ひのきみ通信 第56号

2000年11月23日

学校の現実と遊離
 9/22、教育改革国民会議は「中間報告」を発表した。…「奉仕活動」の義務化は、ボランティアとは対局の強制労働であり、全体主義教育以外の何ものでもない。…教師の最大の要求である30人学級の実現も「中間報告」では無視されてしまった。今や欧米諸国は20人学級の時代を迎えている。…教育改革は、子どもや親や教師の声から出発し、子どもの実態と学校の現実に即して推進されるべきである。
(琉球新報10/25朝刊  「教育を読む」佐藤 学氏より要旨)

目次

長いドラマの始まり 「日の丸・君が代」対策委員会
森さん!ちゃんと見られてますよ 鍋山 昇(県立S高校分会)
神社本庁と「シクラメンのかほり」
 「『日の丸・君が代』なんて押しつけられてたまるか」連続学習会報告
みつはし ひさお (船橋旭高分会)
右派勢力が誉める「中学歴史教科書」を覗いて見ると ひのきみ教科書問題取材班
東京都における「日の丸・君が代」の徹底通知
東京都高等学校教職員組合の「通知」に対する申し入れ書
"1・21『子どもと教科書』県民集会 あぶない教科者がやってくる"
 のお知らせ
「日の丸・君が代」をなぜ強制するの? 11.29松戸集会
国立市教職員への不当処分を問う集会
お知らせ

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長いドラマの始まり

「日の丸・君が代」対策委員会

 10日夜、自民党の加藤氏は、野党が今国会に提出を検討している内閣不信任決議案の採決に同調する意向を明らかにした。
 11日、加藤氏は「朝日新聞」のインタビューに応じ、次のように述べた。
 「日本の政治はいま、非常に危機的な状態にある。エネルギーのない政治を変えられない与野党に、国民があきらめにも似た無力感を感じている。自民党ではほとんどの主流派の人も、不支持率7、8割の現内閣を支えていいとは思っていないが、みんな声を出さない。そこに危機的な状態が現れている。森批判の域を越えて、自民党の内部そのものが問われ始めた」
 また、「今の森政権のままでは、我が国が壊れていく。国際政治からだんだん消えていく気がして仕方がない」とも述べている。
 ここには、このまま森政権を存続させては自民党が持たない、我が国も「壊れていく」という強い危機感が現れている。
 こうした加藤氏の造反により、政局はここにきて、一気に動き始めた。
 では、なぜ、こうしたことが起きてきたのだろうか。
 まず第一に考えられる事は、あまりにもお粗末な森首相の資質である。「神の国」発言に始まり、(有権者がこのまま)「寝ていてくれれば」発言、(拉致疑惑問題に関する)「第三国で発見」発言など、あげればきりがない。
 しかし、これだけではない。この間、自民党は一貫して支持率を低下させてきているということが背景にある。その理由としては、

などである。
 これに対し、加藤氏は危機感を抱き、自民党を情勢に応じた政党にするために今回の行動に出たのである。
 しかし、多くの自民党の議員達は、森首相では駄目だと内心思っているものの、既得権を守る事に汲々としていることから、加藤氏の行動を容認する訳にはいかない。また、加藤氏に賛同する議員が増えれば自民党執行部の崩壊にもつながりかねない。
 一番、利口な方法は、森首相に辞職させることだが、ここまできては、それもできなくなった。そこで、加藤氏とそれに同調する山崎氏に「離党勧告」を出した。しかし、二人は、最初から離党する気持ちはなく、自分達が自民党を立て直すという意気込みにあるので、離党はしない。そこで、除名である。しかし、除名すれば、二人に同調する議員も反発し、自民党はますます混乱と勢力減少・弱体化の方向にいくことは避けられない。
 結局、このような状態で20日の本会議に突入した。
 ところが、突入直前に、加藤氏のドラマは突然幕を下ろした。不信任決議案賛成に回ると表明していた彼とその同調者たちが、一転、欠席に回ったためである。加藤氏曰く、「数の見通しは極めて微妙で、ここで突っ込んでも必ずしも勝利が確定できる状態ではない。同志の山崎さんとともに、一時名誉ある撤退をして力を蓄えようと思う」ということだ。あっけない幕切れである。とんだ茶番に終わった。これによって加藤氏の政治生命はかなり危うくなるだろう。逆に、森首相は当面続投するだろう。
 国民の多くはあきれかえり、しらけ、失望した。
 しかし、加藤氏の反乱は、結局自民党内の権力闘争にすぎず、旧来の自民党政治を打破することはなかったとしても、今回の茶番劇の傷跡は残り、旧来の自民党政治は、いずれ、我に返った国民のさらなる大きな批判にさらされることになるであろう。ドラマは始まったばかりである。
 要するに、今回の問題の示すものは、旧来の自民党政治の終わりであり、新たな政治の時代の到来である。そのことは、「日の丸・君が代」の強制も、古い自民党政治の最後のあがきになる可能性がある。
 しかし、当面の日本の政治は、混迷であろう。したがって、その中では、道理があり、よく闘ったものが最後の勝利者となろう。
 ところで我々は、1994年、「日の丸・君が代」強制反対闘争をまとめた、『侵入禁止〜「日の丸・君が代」反対闘争の発展のために〜」というパンフ(11月発行)の中で、次のようなことを述べた。
 「政府・文部省・県教委、管理職らの言い分にはなんら道理がない・・・闘っている生徒、教職員、父母の側には、たとえ力ずくで破れても、自分たちの正しさを確信している」
 21世紀を目前に、日本国民全体を巻き込んでの「長いドラマの始まり」である。我々は、子どもと日本の明るい未来のために、一貫して、闘い抜くであろう。

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森さん!ちゃんと見られてますよ

鍋山 昇(県立S高校分会)

 私の学校の生徒に「高校生記者としてインタビューする事になった、インタビュー項目とそれを聞く理由を述べなさい」という課題を10月20日に出した。様々な答えがあったが、どれももっともな答えであった。また、生徒たちはいろいろなことをよく知っていて、考えていることがわかった。
 そのいくつかを紹介したい。

「そもそもの自覚。本当にあなたは総理大臣としての自覚、意識などがあるかということ。」(森さんの失言癖がどういうところから出ているのかということを聞きたい)

「海外の情勢についての考え方。日本の内部だけでなく、海外の政治についてどう思っているのか。」(海外の情勢についての関心や知識が悪いと思うから)

「日の丸・君が代が国旗・国歌としてふさわしくないと思うのですが、今後、国旗・国歌を変えることはあるのですか。」(日の丸・君が代の意味を多くの人が分かっていないように思うから、全国民がわかってから決めた方がいいと思うから)

「テレビや国会などで失言が多いですが、本当に文書をじぶんでかいているのですか。」(日本の首相としての責任が森首相には欠けていると思う)

「首相は、首相になってから考えが変わったりしましたか」(森首相も昔と今では考え方も変わったと思うので)

「来成年者も政治への参加すべきではないか」(国民の代表を決めるのだから多くの人の支持がなければいけないと思うので、未成年の私にも投票することがゆるされていいと思う)

「世間では「失言総理」等と言われてしまっていますが、総理を辞める気はないのですか」(怒られてしまうかもしれないが、でも、反応が見てみたいから)

「あなたの言葉が日本の言葉なんだという自分の言葉の重みについて真剣に考えことがありますか」(森首相の国会での答弁を見て、純粋に国を良くしていこうという気持ちが欠けているようにしか見えない)

「森首相は、右翼的な考え方を示す発言が問題になりましたが、その発言を撤回しても無駄だとはお考えにならないのですか」(総理大臣の言葉というのは日本人の言葉として世界に伝わるんだと思う)

「日本は神の国」と言ったのはどうしてですか」(日本は民主主義の国と憲法に書いてあって、首相は日本国憲法を一番良く知っていなければならない人なのに、憲法と全く逆のことを言ったから)

「今の森首相の仕事はなんですか」(最近、森さんがやっていることは日本のための仕事のようには見えないし、納得できないから)

「なぜ、外国政府に誤解を招き、日本国民にも反感を持たれるようなことを公然とした場で何のためらいもなく言うのか」(もし、インタビューしても言い訳しか言わないことは目に見えているが、本心を是非とも聞いてみたいから)

「現在の学校が本当に勉強するのにふさわしい場所だと思いますか」(私の学校は校舎も古く、教室も狭く、一番のハイテク機器は黒板拭きクリーナーという現状だから)

「野党が欠席しているときに多数決をしたら国会にならないと思うが」(ニュースで見てとても腹が立った、与党は何をやっているかと思ったから)

「首相の「失言」は本当に「本心」なのか」(もし答えがイエスなら首相をやっていく資格はないと思うから)

「首相は、小中高のどの段階で天皇は「神」だとかと習ったのか」(学校で習ったいうのなら、その時代の政治家を見直さないといけないと思ったから)

 この他にも、高校生らしい素朴な質問も多くあった。例えば「どうやって裏口入学が
できたのか」「早稲田のラグビー部をすぐやめたのなぜか」「昔、売春で捕まったというけど本当か」「家ではどんな風に過ごしているのか」「家族とはどんな会話をしているか」などである。
 しかし、共通しているのは子どもたちが森さんに期待していない、呆れているということである。森さんは「教育改革」を持論としているが、肝心の自分が最も子どもたちに悪い影響を与えていることを自覚してもらいたい。(彼に「自覚」してもらうことは至難のことだということは証明済みのようだが)

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神社本庁と「シクラメンのかほり」

「『日の丸・君が代』なんて押しつけられてたまるか」連続学習会報告

みつはし ひさお (船橋旭高分会)

 11月10日に開催された「『日の丸・君が代』の法制化と強制に反対する神奈川の会」主催の連続学習会、「『日の丸・君が代』なんて押しつけられてたまるか 学校・地域社会を考える−心の自由を守るために私たち市民ができること」の第2回に参加した。千葉からは、もう一人、分会未結成の職場でがんばっている組合員も参加してくれた。会場は、横浜駅西口の「かながわ県民センター」。今回は、「日の丸・君が代の戦後史」などの著書で有名なノンフィクションライターの田中伸尚氏を講師に、「私たちはどこにいるのか/何がどうできるのか」と題する講演を中心とする学習会であった。
 「神奈川の会」は、神奈川県内で「日の丸・君が代」の強制に反対する市民が、教職員や市民運動などを幅広く結集してつくっている団体で、これまでも県内外でさまざまの活動を行なってきた。今回の連続学習会も、9月に第1回が開催され、それ以降さまざまの講師を招いて学習を深めてゆこうというものである。次回は、12月15日に藤沢市で開催される。
 集会は、まず主催者側から「日の丸・君が代」をめぐる神奈川の状況が報告された。横浜市旭区で、「慰安婦」問題をテーマとする学習会が区から名称変更を要求された事件(全国面にも掲載された)。元「慰安婦」の現状を扱った映画「息づかい」の上映会が、右翼の妨害を受けた事件。さらにこれが「サンケイ」の攻撃を受けたことなど。「息づかい」上映会主催者の「ピースシアター・ヨコハマ」からも補足説明があった。
 また、藤沢市の成人式で「君が代」斉唱があったこと、茅ヶ崎市の小学校で神社の清掃が強制されたことなどが報告された。これらに関しては、「神奈川の会」が市に対して申し入れを行なっている。
 さて講演であるが、まず田中氏は「日の丸・君が代」法制化を「パンドラの箱」と表現し、これによって日本の支配層がますます独善的・排他的傾向を強めているのに対して、逆に希望の光も見えてきたと指摘した。
 独善的・排他的傾向に関しては、広島・高屋中の人権侵害事件(「君が代」斉唱時に着席した生徒に対して、学校側が尋問を行なった)をはじめとして、企業内、スポーツ、地域社会など、あらゆる場で「日の丸・君が代」の強制圧力が強まっている例をあげた。そして、これらの動きの根底には、少なくとも戦後の一時期まで「日の丸・君が代」「戦争責任」に関してきちんと反省・総括する社会意識が希薄であったことが大きいと指摘した。
 また、これに乗じて右派勢力は、「教育基本法」改悪、「教育勅語」復活、「奉仕活動」強制、「右派教科書」作成などの動きに出ている。なかには、「教育勅語」の徳目を現代風のキャッチコピーにして(たとえば「兄弟ニ友ニ」という部分を「ケンカをしても分かりあえるのが兄弟さ」などとするようなものを公募するのだそうだ。ああ、気持ち悪い。ちなみに、この標語の選考にあたるのが、右派の頭目、明星大教授の高橋史朗と、あのシンガーソングライターの小椋佳なのだそうな。もう、カラオケで「シクラメンのかほり」を歌うのはやめよう。)、大阪の全小中学校に配布するというような計画もあるそうだ。
 ここでかれらがさかんに主張している「国民意識を育てる」教育とは、とりもなおさず「国のために死ねる人間」を育てる教育、ひいては「平気で他国民を殺せる人間」を育てる教育にほかならない。そして、このような活動をしている「自由主義史観」グループ、「新しい教科書をつくる会」、「日本会議」などの諸団体の背後でつねに暗躍しているのが「神社本庁」であるということを注視しなければならないと、氏は強調した。
 しかし、支配層の独善的・排他的傾向に対して、新たな「オブジェクション」(単なる異論ではなく、不服従によって事態を変えること)がつぎつぎと名乗りをあげつつある。なかでももっとも注目すべきなのは、北九州の「ココロ裁判」である。北九州市教委は、卒業式・入学式における「君が代」強制に従わなかった教職員に対して、極端な処分を乱発するという常軌を逸した教育行政を行なっているが、このような行為は「思想・良心の自由」を侵害し憲法違反であるとして、17人の教職員らが市教委などを訴えたのである。「ココロ裁判」に続いて「カオル裁判」なども提訴され、さらに不起立・「君が代」伴奏への抵抗など、さまざまな抗議の動きが全国的に拡がっている。
 最後に田中氏は、思想・良心の自由を獲得するために、「ココロ裁判」に限らず、もっと訴訟を活用すべきだと指摘した。「ココロ裁判」は本人訴訟という形式をとり、原告全員が訴訟に直接参加している。ここから得られる成果は、非常に大きい。「日の丸・君が代」の強制をはね返して精神の自由を手にするためには、ひとりひとりができることを、けっしてあきらめずに続けてゆくことが大切だと、氏は強調して、講演をまとめた。
 講演の内容もさることながら、神奈川県内のさまざまな団体・個人の運動の様子が見えて、とても有意義な集会であったと思う。

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右派勢力が誉める「中学歴史教科書」を覗いて見ると

ひのきみ教科書問題取材班

 11月3日に千葉県教科書改善協議会設立総会が開かれ、その会場でさかんに誉められていた教科書の白表紙本を見る機会があった。新聞報道などでいろいろと指摘されている教科書だが、改めて読んでみるとその呆れた内容に驚くばかりである。その中から、2点を紹介してみなさんのご意見を伺いたい。

・「国旗・国歌」については、コラムで2ページ扱っている。
 「国旗国歌法:(前略)国旗とは、特定の国を他の国と区別するしるしであるとともに、その国の主権をあらわす神聖なシンボルとして、尊重されるものである。国歌も、自国の独立性と国がらをあらわし、また国内の結束をうながす歌で、国際的な行事や国内の儀式などに、敬意をもって歌われる。わが国の日の丸・君が代は、それぞれ古い由来をもつ。それはどんなものだろうか。」

 「日の丸の由来:日本人は古くから、太陽をうやまう気持ちをもち続けてきた。それは、太陽が命と暮らしを保つために欠かせない、光や熱を与えてくれるからだ。日本の神話では、大和朝廷の祖先の神としてもっとも重要視されるのが、太陽神としてもあおがれる天照大神である。遣隋使が持参した外交文書には、わが国のことを「日出づる処」と表現している。やがて、国の名そのものが太陽にちなむ「日本」と定められた。これは、律令国家の制度が整えられた7世紀後半のころであろう。平安時代には、太陽をかたどった金の日の丸をあしらったものが、扇などに使われていた。中世から近世初頭にかけて、白地に赤の日の丸をえがいた旗が、合戦などに用いられている。江戸時代に入り、日本人の海外渡航が禁止されると、日の丸は江戸幕府専用の船印とみなされるようになる。やがて、幕末の開国以降に、日本の船を他国のものと区別する必要がでてきた。この局面で、「白地、日の丸」の旗を「日本国総船印」「御国総印」と定め、外交にも用いた。そこで、明治の新政府も1870(明治3)年、改めて日の丸を「国旗」として布告した。」

 「君が代の由来:「君が代」の元歌は、平安時代の前期にまとめられた「古今和歌集」に、長寿を祝う賀歌の代表作としておさめられている。
 わが君は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで
 (私の敬愛するあなたさま、どうか千年も万年も、小石が寄り集まって大きな岩となり、それに苔が生えるほど末永くお健やかに)
 これが、まもなく今の「君が代」と同じ歌詞になり(意味は同じ)、中世から近世を通じて、神社や寺院の行事で歌われたり、さまざまな物語や舞歌などにも取り入れられて、広く庶民に親しまれてきた。明治に入って欧米との交流がさかんになると、日本にも国歌が必要になった。そこで古くから多くの人々に愛唱されてきた「君が代」が国歌に選ばれ、それに日本的な雅楽調の曲をつけ、洋楽風に編曲したものが1880(明治13)年の天長節(天皇誕生日)に公表された。それが明治後半から全国の小学校で祝祭日の儀式唱歌として普及し、慣習として定着した。国歌「君が代」の君は、日本国憲法のもとでは、日本国および日本国民統合の象徴と定められる天皇を指し、この国歌は、天皇に象徴されるわが国の末永い繁栄と平和を祈念したものと解釈されている。」

・教科書本文「68:大東亜戦争(太平洋戦争)」の中の「玉砕」と「特攻隊」の部分を見てみよう。
 「暗転する戦局:1942(昭和17)年、(中略)8月、ガダルカナル島に米軍が上陸。死闘の末、翌年2月に日本軍は撤退した。アリューシャン列島のアッツ島では、わずか2000名の日本軍守備隊が2万の米軍を相手に一歩も引かず、弾丸も米も補給が途絶え、ついに残った300名ほどの負傷した兵が、ポロポロの服で足を引きずりながら、日本刀をもってゆっくりと米軍に、にじり寄るようにして玉砕していった。こうして、南太平洋からニューギニアをへて中部太平洋のマリアナ諸島の島々で、日本軍は降伏することなく、次々と玉砕していったのである。」

 「1944(昭和19)年秋には、フィリピンが米軍の手に落ちた。マリアナ諸島の一つのサイパン島から、爆撃機B29が日本本土への空襲を開始した。同年10月、ついに日本軍は全世界を驚愕させる作戦を敢行した。レイテ沖海戦で、「神風特別攻撃隊」(特攻)がアメリカ海軍艦船に組織的な体当たり攻撃を行ったのである。追いつめられた日本軍はここからあと、飛行機や潜行艇で、敵艦に死を覚悟した特攻をくり返していく。米軍の将兵はこれをスイサイド・アタック(自殺攻撃)といってパニックに近いおそれを感じ、のちに尊敬の念すらいだいた。特攻は「攻撃の外道」(道にはずれた指導の仕方)といわれ、作戦としてはやってはならぬものであった。多くの若者たちとて、本心から望んで特攻を志願したものなどいないだろう。しかしながら故郷の家族を守るため、この日本のために犠牲になることをあえていとわなかったのである。
 19才で沖縄で戦死した宮崎勝という特攻隊員が、故郷で生まれた自分の妹に残した手紙がある。
 「ヤスコチャン、トッコウタイノニイサンハ シライアダロウ。ニイサンモ、ヤスコチャンハ シラナイヨ。マイニチ クウシュウデ コワイダロウ。ニイサンガ カタキヲウッテヤルカラ デカイボカンニ ヤイアタリスルヨ。ソノトキハ フミコチャント ゴウチンゴウチンヲウタッテ ニイサンヲ ヨロコバセテヨ」
 (中略)戦争は悲劇である。しかし、戦争に善悪はつけがたい。どちらかが正義でどちらかが不正という話ではない。国と国とが国益のぶつかりあいの果てに、政治では決着がつかず、最終手段として行うのが戦争である。アメリカ軍と戦わずして敗北することを、当時の日本人は選ばなかったのである。」

 一読、「これでいいのか!中学、歴史教科書」という感じだ。まるで、講釈師の語りのようで、読んでるこちらが恥ずかしくなる。また、事実と違う記述もあったり、わざと記述を省いているところも目立つ。最初にこう書くというシナリオがあって、都合のいい部分だけを切り張りしたような教科書になっている。これを読んだ中学生は、混乱するだろう。

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東京都における「日の丸・君が代」の徹底通知

12教指高 第271号
平成12年10月17日
都立高等学校長殿
教育庁指導部長    .
斉藤 尚也(公印省略)
入学式及び卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導の徹底について(通知)

 国旗掲揚及び国歌斉唱の指導については、平成11年10月19日付11教指高第208号「入学式及び卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導について」に基づき、適正な実施を通達したところです。
 各学校における平成11年度卒業式及び平成12年度入学式の国旗掲揚及び国歌斉唱の実施結果については、格段の改善がみられました。
 国旗掲揚及び国歌斉唱の実施態様については、平成11年10月19日付11教指高第203号の「国旗掲揚及び国歌斉唱に関する実施指針」に即していない学校もありました。つきましては、平成12年度卒業式及び平成13年度入学式においては、平成11年10月19日付11教指高第203号による通達(別紙写)に基づきより一層の改善を図るよう願います。

担当 指導部主任指導主事           高野 敬三
指導部高等学校教育指導課指導主事 高橋 基之
電話 03−5320−6845

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東京都高等学校教職員組合の「通知」に対する申し入れ書

2000年10月20日
東京都教育委員会
教育長 横山 洋吉殿
東京都高等学校教職員組合
執行委員長 甲谷 徹
「入学式及び卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導の徹底について(通知)」に関わる申し入れ書

 日頃、都立高校の教育の充実・発展に御尽力されている貴職に敬意を表します。
 さて、東京都教育委員会(都教委)は指導部長名による「入学式及び卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導の徹底について」の「通知」を10月17日付けで各都立高等学校長宛てに下ろした。
 東京都高等学校教職員組合(都高教)はこれまでも「98.11.20指導部長名通知・実施指針」、そして昨年「10.19教育長名通達・実施指針」の撤回・凍結を求めてきた。しかし、都教委は都高教の抗議・申し入れを一切無視し、各校長に対し、その徹底を極めて強圧的に指導した。
 その結果、都教委をも「格段の改善がみられました」と言うほど、今春、実施率が一気に上がったところである。しかし、この事は決して尋常なことではない。
 卒業式・入学式の主人公はあくまで生徒である。各学校の自主性、実態等を一切無視し、教育課程・学校行事への権力の介入、卒業式・入学式の在り方まで一律に押しつけようとする都教委の姿勢は許されないものである。ましてや今回の「実施指針に即していない学校」へのさらなる指導は断じて容認できないものであり、校長への締め付けは行うべきではない。
 都高教は、「日の丸・君が代」の学校への強制反対の立場から、下記の事項について厳に申し入れるものである。


  1. 2000年10月17日付「通知」を撤回すること。
  2. 各学校の自主性、実態等を尊重すること。

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"1・21『子どもと教科書』県民集会 あぶない教科者がやってくる" のお知らせ

[日時] 2001年1月21日(日)14:00〜17:00
[場所] 県教育会館302号室
[内容] 講演「教科書攻撃の現在」 (仮称) 講師 俵義文(「子どもと教科書全国ネット21」事務局長)
報告「つくる会の歴史教科書の危険性」(中学校教師)、意見交換
[主催] 1・21「子どもと教科書」県民集会実行委員会
[連絡先] 千葉県高等学校教職員組合

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平和や自由について いっしょに考えませんか?
「日の丸・君が代」をなぜ強制するの? 11.29松戸集会
イラスト
日時  2000年11月29日(水) 午後6時半〜9時
内容  *国立(くにたち)からの報告
     *地域、参加者から
     *討論
     *集会アピール
場所  松戸市・明(あきら)市民センター
参加費 500円(資料代)


  なにか、ちょっと変だと思いませんか?

案内図  昨年・国会で国旗国歌法案が審議されたとき、当時小渕首相は「法制化によって、国民生活へのなんらかの変化は生じない」と答弁しました。しかし、その後の「日の丸・君が代」へのこだわりようは全国へ広がっています。
 今年、千葉県議会で自民党が「歴史教科書作成に向けて適切な対応を求める意見書」を提出し、その文で、自国の歴史に誇りを持てないような記述に満ちている歴史教科書が学級崩壊・不登校・校内暴力を生んでいると論理を展開しました。
 先の「教育改革国民会議」第1分科会の審議の報告では、長期の平和と物質的な豊かさを達成したがために、考える力・耐える力・冷静に正視する力を失ったとし、子どもたちには“感謝を忘れない”ことを強調し、奉仕活動の義務化を提言しています。
 なにか、ちょっと変だと思いませんか?
 あんなに法制化後も変わらないと国会ではっきり答弁していたのに、国会答弁なんてどこ吹く風。へんな誇りの持ち方を教育を通して教えられたために、悲惨な戦争への道を走ってしまったんじゃなかったっけ。その前に、自分の国に誇りを持つとか、持たないとかを教えるものなんでしょうか。いやいや、やらされる奉仕活動でどれだけ子どもたちが得るものがあるのでしょう。スポーツの世界では、選手の意見をあまり聞かずに一方的に練習させる旧来型の指導では世界に通用しないことがわかっているんじゃないの。第一、日本の全学校で義務化したら、それだけの受け入れ機関はきっとないと思います…。
 この頃のこんな動きは、どうも教育基本法や憲法を改悪したい人たちがつくりだしているのではないかと思えてなりません。みなさんで、平和や自由のことについて、いっしょに考えませんか。

主催:「日の丸・君が代」をなぜ強制するの?11.29松戸集会実行委員会
連絡先 嶋村(松戸市教育会館内) 渡部(浦安高校内)

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なぜ?どうして?
「日の丸・君が代」に反対してはいけないの?
校長に意見を言ってはいけないの?

〜国立市教職員への不当処分を問う〜


案内図 とき:2000年12月23日(土)
     午後1時開場 1時半開会
ばしょ:小金井市 小金井公会堂

    (JR中央線武蔵小金井駅下車、徒歩5分)
資料代 500円(高校生以下、無料)

第一部 講演***西原博史さん
(早大教員)
第二部 被処分者より
      市民団体報告
      弁護団より

 8月11日、都教委は国立市の教職員17名を処分しました。「日の丸」掲揚を強行した校長に意見を言ったり、その状況を保護者に伝えるためにビラを配布したことで何故、処分されるのでしょうか?「おかしい。こんなことが教育の場で行われてはならない!」と思っても口にするな、というのが今回の処分理由です。「校長を頂点にした学校管理」を強調することで、文部省・都教委は、教育の国家支配を目指しています。「日の丸・君が代」は勿論のこと、日常的にも「物言わぬ教職員」が優秀なのでしょうか?
 教育国民改革会議や石原の「心の東京革命」等々、体制内の論議のみを保障し、民主性を装いつつ、疑問を持つ声は叩きのめし、踏みつける。この状況に無言でいることは、教育勅語的教育の復活を黙認することです。さあー、今、声を挙げましょう。Non!と。

主催:12・23国立市教職員不当処分糾弾全国決起集会実行委員会
連絡先:多摩教組(国立市北1−1−6コーポ翠)

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お知らせ

11月23日(木) 13:00〜 30人学級実現千葉県民集会 千葉県教育会館大ホール
 (京成千葉中央6分)
11月23日(木) 17:30〜 「TRUE CRIME」上映会 エセナおおた(JR大森8分)
11月25日(土) 9:30〜 小沢和子先生解雇撤回闘争聖徳学園情宣行動 聖徳学園(中央線武蔵境5分)
11月25日(土)   マブイフェスタ 11:00〜 14:00〜 奈良県王寺町・やわらぎ会館
11月25日(土) 13:00〜 教育総研10周年記念シンポジウム あすの社会・子どもの未来
 −「市場」原理主義と「国家」主義を超えて− 松井やより他
専修大学神田校舎1号館303
 (地下鉄神保町3分)
11月25日(土) 13:30〜 21世紀、TOKYOの環境とまちづくりをどうする? 北部労政会館(JR王子5分)
11月25日(土) 13:30〜 パネルディスカッション「少年事件の背景と
 少年法『改正』の問題点」 主催:船橋の教育を語る会
船橋市習志野台公民館
 (新京成習志野、北習志野10分)
11月25日(土)   「チンパオ」上映会 13:30〜 16:00〜 18:30〜 木更津市中央公民館
11月25日(土) 17:30〜 大人・子どものいじめ問題を素人の目から語る集い10 調布市文化会館たづくり
 (京王線貼付南口3分)
11月25日(土)
 〜26日(日)
  自由主義史観グループ「第8回授業づくりセミナー」参加費20000円
 模擬授業 「堺」滋賀県立玉川高校教諭:沖英治
   「ヨーロッパとの出会い」埼玉県立大島小学校教諭:斎藤武夫
ペアーレ神戸
 (神戸市中央区中山手通7-3-18)
11月26日(日) 10:00
〜17:00
同性愛者のためのエイズ・デー電話相談
 −エイズ・サポート千葉−
Tel.043-224-3463
11月26日(日) 13:30〜 原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会
 2周年記念集会 講演:藤田祐幸
横須賀教育会館2Fホール
 (京急横須賀中央5分)
11月26日(日) 14:00〜 白井佳夫の映画の映像から日本を考える1
 寅さんは日本を悪くする?
阿佐ヶ谷地域区民センター
 (JR阿佐ヶ谷4分)
11月26日(日) 14:00〜 和太鼓ワークショップ 主催:千葉荒馬座を観る会 千葉県立桜ヶ丘養護学校体育館
 (千葉市若葉区加曽利町1538)
11月27日(月) 16:00〜 中村さん分限免職裁判 千葉地裁501
11月28日(火) 19:00〜 「日の丸・君が代」の強制に反対する品川の会
 報告者:国立二小保護者、戸山高校卒業生
品川区立中小企業センター
 (大井町15分)
11月29日(水) 15:00〜 「日の丸・君が代」強制STOP!神奈川県教委交渉
 「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会
神奈川県教委ビル2F
 14:00集合(根岸線関内10分)
11月29日(水) 18:30〜 「日の丸・君が代」をなぜ強制するの?11.29松戸集会
 問合:嶋村新一(松教組)/渡部秀清(浦安高校)
松戸市・明市民センター
 (新京成上本郷2分)
11月29日(水) 18:30〜 盗聴法・こんな警察に使わせていいの? 寺澤有
 主催:盗聴法に反対する神奈川市民の会
かながわ県民センター711
 (横浜西口5分)
11月29日(水) 18:30〜 海勢頭豊&「月桃の花」歌舞団コンサート 京都府立府民ホール・アルティ
 (地下鉄今出川)
11月30日(木)   憲法調査会参考人意見聴取 午前:石原慎太郎 午後:櫻井よし子  
11月30日(木) 18:30〜 金剛山歌劇団公演 ミレニアムファンタジー「金剛山の四季」 船橋市民文化ホール(船橋5分)
12月1日(金) 18:30〜 海勢頭豊&「月桃の花」歌舞団コンサート 西宮市民会館アミティホール
 (阪神西宮)
12月2日(土) 10:00
〜17:00
同性愛者のためのエイズ・デー電話相談
 −エイズ・サポート千葉−
Tel.043-224-3463
12月2日(土) 13:00〜 12月フォーラム「日本の政治経済−閉塞状況の底にあるもの」
 講演:金子勝
河合塾コスモ(JR千駄ヶ谷5分)
12月2日(土) 18:00〜 海勢頭豊&「月桃の花」歌舞団コンサート 大阪厚生年金会館大ホール
 (地下鉄四つ橋)
12月3日(日) 13:30〜 ムダ公共事業、東京湾でも−有明北&三番瀬埋め立て−
 ゲスト:中村敦夫・五十嵐敬喜
文京区民センター3F会議室
 (地下鉄春日2分)
12月3日(日) 17:30〜 海勢頭豊&「月桃の花」歌舞団コンサート 日本青年館
12月4日(月) 14:00〜 原発とめよう!今が正念場・東海臨海事故に怒る12・4大集会
 15:30〜デモ(〜東京)
日比谷野外音楽堂
12月5日(水) 10:00〜 安田弁護士冤罪裁判 東京地裁104
12月5日(水) 14:00〜 バンザイ訴訟・即位礼・大嘗祭違憲神奈川住民訴訟 東京高裁822
12月6日(水) 10:00〜 フィリピン人「慰安婦」裁判判決 東京高裁101
12月6日(水) 10:00〜 安田弁護士冤罪裁判 東京地裁104
12月6日(水) 18:30〜 アジアフォーラム2000PeaceWeek 「生きぬいて今、
 南北元『慰安婦』の証言〜ビルマからの生還」
武蔵野公会堂(吉祥寺5分)
12月6日(水) 19:00〜 第30回水俣セミナー
 「大石芳野さんと映画『水俣病−その30年』を観る」
環境パートナーシップオフィス
 (コスモス青山B2F・地下鉄表参道9分)
12月7日(木)   憲法調査会参考人意見聴取 午前:未定 午後:渡辺昇一  
12月7日(木) 18:30〜 西川重則さん講演学習会「有事法制下の憲法調査会」 労働スクェア東京701(八丁堀5分)
12月8日(金)
 〜12日(火)
9:00
〜18:00
日本軍性奴隷制を裁く−女性国際戦犯法廷−東京 九段会館
12月8日(金) 10:00〜 731部隊細菌戦被害国家賠償請求裁判 東京地裁103
12月8日(金) 11:00〜 憲法9条ポロシャツを口実にした発表妨害暴行事件(カオル裁判)
 第1回控訴審
福岡高裁502
12月8日(金) 12:30〜 恩寵園・大浜浩(元園長)傷害罪刑事裁判 千葉地裁(整理券配付)
12月8日(金) 18:30〜 アジアフォーラム横浜2000年証言集会 証言:蕭雲
 「私の村は日本軍によって消された!」 講師:高嶋伸欣
かながわ県民センターホール
 (横浜西口5分)

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