村校長は頑なで、出席した教員のさまざまな主張について、要するに「聞き流し」をしていました。教員として、という以前に、人間としての誠意やまじめさやモラルを疑いたくなるような態度でした。
 私は「対抗」するために、当該日の「研修承認願」と「報告書」が確かに「ある」ことを確定しようと考え、4月27日に木村校長あて「内容証明郵便」(別添資料2)を発信しました。しかし、これについても完全に無視されて終わりました。
 5月6日朝、出勤簿を見たところ私の4月13日のところに「欠勤」というハンコが押してあって、私ははじめて「欠勤」の認定が正式に行われたことを知りました。その日の放課後に職員会議があったので、私は抗議の意思を表明しました。
 このような「問答無用」の権力的対応は教育現場にふさわしくないということを指摘したいと思います。
 教員をいじめておいて「イジメをなくす教育」はできないでしょう。
 話し合いを大切にしないなら「民主教育」は成り立たないと思います。
 私は25年以上にわたり誠実に職務に専念してきたつもりです。欠勤なんて一日もなかったです。
 まじめに精一杯、及ばずながら、教育のことを考えてきました。
 「欠勤」など絶対に受け入れられるものではありません。
 こんな非道を冷酷に行う管理職の下では安心して仕事ができないです。
 せめて、もう少し丁寧に話し合うようにしてください。

 〈第2〉私の研修に関する主張
 研修に関する根拠法律は教育公務員特例法だと認識しています。
 学校5日制が完全実施になった2002年度から、研修承認の手続きが変更されており、その変更内容は「教高254」の通知によって各校長に伝えられているものと理解しています。また、校長は所属職員への「周知」も求められていたはずです。校長も所属職員も「254通知」を基準として行動しています。
 課業期間中の研修について「特別の場合を除いて承認すべきでない」ということを通知文書は言っているので、研修の承認権を持っている各校長といえども、課業期間中の研修については「自由に認める」ということは許されなくなったものと解しています。すなわち「特別の場合のみ各校長の承認権が生きてくる」ということでしょう。
 ここで、当然にも「特別の場合」とはどういう場合かが問われてきます。
 しかし、その答えは単純ではない。
 例えば、大学のある「公開講座」にどうしても参加したいという職員が「研修願」を提出した場合、それを承認するか、しないかは、それを「特別な場合」と(校長が)認めるかどうかで、承認・不承認の判断が分かれてくるはずです。
 また、あるシンポジウムや学会がその日一日しか開催されない場合、それに参加するための研修を承認するか、しないかは、そのシンポジウムや学会を「特別」と見るかどうかという各校長の判断によって、対応が2通りに分解するでしょう。
 これら以外にも、判断が分解してしまう事例は数多あると思います。
 しかし、各学校ごとに生徒の状況、年間計画、人事構成が一様でないのですから、逆にいうと、そのぐらいの校長「裁量」の幅は、今回の通知にもあるということだと思われます。(ちなみに県教委は如上の2例のようなものについては、研修承認してよいという口頭指導をしていると聞いています)
 さて、通知254が発出されて以来、千葉県高等学校教職員組合は「特別な場合」とはどのような場合なのかということを教育委員会と議論してきました。職員の勤務条件や労働環境に配慮する職員団体として当然の交渉だったと思っています。
 そして、「特別な場合」には、前述のようにさまざま判断が分裂するような事例があるにしても、「定期考査の午後、創立記念日、県民の日も含まれる」(下線は橋本)という確認を何度もしてきているわけです。
 以上のことから私は「創立記念日の研修願は承認されてしかるべき」と確信した次第です。
 本校の木村行幸校長がどのような意見を提出するかは謙虚に待ちたいと思いますが、話し合いの折々に「創立記念日に公開講座がぶつかれば承認する」という趣旨のことを言っているようです。もしその理屈が認められるなら、職員団体はわざわざ課業期間全体について適用されている「特別な場合」を創立記念日等に限定したということになり、天と地がひっくり返るような論理となります。(わざわざ職員団体が職員の不利益になるような交渉確認をしたことになってしまいます)
 よって、木村校長の考え方は明らかにミスだと思います。
 また、論理性で破綻してきてから木村校長は、校長の裁量権の無限性(「私が認めないと言ったら認めない」)を前面に押し出してきています。しかし、校長もまた法例・通知によって羈束される行政主体であり、現に「通知254に従う」という発言を繰り返しているわけです。当然のことながら、校長は「殿様」ではありません。教特法の趣旨を大前提として、条例・規則・通知に基づいて、県の指導の範囲内で承認権は行使されなければならないのです。
 以上述べたことを直接校長に語りかけたいと願っていますが、話は「聞き置く」だけとなっています。話を聞いて、まともに反論し、私(たち)を説得する努力がまったく不十分です。
 千葉県教育委員会等による適当な措置が執られるべきことを要求する所以です。

以上

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[思考整理]

橋本洋一

 昨日の昼間に措置要求を一応書き上げて、それからいろいろ考えてみました。
 校長は何と言ってくるか。
 おそらく渡部さんの事案で出してきた「意見書」などから推定するに、見当違いの「緊急性や必然性」論議を展開してくるのでしょう。きっと。
 つまりこちらの論理展開とは次元をずらせて(争点をはぐらかして)「勤務場所を離れなければならない必然性が不明確だった」とか「当該研修が職務と密接な関連性があり、今後の職務遂行上有益であるなど職専念義務を免除するのにふさわしいもの、ではなかった」とか言ってくると思います。
 これらは私の措置要求では「大学の公開講座」や「その日だけのシンポ・学会」という例として言及済みなのに、すっとぼけて繰り返して来るでしょう。
 これらすべてが「課業期間全体を覆っている向こうの判断基準だ」ということは、当否はともかく、もうわかっています。
 本当はそこも論議したいけど、正直言って水掛け論になるだろうから、今回はその部分を《放置》している。
 その上で、組合が確認した「特別の場合」では、そうした「緊急性・必然性」論議が《消滅》して、研修承認されるというところに「確認」の意味がある。
 絶対に《消滅》するんだという自覚を持つ必要がある。
 措置要求書にも書いたとおり、《消滅》しないまま、「創立記念日は特別な場合に含まれる」と確認したとしたら、かえって課業期間全体で承認される研修を組合の「確認」が狭めるというアホなことになってしまう。
 よって私は今の段階で、措置要求よりは本部の「怒りの対県交渉」に期待したい。措置要求はいつでも提出するけれど。
 このまま木村校長の主張が通るようなことがあれば、組合交渉と「確認」は、なかった方がまだましだったというところに追い詰められる。
 矢野委員長には交渉のテーブルをひっくり返すほどの覚悟で県の役人を叱り飛ばしてほしい。
 「組合が交渉して確認したことを悪用して、創立記念日などにまで必然性・緊急性を求めるのか」と。
 「組合が2年以上にわたって信じてきたことは幻だったのか」と。
 常々思っていることですが、ひら場の「闘い」を梃子にして、交渉に迫力を持たせて、本部の交渉で何か成果を出してもらいたい。
 従来、その認識が本部に脆弱で、現場がそれぞれに何事かを獲得すべきと思ってきたふしがあり、それが組合離れに繋がっていたと思う。
 そろそろ、本部の奮闘で組合への信頼(頼りがいがあるという思い)を回復して、組織を盛り返しましょう。
 現場がストライキを構えることで、中央の交渉に迫力が出る。
 以前にちらっとしゃべったと思いますが、ストライキは構えることに最大の意味があって、それを背景にして交渉で何かを勝ち取るのだと思います。
 もちろん相手が舐めてきた場合には、整然とストを貫徹しなくては、次が続かなくなる。そのためにストを打つ。
 でも、突入するよりは突入しないで済むように本部は交渉で頑張らなくてはならない。
 スト礼賛は、スローガンとしてはよいけれど、組合戦略としてはヘタなのだと自覚したい。
 措置要求も、構えているところまでで大方の役割は終了する。
 渡部さんのように提出してからも「闘い」はあるけど、もはや「闘い」自体を目的にしないと、やりきれなくなる。
 私は大昔に二度にわたって「橋本事案」を闘い、人事委員会の「判定」で、体が震えるほどの怒りを感じたことがあるので、実は措置要求は出したくない。
 でも、弁護士や組合本部の方たちのアドバイスを受けて、提出して、渡部さんと共に最後まで闘う覚悟はしている。
 だがしかし、ここしばらくの間、本部の「こんなめちゃくちゃで組合員に賃金カットなど出させるわけにはいかない」という覚悟を持った交渉に期待したい。
 本部役員の、組合員一人ひとりへの「思い」が試されている、と言ったら《不快》でしょうか。

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編集後記

 4年ぶりに「ひのきみ通信」の編集を引き受けることになった。この間、日本の政治の右傾化は目を覆うばかり。まさに日本はファシズム国家と化してしまったようである。教育基本法改悪が差し迫った問題であるが、学校現場ではすでに、東京を先頭に、改悪先取り状況が進行している。教育基本法改悪は憲法改悪の一里塚と言われることがあるが、これは正確な言いかたではない。憲法と教育基本法は戦後民主主義を支えた車の両輪なのであり、いまその片方が外されようとしているのである。これが完全に外されたとき、日本の民主主義は半分死んだと言うべきであろう。そして、動かなくなった車のもう片方の車輪を外すのはたやすいことである。
 その暁には、わたしたちの運動の目指すところは日本の民主主義の復活ということになるのであろうか。

*ソフィーの愛人*

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お知らせ

4月17日(土)
-6月27日(日)
  「YES オノ・ヨーコ」展 東京都現代美術館
5月31日(月)
-6月18日(金)
13:30〜 「ヒバクシャ−世界の終わりに」 アップリンク・ファクトリー(渋谷区神南)
6月11日(金) 18:30〜 共謀罪に反対する市民の集い 斎藤貴男,海渡雄一,山下幸夫 文京区民センター(地下鉄春日)
6月11日(金) 18:30〜 日の丸・君が代命令・強制から教育を守ろう 梅ヶ丘パークホール(小田急梅ヶ丘1分)
6月11日(金) 19:00〜 東京電力と劣化ウラン 山崎久隆
 −日本の原発の廃棄物が劣化ウラン兵器に使われている−
たんぽぽ舎(水道橋4分)
6月12日(土) 13:00〜 シンポジウム「普通高校の中の障害児たち」 千葉市中央コミュニティセンター(市役所前)
6月12日(土) 13:30〜 「高木仁三郎著作集」出版記念会 日本青年館(千駄ヶ谷)
6月12日(土) 14:00〜 江藤正修さんを励ます集い 会費:8000円 アジュール竹芝
6月12日(土) 14:00〜 杉並ほっとコミュニケーション 戦争と子ども 坂本龍彦 高井戸地域区民センター(井の頭線高井戸)
6月12日(土) 14:00〜 あふれ出る情報の中で、語られない"真実"
 そして今、パレスチナの人びとは 清末愛砂
国分寺労政会館
6月12日(土) 14:00〜 ミーナの生涯にみるRAWAの思想と闘い 前田朗 エルおおさか(京阪・地下鉄天満橋5分)
6月12日(土) 16:00〜 「子どものために」という前に 青木悦 茗台生涯学習館(丸の内線茗荷谷10分)
6月12日(土) 18:00〜 学校に自由の風を!ゆるせない!「日の丸・君が代」大量処分
 とめよう!心をしばる教育を 天木直人,斎藤貴男,神保共子
中野ゼロホール(中野南口8分)
6月12日(土) 18:00〜 「戦争の時代」と女性天皇制 北川れん子 文京区男女平等センター(本郷三丁目)
6月12日(土) 18:30〜 グローバルスタンダードで戦後補償を考える! 前田朗他 エルおおさか(京阪・地下鉄天満橋5分)
6月13日(日) 10:00〜 自転車でまわる習志野戦跡 千葉工大前集合(津田沼)
6月13日(日) 13:30〜 イラクにも朝鮮半島にも平和を! 日韓共同行動 南池袋公園
6月13日(日) 13:30〜 「わたしたちの教育基本法」を読む 大田尭 蘇我勤労市民プラザ(蘇我3分)
6月13日(日) 13:30〜 イラク帰国報告 安田純平 川越福祉センター
6月13日(日) 13:30〜 平和と教育を考えよう! 市民のつどいin浜田 石坂啓 石央文化ホール(JR浜田2分)
6月13日(日) 14:00〜 StopWar! つぶせ! 有事法 6.13集会 芝公園23号地(三田線御成門)
6月14日(月) 18:30〜 靖国神社と『新遊就館物語』 西川重則 阿佐ヶ谷地域センター
6月15日(火) 13:30〜 豊中「ひのきみ」処分公開口頭審理 大阪府庁別館1階集合
6月17日(木) 13:30〜 国歌斉唱義務不存在確認訴訟 東京地裁103
6月17日(木) 18:30〜 いろりばた会議 米国先住民と核廃棄物 石山徳子
          劣化ウラン,原発の最新情報 山崎久隆,柳田真
たんぽぽ舎(水道橋4分)
6月17日(木) 19:00〜 世界の終わりと参院選ワンダーランド
 −憲法 わかもの 教育基本法− 斎藤貴男
中央市民センター大ホール
 (福岡地下鉄赤坂5分)
6月18日(金) 18:30〜 東京発の「日の丸・君が代」強制にNO!の声を 澤藤統一郎 かながわ県民センター(横浜西口5分)
6月18日(金) 19:00〜 郡山総一郎さん、自らの体験からイラクを語る 市川教育会館(本八幡南口6分)
6月19日(土) 13:00〜 増田さんと共に平和教育を進める会総会 豊島勤労福祉会館
6月19日(土) 13:30〜 イラク戦争 国益と「いのち」の重さ 池田龍雄 市川教育会館(本八幡南口6分)
6月19日(土) 13:50〜 新しい理科教科書で子どもはどうなるか、どうしていくか
 小佐野正樹
経堂地区会館別館(小田急経堂北口2分)
6月19日(土) 14:00〜 教育基本法改悪反対!神奈川集会 大内裕和、高嶋伸欣他 かながわLプラザ(JR石川町3分)
6月19日(土) 14:00〜 戦争とジャーナリストの「責任」 渡辺治、広河隆一他 全水道会館(水道橋東口2分)
6月19日(土) 18:00〜 地球の運命を握る者たち 広瀬隆 渋谷勤労福祉会館
6月20日(日) 13:30〜 シンポジウム「ここまで来た戦時体制づくり」山田朗,俵義文他 明治大学リバティホール
6月21日(月) 18:30〜 靖国神社と『新遊就館物語』 西川重則 阿佐ヶ谷地域センター
6月21日(月) 18:30〜 『発展的学習』と教科書、教材そして教育 出版労連本部
6月25日(金) 13:10〜 石綿(アスベスト)労災裁判判決公判 千葉地裁502
6月26日(土) 14:00〜 杉並ほっとコミュニケーション 戦場の女性 川田文子 高井戸地域区民センター(井の頭線高井戸)
6月26日(土) 14:00〜 こどもにとってどうなの、小中一貫校*? 藤田英典 三鷹市公会堂別館第1会議室
6月27日(日) 13:30〜 「日の丸・君が代」強制反対!!東京の闘いに学ぼう!
 6.27学習交流会 鈴木敏夫(都高教副委員長)
千葉県教育会館606(千葉)
6月27日(日) 14:00〜 教育基本法改悪を許さない京都講演会 斎藤貴男 ひとまち交流館京都(五条)
6月29日(火) 13:15〜 国労5.27臨大弾圧裁判 東京地裁
7月1日(木) 11:15〜 中国山西省性暴力被害事件裁判 東京高裁825
7月2日(金)
 〜4日(日)
  THE NEWSPAPER PART65 三宅坂ホール・社会文化会館
7月3日(土) 13:00〜 このままでいいの? 外国人差別に「寛容な」日本
 〜人種差別禁止法制定に向けて 内海愛子、山崎公士他
弁護士会館2階講堂「クレオ」(霞ヶ関)
7月3日(土) 13:00〜 教育基本法の改悪をとめよう集会 埼玉県労働会館(北浦和西口5分)
7月3日(土) 13:00〜 国体と健康増進法-心も体も国に奪われる 山田真 埼玉県労働会館(北浦和西口5分)
7月3日(土) 14:00〜 杉並ほっとコミュニケーション 戦争と兵士たち 藤井忠俊 高井戸地域区民センター(井の頭線高井戸)
7月7日(水) 11:00〜 「君が代」伴奏拒否不当処分裁判 東京高裁
7月9日(金) 13:30〜 豊中「ひのきみ」処分公開口頭審理 大阪府庁別館1階集合
7月10日(土) 13:00〜 都高教第7支部教研「東京都の教育改革」 村上義雄 ルミエール府中(府中北口7分)
7月20日(火) 16:30〜 国立二小不当処分撤回裁判 東京地裁710
7月20日(火) 18:30〜 青年劇場公演「真珠の首飾り」 朝日生命ホール(新宿西口)
7月21日(水) 18:30〜 青年劇場公演「真珠の首飾り」 柏市民文化会館大ホール
7月28日(水) 15:30〜 中国人元「慰安婦」裁判第1次訴訟結審 東京高裁101
7月29日(木)
 〜31日(土)
13:00〜
〜12:00
全国民主主義教育研究会第35回大会
 記念講演「イラク戦争とアメリカ」安藤次男
立命館大学びわこ・くさつキャンパス
7月30日(金) 19:00〜 「あしがらさん」上映会 下北沢ラプラス11階研修室
7月31日(土) 14:30〜 ビキニ被曝50年・自衛隊のイラク撤退・ピースフルコンサート 社会文化会館(地下鉄永田町)

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